表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/208

A08 迷宮へ

またまたアズサ&ハズキのルート編です。

いよいよアトラス大迷宮へ入りました。

 それからあっという間にアタシたちは迷宮へと向かう日になってしまった。


「いよいよですわね、ハズキちゃん」

「えぇ、アズサちゃん。必ず無事に帰って来ましょうね」


 アタシらを含めた数人の生徒と学園の先生、それと今回は魔動兵団から支部隊長さんとその部下である魔動兵数名が一緒に同行することになっていた。


 マイカたちの一件で不測の事態が起こった時に、魔動兵だけでは対処しきれないとカミキ様が判断されて、支部隊長さんクラスが1人同行するようになったのだ。


 それから何度か課外授業は行われているけど、いずれも大きな問題は起こっていない。


 もともとマイカの一件のように、魔動兵が全滅するようなことが起こること自体がありえないということだ。


 一応危険を伴うこの課外授業は、きちんと安全面に配慮され、迷宮へのルートやその目的地が決められている。


 だからこそ、この学園では数百年かけてこの課外授業が繰り返されてきたのだ。

 それがなぜマイカの時に限って……正直何度そう思ってしまったか分からない。


「アズサちゃん、集中しましょう。ここはもう迷宮の中ですわ」

「はい、ハズキちゃん。申し訳ございませんでした」


 そう、今はもう迷宮の中へと入っている。

 ハズキの言う通り、今は周りを警戒するべきだな。


 それにしてもこの通路みたいなところですら禍々しいというか、なんというか。


 このアトラス大迷宮は地上と同じくらいに広大な広さがあって、それぞれたくさんのエリアが存在している。


 今アタシらはその内の比較的安全で弱い魔物しかいないとされるエリアに向かっているのだ。


「な、なんだか寒気がしますわね」

「え、えぇ。さすがは魔物の住む大迷宮ですの」

「あはははは、心配することないよ? 僕たちがいるからね?」

「はい、よろしくお願いしますね!」

「頼りにしていますの!」


 アタシらの防衛をしてくれている魔動兵のお兄さんに優しくそう言われて少し安心する。


 実はさっきもこの通路に魔物がいてビックリしたんだけど、それをこのお兄さんはあっさりと討伐してしまった。


 その実力を見ているからこそとても安心できる。


 しばらくすると、目的地のエリアへと到着した。

 そのエリアは地上かと思うほどに明るく、木々が生い茂っている場所や広原が続いていた。


「広い……ですわね」

「え、えぇ。まさかこれほど広い場所だとは想像しておりませんでしたわ」


 私たちは見渡しのいい広原まで歩いてきて、少し休憩する。


「これじゃあ、あまり地上と変わりありませんわね」

「ワタクシもそう思いましたの。なんというかもっと……」

「あははは、もっと過ごしにくいような場所をイメージしてたかな?」

「はい、正直灼熱地獄とか逆に極寒地帯とか……人族が過ごしにくいような場所をイメージしておりました」

「そうだね。ここは特別に安全な場所だからこうやって課外授業に使われているけど、他のエリアには魔物が大量に住みついていたり、もっと中層地帯まで行くと人が入った瞬間に死んでしまうようなエリアも存在しているよ。ここも安全とはいえ、魔物は住んでいるからね? 気を抜いちゃだめだよ?」

「はいですの!」

「どうも、ご親切にありがとうございます!」


 気さくな魔動兵のお兄さんはそう言うと、アタシらから少し離れて周囲を警戒し始めた。


『あの兄ちゃんええ人やなぁ! アズサ、おまえあぁいうのタイプだろ?』

『バカ言ってんじゃねぇよ、アタシは年下を尻に敷きたい派だ! 知ってんだろうがよ!』

『まぁな! 周りにはそう言っておいて、実は優しい年上のお兄さんが好きってことをなっ!』

『なっ……茶化すなよバカ』


 お兄さんのおかげでアタシらの緊張はすっかり取れていた。


「顔が赤くなっておりましてよ、アズサちゃん。そういえば、あの方のギアメタルも剣でしたの! 教えていただいたらどうですの?」

「それには及びませんわ、ハズキちゃん。アタクシは自分のやり方で頑張りたいのですわ」


 そう、今回初めて自分専用のギアメタルを持ってきた。

 この学園にはギアメタルを作る専門の人たちが存在している。


 その人達も魔動兵団の一員なんだけど、戦いよりもそっち系に向いている学生はその人達と一緒に技術を学びながらギアメタルの製造とか開発、研究などを行っている。


 その人達に作ってもらったアタシ専用のこのギアメタル「スイリュウ」。

 まぁ一応形とかも希望出来たから、なんとなく日本刀みたいな形にしてみた。

 特に意味はない。


 アタシの魔動力はどうやら水の魔法を扱うのに向いているらしい。

 確かに魔動力を扱う時には水のようなものをイメージしているけど、それが関係しているのかもしれない。


 アタシのスタイルは水の魔法に乗せて剣を振るうからギアメタルもそういう名前にしてみた。


 一方、ハズキのギアメタルは拳から肘までを覆うグローブタイプの「バクエン」。

 ハズキの魔動力は火の魔法に向いているからそういう名前にしたらしい。

 装飾もなんかメラメラしてて、結構派手だ。

 見た目もそうだけど、攻撃も結構派手だと思う。

 魔法を付与すると拳の形をした火の塊が飛んできたり、そのギアメタルに触れるだけで相手が燃え出してしまうとか反則だと思う。


 『燃え盛る炎の魂を持つウチにはピッタリのギアメタやな!』とか自慢げに言っていたけど、正直本当にそうだと思う。


 そのギアメタルを使用しての、初めての実戦訓練が今始まる。

お読みいただきありがとうございます。

もしよろしければブクマや評価をしていただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ