表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/208

003 ひみつへーきー

 そしてやって来ました、うわさの新しいカフェ。


 ここは全7階あるうちの6階フロア。


 室内はウッド調にアイアンテイストのオシャレな内装。

 フカフカのソファに店内を彩るドライフラワーたち。


 オシャレだねぇ。

 みんなもはしゃいで写真撮ってるし。


 乙羽は私じゃなくて、お店を撮ろうね?


 さて、まず注文したのは生クリームとチョコチップ増し増しのキャラメルマキアート!

 うん、うまうま。


 そしてメインディッシュとなりますは、この時期限定のクリスマススペシャルというデザート!

 大きめのふわふわパンケーキの上に抹茶粉末をちりばめた生クリームがソフトクリームのように巻かれ、そこに色とりどりのフルーツが飾られると、まるでクリスマスツリーのような見た目にもオシャレなデザートなのだ!

 うん、うまうまうま。


 ところで、どうして私はみんなに注目されているのかな?

 そんなに見られたら恥ずかしいんだけど。

 まぁいいか、とりあえず食べよ。


「お、おい……あれどうみても3人前くらいはあるんじゃね?」

「いや、ここに小っちゃく5人前とか書いてあんで」

「サクヤちゃんの口、掃除機みた~い! すごぉおい! どこに入ってるんだろぉ」

「同じものを頼まなくて良かったと心の底から思っているヤツがここに約1名……」

「サクヤの口の周り、クリームでえらいことになってるぞ……」

「それを平然とスプーンですくって食べているオトハの方にウチは突っ込んだらええんやろか?」

「オトハちゃん、サクヤちゃんのほっぺに付いたクリームは美味しい?」

「容赦なく踏み込んでいきやがった?!」


『うんッッ! とってもとっても桜夜の味がして美味しいの!』


「おかしい! だいぶ変態発言しているはずなのにどうしてこんなに可愛いんやぁ?!」

「だめだ、アタシらじゃ手に負えん……」


 あ、私の最後のソフトクリームが乙羽の方に飛んでいっちゃった!

 逃がしてなるものかぁああ!


『桜夜、私のデザートも食べて……ふにゅう?!』


 ハムっと。

 うん、うまうま。


『あ……ふにゃ……ふにゃああ……』

「あ、あかんで! オトハが人さまに見せられへん顔になっとる! すぐに隠すんやぁあ!」

「サクヤはまた普通に食べ出したぞ。オトハの分のデザートまで……」

「これは……無自覚だね」

「サクヤ氏……恐ろしい子」


 なんか外野がうるさいけど、これもなかなか。


 飲み物もデザートも美味しかったな。

 この建物に人が多いのは少し嫌だけど、また来てもいいかもしれない。


「結構良かったなこのカフェ! また来ようぜ!」

「よ~し、じゃあまた明日来よう!」

「明日は部活だバカ野郎ども!」

「「「はぁ~い」」」


『私たちはまた明日来てもいいねぇ、桜夜!』

「オトハとサクヤも私たちの部活入ったらいいのに! 楽しいぞ?」

「サボってるヤツがなにを言うとんねん。まぁでも気楽に楽しくがモットーやからな! 歓迎すんで?」

『う~ん、誘ってくれて嬉しいけど、今は二人だけの時間を大切にしたいんだ!』

「もはや夫婦か! 子供はまだいいみたいに言うなや! もう結婚してまえ!」

「「「あははは」」」


 なんか胸の奥がじんわり暖かい。

 私は今、楽しい……のかな、多分。

 まだよく自分の気持ちが理解できないけれど、今きっと私は楽しいんだと思う。

 昔じゃこんな状況考えられなかったな。


「さて、それじゃあ次行こうか」

「やっと雪合戦の時間?」

「なんでやねん! おまえが新しい服ほしい言うたやないか!」

『あ、私お手洗いに行って来るね。桜夜をお願い!』

「ならアタシも行くよオトハ。みんなは先に行ってて」

「ほ~い! ほんなら行こかッ!」


 このフロアにはトイレがないので、近くの階段で下のフロアのトイレに向かって行ったオトハたちを見送り、私たちは先に次の目的地へと向かっていた。


 すると、突然私だけにしか聞こえない警告音とともに、視界上に《緊急連絡》の文字が浮かび上がる。


 スマコとアイレンズがいきなり起動?!

 一体なにごとなの?!



――実はここだけの話、私には誰にも知られていない裏の顔がある。


 それは、私が現代に生きる忍者の父親とスパイの母親との間に産まれた一人娘であり、病気になった今でも諜報部員としてひっそりと活動しているということだ。


 両親は日本を拠点とし活動する暗部組織に在籍しており、闇に潜む裏組織の暗躍を壊滅させたり、秘密裏に世界情勢を入手したりしている。


 その中でもお母さんは現代のスパイ業界の技術力を飛躍的に進歩させてしまったほどの天才と言われている。


 そんなお母さんがスパイ活動のために開発したのが、今身に付けているスパイの七つ道具だった。


 私がスマコと呼んだこれは、腕に付けているスマートウォッチ型の私専属超高性能AIであり、体の弱い私の体調監視やその他の七つ道具を使用してさまざまなサポートをしてくれるスマートコンピューターの「スマコ」だ。


 そして「アイレンズ」とは、私が両目に付けているコンタクトレンズ型のモニターディスプレイであり、スマコからの連絡や地図の表示、視界に映るもののスキャンや温湿度、危険物検知などを視界上に投影させることができるもの。


 さらに七つ道具には、本体がリボンの形をした変幻自在の変装用兼防護服の「転身機(てんしんき)」や、ネックレスの形をした拡大縮小する短刀の「雷丸(らいまる)」、桜模様のヘアピンの形をした超小型発信機兼盗聴器製造機の「桜飾(おうしょく)」、指輪の形をしている収納式のプロペラで、10秒間だけ体を宙に浮かせて一定方向に移動することができる「空輪(くうりん)」、ポーチの形をした手裏剣と特殊な糸の製造機「手裏(しゅり)」がある。


 これら七つ道具全てを私は今装備していた。

お読みいただきありがとうございます。

もしよろしければブクマや評価をしていただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ