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ひとときの休息

お待たせしました。本編です。

公爵邸を後にし、空へ走り出した私は後ろを振り返ります。


もう二度と私の家に戻ることも無いでしょう。一応生まれてからずっと暮らしていた家です。見納めておきます。


再び前を向き、この国を出るため港町へ向います。


今度はもう、振り返りませんでした。


…………………………………


流石に魔力は潤沢とはいえ、ずっと走り続けていると体力的に疲れてきます。


日も落ち、真っ暗な夜になったことですし、眼下に見えてきた町で一泊します。卒業パーティーを抜け出したのははお昼でしたから、ほぼ半日走り抜けたのでしょうか。


最初は町ではなく森の中で一泊しようと思っていましたが、外には危険な魔物がおり、更に私は剣に覚えがありません。

私の唯一の攻撃手段である空魔法には一種類しか攻撃魔法がなく、よわよわです。


テントは一応持ってきましたが、永遠の眠りになってしまいそうでやめました。


人気のない通りへ降り立ち、適当な宿を探します。

こじんまりとしていますが綺麗な宿をみつけ、一泊することを伝え料金を払います。


こんなこともあると思い、身の回りの宝飾品をこっそり売り払ってそれなりの金額は持って来ました。困ったとき用にも、高く売れるであろう宝飾品をいくつか頂いてきました。

まだ未成年らしい少女が1人で夜に泊まりに来たことを店主さんは訝しんでいましたが、仕方ありません。



やっぱり怒涛の一日で疲れていたようで、ぐっすりと眠れました。

これまでにない爽やかな気持ちで朝を迎えることが出来、昨日使った魔力もバッチリ回復しています。

昨日は空を走って国をショートカットで横断してきましたから、今日中には港に着くことが出来そうです。


あとは船に乗ればこの国も見納めです。この国に戻る理由もありませんので、何だか感慨深いものがあります。

いい思い出はほぼありませんが。


もう一つやっておかなければならない事があります。

身分の証明書を手に入れる事です。


今の私は貴族を捨てた身。名も無きただの少女です。早急に冒険者ギルドへ行き、身分証を作る必要があります。

この世界で冒険をする者は、ギルドに登録して身分証を発行してもらった方が何かと便利です。


ギルドの身分証は世界的に信用度が高く、身分の証明をしなければならない時に提示すれば、身分の保証をしてもらえるわけです。


ということで宿屋をチェックアウトし、ギルドへ向います。港で船に乗るには身分証が必要ですから、私は必ず登録しなければなりません。


ギルドの建物の中に入り、カウンターで身分証の発行を依頼します。


「お名前と職業をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


この時のため決めておいた名前を言います。職業も即決です。


「名前はオリエンタ、職業は考古学者です!」


オリエンタ、意味は「方角」です。

これから先、自分の人生を自由に決められるという希望を込めて名付けさせていただきました。


「オリエンタ様ですね。職業は…考古、学者ですか?」


「はい。古代の遺跡や神殿の謎を解き明かす学者です!」


この世界、考古学者という職業は存在しません。魔法学者や魔道工学者などといった「学者」という職業はありますが、古代遺跡や神殿を調べる学者はいないのです。


なので身分登録の際、少し手間取るかと思っていましたが、どうやらこの職員さんはこういったお話が好きなようです。

目をきらきらさせながら若いのに偉いねと頭を撫でられました。何だかむず痒い気分です。


手続きは円滑に進み、白いプレートに自分の血を垂らして完了です。ちなみにこの時に前科があるとプレートに記載されてしまい、信用度が下がってしまいます。

どうやら逮捕された時も血を取られるらしいです。血の情報量が凄いです。


プレートが小さく光り、名乗った名前と職業が浮きでてきました。


「はい、手続きは以上です。身分証は無くさないよう気をつけてください。再発行にはお金がかかりますから。」


白いプレートを受け取り、職員さんに手を振られながらギルドを出ました。

なんだか温かい気持ちになりながら人通りのない所へ行き、空魔法で空へ駆け上がります。


この町に小さくお礼を言いながら、港まで走り出しました。


王都よりとても温かく優しい所で、英気を養えたと思います。王都にいた頃はメンタルをガリガリ削られていましたから。


港へ着いたら少し観光をして、隣国まで乗せてくださる船を探しましょう。


ああ、なんて自由なんでしょう!

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