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050 にんげんばなれ

 妹っ子は要注意だと思った私は、あの子の制服へ桜の花びらを忍ばせて教室へと戻ろうとしていた。


 というか、そろそろヤバい。

 私の動きが人間からかけ離れ過ぎていてみんなが不振がっている。


 やっぱり、訓練中に首が180度回転したのがいけなかったかな?

 それとも、右腕を飛ばして先生をぶっ飛ばしたのがいけなかったかな?


 魔女っ娘よりも、私の方がみんなにドン引きされているような気がするけど……あまり気にしないでおこう。


 まぁ魔女っ娘はそれが分身体ということに気が付いているから、なんとかごまかしながらやってくれていたんだけど、そろそろ戻らないとヤバいね。


 みんなが私を怖がっていて訓練になっていない。



 私は訓練場の隅っこにいた分身体と、瞬時に入れ替わった。


「あ、おかえりなさい! どこにいっていたの? あんまりみんなをイジメると明日から怖がられるよ?」

「……」


 一瞬で私の本体に気が付きやがったよ。

 おかしい……全く同じ姿のはずなのに。

 やっぱり少し胸が小さいんじゃないの?!


《いえ、一寸の狂いもなく同じサイズでございます!》


 あ、そう。

 それもなんか腹立つわね。


 それよりも、もう私の分身体は魔女っ娘には通用しないわけか。

 まぁ別に他の人にバレなきゃいいけどね。


 それにしてもこれどうすんの?


 目の前には、先ほどまで私の分身体と訓練をしていたこのクラスの男子どもと先生がノビて床に転がっている。


 だから魔女っ娘はいつも通りの口調になっているのだ。

 まぁやっちまったもんは仕方がないから、こいつらはとりえず放置ね。


 そろそろ私も全力の訓練をしたいところだからね……魔女っ娘、覚悟しなさい。


「ひっ?! なんか不吉な悪寒が……」

「……」


「ひぃぃいいいいいいいいいいい?!」


 その日、魔女っ娘の泣き叫ぶ声が止まることはなかった。



 さて……我ながら今日はいい訓練ができたわ。

 忍気も今は全力で80%の出力を出せるようになっているね。

 ただ、フルスロットルは強力だけど燃費がホント悪いわ。

 この私でも10秒間継続させただけで少しの間動けなくなっちゃったもん。


 あと、狭い場所ではやっちゃだめね。

 その状態で全力の忍殺拳の型をやったら衝撃波で建物がガタガタ軋んじゃったもん。

 ただでさえ古いから倒壊しちゃうかと思ったし。


 ものすごく不本意ではあるけど、私もう普通の人間じゃないみたいね。


 背中に魔女っ娘を背負って寮へと戻りながらそんなことを考えていた。


 え?

 Dクラスの男子ども?

 まだ目を覚まさなかったからそのまま放置だよ。

 その後は知らん、勝手に帰るでしょ。


 私は久々の全力訓練でおなかがペコペコなのよ。

 そろそろこの子も起きないかしら。


 ……おろ?


「んな?! なぜここに人が?!」


 おいおい……またかよ。


 私はいつも通り寮の屋上から部屋に入ろうと思って空を走っていたら、不審な気配を感じ取った。


「まさか、おまえが最近善良な生徒を辱めている不審者というやつか! 覚悟!」


 え?

 こいつは刺客じゃないのか。


 最近私が刺客たちを吊るし上げていることが評判になっていることは知っていた。

 なんかグルグルお化けなんていうあだ名まで付けられている始末だ。


 明日は誰だろうと楽しみにする声や、学園内の生徒を狙った不審者がいるといった声、さらに成績が悪いやつだけが狙われるといった都市伝説みたいな噂まで広がっている。


 芋虫君1号も2号も、他人には本当のことが言えないようだし。

 まぁ、あれだけの辱めを受ければ無理もないか……。


「おまえがグルグルお化けの正体だな! 今日こそ他の生徒の敵を討たせて……え、きゃぁああああああ?!」


 はい、完了っと。

 悪いけど、私は今ものすご――くおなかペコペコであんたに構っている暇はないの。

 また明日ねぇ、芋虫君3号。


 それにしても背中の魔女っ娘を背中に隠しておいて正解だったわ。

 この子は悪い意味で有名人だからね。


 このグルグルお化けの件に魔女っ娘が関係しているなんて思われたら、ものすごく面倒なことになると思うし。


 シュタッと、帰宅。


 私おなかすいてんだから、早く起きろってのよ!

 あ、まずい!


「マイカちゃん! もう戻っていますかぁ?」

「よかったら一緒にご飯でも……きゃぁあああ?!」

「マイカちゃん?! マイカちゃん?!」


「うぎゃん?! もうサンドバックは嫌なのぉおお! ……ふぇ?! こ、ここは……お部屋?」


「マイカちゃん?!」

「あれ? アズサちゃんにハズキちゃん? どうしてここに?」

「一緒にご飯でもと思いましてお誘いに来ましたの。それよりも大丈夫ですの?!」

「そ、そうでしたか。あははは、大丈夫ですよ! お恥ずかしい格好ですいませんでした。すぐにお着換えしますから待っていてくださいますか?」

「えぇ……」


 パタンと部屋の外へと2人は出て行ったので、シュタッと音もなく舞い戻る。


「いやぁ、気を失うほどまでに追い込まれたのは久しぶりだなぁ……きつかったよぉ。」

「……」


 こいつ……もう私が急に背後から現れても驚かなくなったわね。


「あ、もしかして今ものすごくおなか空いているんじゃない?」

「……」


 私は無言で首を縦に振る。


「今日は散々痛めつけてくれたから、アタシのお願いも聞いてよね! 今日のご飯はあの2人とも一緒に行こうね!」


 げ……。

 こいつ、私を脅す気か。

 すぐに逃げたいところだったけど、おなかが空きすぎて迷ってしまう。


 その隙に魔女っ娘はがっちりと私をホールドし、逃がさないように扉の方へと連れて行く。


 ま、待て……待つのだ魔女っ娘!

 私はまだ行くとは言ってないんだ!

 なにか他に方法があるはずなんだぁ!


「お待たせしましたぁ! 今日はアタクシのお友達もご一緒しますね!」

「あれ?! 先ほどお部屋にいらっしゃったのですか?!」

「気が付かなくて申し訳ございませんでしたの!」


「……」


「えっとぉ……どうしてこの方はフードを被っていますの?」

「ちょっと恥ずかしがり屋さんなのです! かわいい方でしょ?」

「え、えぇ……とてもユニークなお方ですわね」


 ほらみろ、友達ドン引きしてんじゃん!

 私はこういう雰囲気苦手なのよぉ……。


 もう……マジないわぁ。

プロットを少し修正中ですので、ちょっとだけ更新頻度下がるかもです。

明日までは大丈夫かな?


お読みいただきありがとうございます。

もしよろしければブクマや評価をしていただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

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