表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

剣と魔法の世界へ

どうやら私は失敗してしまったようです。



前世でご都合主義のように事故で逝ってしまった私は、鬼畜難易度乙女ゲームへと異世界転生を遂げました。前世の記憶を持ったまま。


たまたま知っていたゲームに転生できたことは幸運としか言いようがありません。


が、しかしこのゲーム、転生先にはまず選びたくない鬼畜難易度だったのです。せめて私自身で転生先を選びたかったです。


でも私は諦めません。というか諦めたら即死亡エンドです。

自分の破滅エンドを回避するため出来うる限りの努力をしました。


いずれのルートでも一歩間違えれば私を断罪する攻略対象達。冷えきった我が家の家族関係。愛も何もない王太子殿下との政略結婚。


誰がどう見ても私の人生は終わってますが、問題だらけの攻略対象達の道を矯正しなければ私の人生が本当に幕を下ろしてしまいます。


そんなのごめんです。せっかくもう一度生を受けたのです。まだやり残したことも大量にあります。

もう二度と無念の死を迎えるもんですか。


ある時は王子の断罪エンドの原因である母親の死を防ぎ、またある時は殺害エンドを防ぐため、近衛騎士団長の闇の原因である同僚の戦死を防ぎ、またまたある時は公爵家子息の闇の原因である暗殺未遂を防ぎました。


近衛騎士団長の同僚の戦死を防ぐのは本当に大変で何度も死にかけましたが、どうにか命を救うことが出来ました。人間、死ぬと思った瞬間はやっぱり三途の川が見えるんですね。

前世で死んだおばあちゃんが手を振っていました。


ああでも、公爵家子息様の暗殺未遂も大変でした。どうして「にげる」しか選べないか弱い令嬢が、暗殺者と命をかけた鬼ごっこをしなければならないのでしょう。屋根を飛び回り、天井を這い、森を駆け抜け。

新手の妖怪でしょうか。


お陰様で私の体にはざっくりと剣で切られた跡や、飛んできた手裏剣で抉られた肩の傷跡などが残ってしまっています。メイドさんに跡を隠すのに苦労しました。


ちょっと魔法の属性が珍しい程度の普通の公爵令嬢には無謀すぎるイベントを乗り越えてきた私は強くなりました。無駄に。

水溜まりほどの容量しか無かった私の魔力は、気づけば多少無茶をしてもそうそう枯渇しなくなるくらいに増えていました。

魔力欠乏症になりながらも魔法を使い続けたお陰でしょうか。それともまだ使えない魔法を無理やり起動して何度も暴走したからでしょうか。


こんなにも頑張ったのに、全員なぜかバッドエンドの片鱗を見せ始め、私の死亡ルートは確定したようです。


終わりました。私の2度目の人生は泡沫の夢だったようです。


そもそも私はこのゲームを自分ではやっていません。

前世の友人からあらすじと、大まかなバッドエンドの条件だけしか聞いていませんでした。もしかしなくとも聞き逃していた条件もあったのでしょう。

どちらにせよ、私にはバッドエンド回避なんて無理だったのです。



なので逃げます。


どうせ攻略対象者に未練もへったくれもありませんし、私の家族関係は冷えきったものです。私がいなくなったところで跡継ぎのお兄様がいらっしゃいますから大丈夫でしょう。


更に救いのないことに、ゲームの舞台となる貴族たちの学園で私はいじめを受けています。

ですが、これを逆に利用して有難く鬼畜ゲームの舞台から逃げさせていただくことにしましょう。

逃げない理由を探す方が難しいと思います。



さあ、ある程度のお金と魔法の旅行鞄、この身ひとつと魔法を持って、新たな旅へ出かけましょう。剣と魔法の未知の世界へ。

……追っ手が来る前に。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ