2 忍者とは
現代に忍者などは存在しない。一部の外国人を除いてみんなそう思っている。しかし、それは間違いだ。
忍者は秘密裡に行動する。その存在を知られることはあってはならない。したがって、一般人が忍者の存在に気づくことはない。そうして人々は忍者などはいないと思い込まされているのだ。
しかし忍者は存在する。特別な素質を持つ者を密やかにスカウトし、数は少ないが忍者科を設ける中学高校、時に大学で鍛え上げるのだ。表向きには忍者科などとは呼ばず、だいたい情報科が使われる。
超人的な能力を持った忍者を政府が野放しにするはずがなく、忍者の雇い主は一〇〇パーセント政府だ。一般企業や裏社会の者が忍者を使うことは叶わない。
時折厳しい修行に耐えられず逃げ出す者がいるが、そういった者は暗黒街のボス(笑)に雇われる可能性がある。脱走忍者は抜け忍と呼ばれ、他の忍者全てに追われることとなる。最重要事項だ。必ず捕らえられる。
捕らえられた抜け忍は、なだめすかして修行に復帰させるか、草と呼ばれる一般人の振りをしてスパイ活動を行う者となるか、事務方に回されることなる。事務方になった元抜け忍はなまじ体術などに優れているため、配属された職場で横柄な態度をとって他の事務員に嫌われることが多い。
なにはともあれ。
忍者は存在する。しかし誰もそれに気づかない。そういうことなのだ。




