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008 たびのはじまり

 ここ5年間で気が付いたことだけど、私が持っていた七つ道具は全てがそろっていた。


 正確には全てこの世界のシステムで再現されていると言った方が正解なのかもしれない。

 スマコやアイレンズは物体として存在していないけど、確かに私の中で存在している。


 それと、転身機の本体がなぜか乙羽にもらったこの桜色のマフラーになっていたみたい。


 スマコからそれを聞いた時には私もビックリしたけど、なんかいつも乙羽が一緒にいてくれて、ずっと守ってくれているみたいでとっても安心するし、心が温かくなった。


 それに、ちょっとコツは必要だったけど転身もできた。


 今の私の姿は、死ぬ直前まで着ていた学校の制服を5歳児バージョンに縮めた姿で、首にはもちろん乙羽にもらった大切なこのマフラーを巻いている。


 なんで5歳児が制服姿なんだよって突っ込みは受け付けません。


 前はコマンドを選ぶだけで転身できていたのが、こっちではなんか転身する服とかの明確なイメージが必要みたいで結構難しいのよ。


 裸んぼが嫌だったから頑張ってイメージを具現化したんだけど、成功したのがこの制服姿だったわけ。


 まぁ、ここには私1人しかいないわけだし、誰も文句は言わないでしょ。


 それと、転身したら桜飾・雷丸・手裏・空輪も一応身に付けていた。


 道具の扱いとしては基本的に以前とあんまり変わんないんだけど、姿や性能が変化しているところも結構あったのよ。


 前と変わっているところだけをまとめると……


・スマコ→本体なし、音声機能の追加、この世界の一般常識の追加。

・アイレンズ→本体なし。

・転身機→本体、マフラーに変更。転身する姿の明確なイメージが必要。忍気発動により、忍者装束へと姿が変化し、能力が向上。

・桜飾→桜の花びら製造量の増加と操作。忍気発動状態で花びらの爆発機能の追加。

・空輪→透明の見えない壁を10秒間だけ出現させる。忍気発動状態で壁の大きさや強度、継続時間の増加が可能。

・雷丸→本体、背中に背負う2本の棒に変更。普段は制服のブレザーに隠れており見えない。2本を1本に連結させることも可能。さらに、忍気発動状態だと鞘を抜くことが可能で、二刀の短刀へと変化する。

・手裏→本体、両太ももに巻いている手裏剣ポーチと、両腕に巻いているバンド型の特殊糸射出機に変更。忍気発動状態で手裏剣や特殊糸の大きさや強度が増す。


 このくらいかな?


 七つ道具はもとから高性能だからあれだけど、忍気をまとった状態だとさらに強力になってくれる感じだね。


 この七つ道具と忍気があれば、今の私でもこの世界に対応できると思う。

 だから、そろそろこの安全地帯のエリアを出てみようと思う。


 まるで誰かにそう誘導されているみたいで非常に気にくわないけどね。


 そう。


 一度前世で死んだ私が、この世界で生きていく意味はないと思っていたけれど、何者かがこのゲームみたいに不思議な世界へ私を放り込んだような嫌な感覚がずっとしている。


 だってさぁ、普通に考えておかしくね?


 幼児退行しているとはいえ、忍気は発動できるし、七つ道具も全てそろっている。


 おまけに、私が最低限生きていける環境がそろった、魔物が寄り付かないこのエリアがすぐ近くにあった。


 明らかに私を生かそうとしてんじゃん?

 こんな危険生物しかいない大迷宮の中で、私はなんで生かされようとしている?

 誰が、なんのために?

 そいつは私をこの世界に突き落とした人物?

 私に一体なにをさせたいの?

 なにが目的?


 正直わからないことだらけだ。


 これがただ私の思い込みだってこともあり得る。

 だからこそ、それがわかるまではとりあえず生きてみようと決めた。


 待ち受ける結末が良いものでも悪いものでもどちらでも構わない。

 どんな真実でもそれをしっかり受け入れようと思う。


 それからまたゆっくり考えたらいいよね。


 だって私は一度死んでしまったはずの人間なのだから。



 実はこの5年間で、近くの周辺エリアの探索はある程度済ませていたのよ。


 その近くにあるエリアっていうのがざっとこんな感じ↓。


・凶悪な魔物と思われる気配がわんさかいるモンスターハザードのエリア。

・アイレンズと転身機で感じる熱源反応がビンビンに高温地帯を訴える灼熱地獄のエリア。

・有害物質と思われるガスが充満した毒ガス地帯のエリア。


 わ――い、この中の道を選んで進めと?

 いや、ムリじゃね?


 こちとら産まれてまだ5歳の幼気な少女よ?

 そんな私が対処できるわけがないじゃん。

 難易度高過ぎるってぇ!


 しか――し、私は見つけたのだよ!

 かなり細いけど比較的安全そうな道を!


 ふふふ、そこは一見すると大岩で道は見えないかもしれない。

 でも、私にはアイレンズがあるのだ!


 大岩の奥に隙間がきちんと空いているのも、そこからきれいな風が流れてきているのも、その先に危険な魔物がいないのも全てお見通しなのだよ。


 問題は道が細いから、もし魔物と遭遇したら隠れることができないかもしれないというところくらいだけど、それはアイレンズと転身機があれば、かなり早く危険に気が付けると思うし、今の体なら随分早く動くこともできるから、逃げ切れると思うしね!


 というかそこ以外は危険過ぎて絶対行きたくないわけよ。

 もしかしたらこれもうまく誘導されてんのかもしんないけどね。


 この際知るか、そんなもん!


 ふ~んだっ!

お読みいただきありがとうございます。

もしよろしければブクマや評価をしていただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

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