洞窟の邂逅
遠くで水滴の落ちる音がする。
ーーピチャン、ピチャン
薄暗い洞窟の中は、音が反響して水滴がどこから落ちているのか分からない。
まあ、今の私では分かったところで、確認しようもないのだが。
ダメもとで腕を動かしてみる。腕につけられた鎖が重たい音をたてるだけだった。
もうどれくらいここにいるのだろう。手足は拘束され、飲まず食わずで放置されている。
「……っ!」
何か叫ぼうとしても、もう声も出なかった。最初に目が覚めたときに、目一杯叫んだが、誰も現れなかった。
ーー死ぬのかな……
わずかな希望を諦めた瞬間、声がした。
「っ!」
顔を上げて辺りを見回すが、誰もいない。
「ここだよ、おねーさん」
ふと視線を下げると、先ほどまで誰もいなかったはずのところに、少女が立っていた。
「……っ!っは!……っ!」
声を出したいのに、声帯が上手く震えてくれない。息ばかりもらす私をみて、少女は意地悪く笑った。
「おねーさんしゃべれないんだね
ねえ、助けてほしい?」
少女の様子がおかしいのは気づいていたが、今は頷くしかなかった。私が頷くと、少女は狂ったように笑い出した。
「楽になんてさせないよ!どんなに苦しくても、あんたは生きてるんだから!いきてれば何でもできるじゃない!こんなの大したことじゃないわよ!」
少女の姿が透けて見えた