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約束

無事メノウと絆を結べた私は、最後にマカシャ先生にメノウを連れ出す許可を貰うことにしました。

マカシャ先生に話しかけようとすると、先生が何だか真剣な顔をしている姿が目に入ります。


「先生?どうかされましたか?」


「いやでもあいつらにバレないようにするには…え?あっ、なんだい?」


「いやあの、この子ーメノウをもう連れて行っても大丈夫かと思いまして」


「うーん、そうだね…。見たところ怪我も治っているし、魔力にも乱れはない。澄み渡るような優しい魔力を感じるよ。もう一緒に旅をしても大丈夫だと思う」


「本当ですか?ありがとうございます!だって、メノウ!私と一緒に行ってくれる?」


「きゅー!」


私が聞くと、メノウは翼をぴんと張って元気よく返事をしてくれました。可愛いです。


「先生、本当に色々とありがとうございました。お代はどれくらいお支払いすれば…」


「お代って…?ああ、治療費のことか!完全に忘れてたよ…というか、払ってもらわなくても大丈夫だけれど」


「そういう訳にはいきません!先生は貴重な魔法を使ってくださったので、正当な対価をお渡ししなければなりません。金額はこのくらいでよろしいでしょうか?」


お金の縁は縁の切れ目です。こういう所はきっちりとしなければ後々問題が生じてきます。今世で痛いほど学びました。

前世で飼っていた猫の手術費ほどのお金を出します。金貨の小袋ひとつ分くらいです。


そういえば猫を手術した時、1度病院から脱走して大変だったことを思い出しました。

今も元気に実家で飛び回っているでしょうか、みーちゃん。

…会いたくなってきてしまいました。


「えーっと…ちょっと多すぎないかな?」


「えっ、そうですか?動物の手術費はこれくらいだったような気がしますが」


「うん、相場の4倍くらいになってるからこの4分の1だけいただくよ」


先生がちょっとひきつった笑顔を浮かべながら袋から金貨を3枚ほど取りだします。


「あと、相場も聞かずいきなり大量のお金を出してはダメだ。足元を見られてしまうからね。次からはきちんと金額のやりとりはすること。」


「はい…」


マカシャ先生に諭されるように怒られてしまいました。

確かにそうですね…お金は有限ですから、大事にしなければいけません。


やはり貴族だった頃の感覚が少し残ってしまっているのでしょうか?気をつけなければなりません。



マカシャ先生にしばらく魔物の生態や連れ歩く際の注意事項、街中で守るべきルールを聞いていたら、時間を知らせる鐘が鳴りました。

夕方の6時です。


「もうこんな時間か。ごめん、少し話しすぎたかもしれない。危ないし宿まで送っていこうか?」


「いえ、大丈夫です。結構近くですから。…あの、ご迷惑でなければまた来ても…いいですか?」


先生とお話をする時間がとても楽しくて、別れるのが少し残念になってしまいました。まだ出立するのに6日ほどあるので、その間もっとお話をしたいです。先生が教えてくださった食堂の感想も伝えたいですし、メノウのことについて聞きたいこともまだたくさんあります。

…迷惑でしょうか。


「いやいや、全く迷惑なんかじゃないよ!むしろ大歓迎だ!こんなに話が楽しいと思ったのは久しぶりでね。僕もぜひまた来てくれたらと思っていたんだ」


「嬉しいです!ありがとうございます!」


先生は嫌な顔ひとつせず快諾してくださいました。優しくていい方に巡り会えて、ほんとうに良かったです。


メノウを連れて、入口まで見送ってくれた先生に一緒に手を振ります。メノウは羽をバサバサ振っています。


「また明日お願いします!」


「ああ、待ってるよ!」


そんな約束を交わし、メノウとの初めてのお散歩も楽しみながら、私は幸せな気分で宿に帰るのでした。

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