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046 やるつもりならやりかえす

 さてさて困った。

 今にも魔女っ娘が妊娠させられそうだ。

 というか、もはや手遅れか……。


 私も乙羽が教えてくれなかったらそんな知識もなく過ごしていたことになるのよね。

 今考えると知らないっていうのは一番怖いことだわ。


《私のスキャンによりますと、なんとかボタンの同時押しは回避できており、赤ん坊の製造は始まっておりません》


 そうなの?!

 それは良かった!

 望まない妊娠は可哀想だもんね。


「なんもわかんねぇじゃねかよ、クソが!」

「そうだねぇ……僕たちはどうしたら強くなれるのかなぁ」

「う~ん、気合……でしょうか? なんかこう、ハッ! とするような感覚で……きゃっ?!」


 体に触られながら話していた魔女っ娘の腕をクィッと引っ張る。

 こんな場所はさっさと退散するべしね。


「あ、お待たせしてしまってごめんなさいね。寮に帰りましょうか!」


 あ、なんか私……すご――く見られていない?!

 なんだかすご――く嫌な予感がするんだけど。


「おいコラそこのブアイソ! おまえが一番つえぇらしいじゃねぇか! その秘密調べさせろ!」


 な、なんということでしょう……。

 血気盛んなオスどもが私の体まで妊娠させる気だわ。


「おい誰かそいつ抑え込んで服ひん剥け!」

「……あなたたち」

「あん? なんだ……ひぃっ?!」

「誰の服をひん剥くとおっしゃいました? あまり調子に乗らないでくださいね……塵にしますわよ?」


 うぉおい、落ち着け魔女っ娘ぉお!

 マジで落ち着けって!

 そんな本気の殺気をまき散らしたらみんなビビるって!


 ほらみろ、みんな腰を抜かしちゃってるじゃん。


「あらあら……ごめんなさいアタクシったら。クラスのみなさん、アタクシはみなさんと仲良くしたいと思っておりますの! ここでは爵位など関係なくアタクシに対して平等に接してもらって全く構いません! ただし……アタクシの大切なこの方に粗相を働くようなお方には塵になっていただきますので……ゆめゆめ、お忘れなく」

「……」


 いやいやその笑顔マジ怖いから!

 笑顔の後ろにとんでもない鬼が見えるから!

 というか、もう業火の炎が溢れ出ちゃってるから!


「さぁ、みなさんお疲れのようですので、アタクシたちも寮へ戻りましょう」

「……」


 いや帰るけども……。

 どうすんのこの空気?!


 まさかあんなに怒るとは思わなかったよ。

 ていうか、自分は妊娠させられそうになっておいて、私は守ってくれるんだね……

 その辺の境界線は一体どうなっているの、この子。


 心なしか、この独特の雰囲気がどんどん乙羽に似てきている気がするのは……私だけかな?


 それから私たちは寮へと戻った。


 部屋に戻ってしばらくゆっくりしていると、こちらに向かって来る2人の気配を察知したので、私はその場から姿を消す。


「マイカちゃん! 無事ですか?! まさかDクラスだなんて聞いていませんでしたよ?!」

「大丈夫ですの?! なにか酷いことをされていませんの?! 辱めを受けてはいませんの?!」

「ちょ……お、落ち着いてください、お2人とも! 特になにもございませんでしたわ」

「本当ですか?! Dクラスの授業は体を鍛えるものしかないとお聞きしましたよ?!」

「え、えぇ……確かに一日中筋トレという授業でしたけど」

「それはあんまりですの! しかも男の方しかいないとお聞きしましたの!」

「え、えぇ……確かにDクラスには男の子しかいらっしゃらなかったです。でもアタクシの大切なお友達もご一緒ですし」

「そんな場所に女の子お2人なんてあんまりです! この国の男の方は、女の子の扱い方がわかっていらっしゃらないのです!」

「いえいえ、そんなこともなかったですわよ! 放課後には強さの秘密を教えてくれってアタクシの体に触りながら熱心に調べておられましたし……みなさんとても向上心があっていい方たちでしたわよ!」

「……」

「……」

「あ、あら?! アズサちゃん?! ハズキちゃん?! なんでそんな邪悪なオーラを出してらっしゃるのですか?! とても怖いのですけど……」


 うん、うん。

 放課後の少女同士の会話を楽しんでいるようでなによりだよ。


 それもこれも今私がこいつを引きつけているからだけどね!


 まったくないわぁ――。

 部屋から出て屋上に逃げて来たまでは良かったんだけどさ、そこで普通に不審者と出くわした。


 どうやら魔女っ娘の暗殺のために派遣された人らしいね。

 私がいきなり現れたもんだからビックリして腰を抜かしていたし。


 ご丁寧に「貴様もカミキ令嬢の暗殺を依頼された者か?!」って喋っちゃうんだもん。

 バカだなぁと思いながら、とりあえず背後から関節をきめてやった。


「あたたたっ?! くそ、離せ! 何者だおまえは! このっ! このっ! 殺してやる!」


 これが刺客?

 私なめられてんのかな?


 確かに動きが素人過ぎて、ここまで接近は許したよ。

 普通の学生かと思ったくらいだもん。

 いや……これ生徒だわ。

 間違いないわ。


 生徒に暗殺をさせる学園ってどうなのよ……まぁ異世界は何でもありか。


 さて、いまだにジタバタと暴れているこの子はどうしたものかね。

 まぁそっちがその気なら……やったるか!



――次の日。


「きゃあ?! なにあれ?!」

「お、おい……あれって確か2年Aクラスの人じゃないか?」

「名前は……ブランド子爵のご令嬢、クリオナ様よね?」

「なんであんなところにぶら下がっているの?!」

「なにかの罰?!」


 私は昨日暗殺を仕掛けてきたあの子を、朝みんなの目に付くような3階建ての校舎の屋上から、特殊糸でグルグル巻きにした状態で吊るしてやった。


 あの子めっちゃプルプル泣いているけど、私気にしな~い。

 仕掛けてきたアンタが悪いも~ん!

お読みいただきありがとうございます。

もしよろしければブクマや評価をしていただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

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