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小野寺都古の物語>出会い 1
野崎たちが去った後の教室・・・・・。
濡れた光弘の髪をふきながら、私は大きな動揺とともに激しい後悔を抱いていた。
たくさんのサインを見逃し、光弘の苦しみに気づくことができなかった。
そればかりか、自分のことを大切に想ってくれている者まで危険にさらしてしまった自分のふがいなさに、私は唇を強くかみしめた。
他の人に見えないものがどれほどたくさん見えたところで、本当に大切なものは私には何一つとして見えていなかった。
見逃し続けてしまっていたんだ。
私は、教室の中を無言で片付け続けている真也と勝を見た。
私にもっと強い力があれば、光弘も・・・・・そして真也と勝も。
誰も傷つかずに・・・・・胸を痛めずに済んだかもしれないのに。
真也と勝はとても大切な友人だ。
だがだからこそ、私には伝たくても絶対に伝えるわけにはいかない秘密がある。
もし知られてしまえば、もう二度と2人と共に過ごすことができなくなるかもしれないからだ。
入学してから4年。
私は秘密に関わる一切を封じて生活することを心に決め、それを徹底していた。
しかしその戒めは、私に残酷な結果を突き付けてきた。
「2人を失いたくない」そんな私だけのわがままのせいで、光弘は見落とされることになったのだ・・・・・と。




