浸透する打撃
浸透する打撃。
柳生心眼流においては『鉄砲』と言う名前の打撃が、
鎧の上から威力を与える打撃として用いられる。
左掌(または左巴子拳)を相手に当てた上から右掌(または右巴子拳)を打ち込む。
双掌重ね打ち。
『真島クン〜』では、千人殺しと言う技名であった。
因みに師匠も、
浸透勁を試行錯誤している時代に、
このやり方に気が付いた。
見かけだけ真似しても成功しない。
師匠「相手の防具を片手で押し込んで隙間を無くした上でもう片手で殴ると浸透する」
最初に付けた手は押し込まなければならない。
中国武術で同じ方法論を使うのは、
螳螂拳の『アイ』と言う名の技だろうか(速射連撃の螳螂拳の技法の中では最も威力の高い技)
ただし、心眼流の鉄砲とは少しやり方が違う。
(こっちは許可がおりてないので、話せない)
見かけは、左手が拳から肘までの前腕が押し付けられた状態から、
右掌をその上に当てた形となっている。
他にも、諸賞流和術の裏打ちが、
木に縛り付けた鎧胴に肘打ちをして、
表には傷一つないのに裏の蛇腹が破裂していたと言う逸話がある。
こっちは完全に浸透勁である。
浸透する打撃を会得するのに何が必要か?、
私の所属会派では、
『套路をやっているうちにある程度自然に浸透する様になる』
と言う結論(?)になった。
一時期、師匠が貰ってきた防具を着込んでどれだけ相手に威力を入れられるか、
試した事がある。
残念ながら、
漫画『拳児』の浸透勁シーンの様にはならなかったが、
しばらく会員の間で、
『謎の下痢になる』
者が続出した。
理由か暫くわからなかったが、
ひょっとして防具の上からボコボコ殴ってたのが原因か?、と、
師匠から中止命令がでたらピタリと治った。
大なり小なり浸透していたのだという事と、
打撃が浸透すると『下痢になる』と言う事が分かった。
その後も、キックミットを胸に構えて、師匠が『適当に』打撃すると、
帰宅後、下痢をする事が多々あり、
出席日数だけは所属会派で一番の私が、
一番『割りを食う』ことになった。
これは自分の体験談から分かった、
『特殊な打法』であるので紹介しておこう。
師匠より、形意拳の『虎形拳』(小さいと虎朴子)を両肩にピタリ同時に入れると、
人間は無意識に『真ん中で受けてしまう』と言う説明を受けて、
実際に受けた。
当時三人〜四人ぐらいがその技を受けた。
何だか胸の真ん中(或いはミゾオチ辺り)に『もやっと』した嫌な感じか残りつつ、
翌日の練習会、
連続で出席したのは私だけ。
そこでまた別の打撃の説明で、
私を含めた三人〜四人に、
胸にミットを当てて師匠が軽く打撃を入れた。
私は何となく『もやっと』した所が破裂した様な感覚がした。
練習会の帰り、下痢でコンビニのトイレにダッシュする羽目になり、
翌日の朝食後もトイレにダッシュ!、
そこで漸く、下痢と打撃の因果関係に思いつき、
『雲南白薬』の主成分である田七人蔘を飲んだら、てきめんに効果が出た。
(拳児でも浸透勁を食らった田英海に蘇崑崙が雲南白薬を飲む様に言っていた)
えらい目にあったが、
そのおかげで、
虎形拳を両肩に同時に入れた後、
衝捶を胸の真ん中に入れるのが相手に大きなダメージを与えるコンボ技だと理解出来た。
因みに、雑誌で田英海のモデルとなったY編集長が、
蘇崑崙のモデルとなったS老師の発勁を喰らった時の感想と同じく、
身体から空気が抜けて行くような嫌な感じであった。
某チャンネルでは、
『別に大した打撃ではない』とB壇系の関係者が言っていたが、
師匠は、
「よりによって一番危ない打ち方をした!、容赦ないわS老師」
と言っていた。