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753・悪魔封印の地の視察

第753話になります。

よろしくお願いします。

 400年前の神魔戦争で、神々と人類は勝利した。


 敗北した悪魔たちの大半は滅ぼされ、生き残った悪魔たちも次元の裂け目から魔界へと敗走したという。


 けれど、例外もあった。


 悪魔たちの中でも特に強力な9体は、神々の力を持ってしても滅ぼすことができず、大地に封印することしかできなかったのだ。


 それがこの世界に残された『悪魔封印の地』である。 


 悪魔たちは、まだ生きている。


 そして、封印された悪魔たちは、自らの命と引き換えに肉体の一部を封印の外――つまり、この世界に産み落とすこともあった。


 それが『悪魔の欠片』と呼ばれる存在だ。


 僕らが戦った『闇の子』――アイツも、その1人だ。


(…………)


 奴の存在を思うだけで、僕の心は落ち着かない。


 強い嫌悪感。


 同時に、恐怖も心に刻まれている。


 それほどまでにアイツは……『悪魔の欠片』という存在たちは、世界を滅ぼしかねない災厄そのものだった。


 今日までに『悪魔の欠片』は5度、この世に誕生していた。


 300年前の初代『悪魔の欠片』。


 現代に現れた、あの『闇の子』。


 アルン神皇国のコキュード地区で、神血教団の策謀で蘇った『闇の女』。


 ドル大陸ヴェガ国の『聖神樹』より現れた『双子の魔』。


 暗黒大陸の大地を侵食した『黒い水』。


 どれもが恐ろしい存在で、けれど僕ら人類と『神の子』らは、辛うじて5度の勝利を収めていた。


 もし1度でも敗北していたら……?


 きっと世界は滅んでいる。


 そうした破滅の可能性を秘めた『悪魔封印の地』は、けれど、今もこの世界に4つも現存しているのだ。


 それは、ある意味、絶望的な現実だ。


 でも、目を背ける訳にはいかない。


 現在、その4箇所の『悪魔封印の地』の内、3つはアルン神皇国に存在し、もう1つはシュムリア王国に存在する。


 そして今、


「…………」


 僕の目の前には、そのシュムリア王国の『悪魔封印の地』があったんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇ 



(……肌がピリピリする)


 僕は、服の上から自分の腕を押さえる。


 周囲は360度、草木1つなく、動物や魔物などの生命体も見当たらない岩肌の荒野が地平の果てまで広がっていた。


 その大地にポツンと、直径500メードほどの虹色に輝く半球状の物体があった。


 神々の封印だ。


 本来は球体で、半分は地面に埋まっているらしい。


 表面は半透明。


 内側からは時折、黒い煙のようなモノが沸き上がり、虹色の表面に触れると霧散していく。


 目を凝らすと、


 ズルリ


 球体の奥で、巨大な何かが蠢くのが見えた。


(――――)


 肌が粟立ち、背筋が凍る。


 悪魔だ。


 400年前、封印された悪魔が今もこの球体の中で生きている――それがわかった。


 ここにいるのは、僕だけではない。


 イルティミナさん、キルトさん、ソルティス、ポーちゃん、フレデリカさん、そして、シュムリア・アルン両国の人間が50人ほどいた。


 そして全員が、僕と同じように地面に埋まる球体を見ていた。


 皆、顔色が悪い。


 圧倒的な『魔』の気配。


 封印の結界越しでも、皆、それを感じていた。


 キルトさんが硬い声で呟く。


「やはり、凄まじいの」


「うん」


 僕も辛うじて頷く。


「ちゃんと封印されているのに、今にも自分が殺されそうな気がしてる」


 そう正直に答えた。


 ギュッ


 イルティミナさんは無言のまま、僕の手を掴む。


 その隣で、ポーちゃんも顔色の悪い相棒の少女の手を、小さな『神龍』の手でしっかりと握ってあげていた。


 アルンの女騎士フレデリカさんも、厳しい表情で目の前の半球体を見つめている。


「これが『シュムリアの封印』か」


「…………」


「『アルンの封印』同様、やはり恐ろしいものだな。だが、無事、機能していることが確認できてよかった」


 無事、機能している……?


 その言い方が、少し引っかかった。


 それを聞こうと思った時、


 ドタッ


 突然、後ろの方から物音がして、振り返ると、両国から来ていた何人かの魔学者が倒れているのが見えた。


(えっ?)


 僕は驚く。


 倒れた人の顔色は真っ白で、そばにいた人たちが介抱している。


 キルトさんが言う。


「いかんな、この強烈な気配に中てられたか」


「あ……」


「封印の視察自体はできたのじゃし、ここは1度、離れた方が良いな」


「うん、そうだね」


 その提案に、僕も頷く。


 ここじゃ多分、具合も悪くなるばかりだ。


 もしかしたら、他にも倒れる人が出てきてしまうかもしれない。


 チラッ


 封印の球体を見る。


「…………」


 美しい神々の力と拮抗して、ぶつかり合う邪悪な気配が満ちていた。


 もし封印が破れたら……?


 そこから飛び出した圧倒的な悪魔の力に飲み込まれ、世界は瞬く間に滅びに向かうだろう――それが現実感を伴って感じられてしまった。


 その想像だけで、心臓が痛い。


 ギュッ


 僕は、拳を強く握る。


 そして、倒れた人たちを支えながら、僕らは『封印の球体』のそばを離れていったんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 封印のある土地は『禁足地』だという。


 王国が直轄管理していて、誰であっても立ち入り禁止、侵入した者は如何なる理由があろうとも、その場で処刑が許されてしまうとか。


 禁足地と外界は、長く巨大な石壁で隔離されている。

 

 しかも、石壁は3重だ。


 更に、各所に塔のような監視所が建てられ、24時間、常に見張られていた。


 ちなみに僕らは、王都から『転移魔法陣』で禁足地を訪れたけれど、王国の最重要機密のため、正確な所在は教えてもらえなかった。


 あのキルトさんも知らないらしい。


 それぐらい、重要な場所なのだ。


 そして僕らは今、封印から1000メードほど離れた監視所の1つへと移動していた。


「ふう……」


 気配も薄れ、僕は息を吐く。


 他のみんなも、どことなく安堵した様子だった。 


 イルティミナさんは僕を膝の上に載せて、自分の気持ちを落ち着けるために、僕の髪を何度も撫でている。


 ソルティスも相棒の金髪幼女を抱きしめ、吐息をこぼしている。


(うん、姉妹だね)


 ちょっと微笑ましい。 


 そんな中、僕らの休憩している個室へと、キルトさんとフレデリカさんが入ってくる。


 実は2人は、倒れた両国の人たちの様子を確認しに行ってたんだ。


 幸い、その人たちも封印から離れたことで、どうやら無事に体調も戻ったとのこと。


(そっか、よかった)


 僕も安堵してしまう。


 キルトさんたちも近くの椅子に座って、


「しかし、ただの視察じゃったが、まさか倒れる者が出るとは……やれやれじゃの」


 と、苦笑した。 


 フレデリカさんも頷き、


「確かに。少し予定外ではあったが、しかし、視察自体は行えた。封印の無事が確認ができたことは何よりだった」


 と、軍人らしい答えだ。


 封印の無事……。


 その言い方が、やはり気になる。


 しかも今回の視察には、外交担当の文官さんたちの他、両国の魔法学の権威と呼ばれる方々、聖シュリアン教の司教様までが参加していた。


 更に護衛には、王家直属の騎士隊とあの『神殿騎士団』が派遣されている。


 かなりの重要人物たちと護衛の戦力だ。


 無論、ここはシュムリア王国の重要な場所。


 当たり前と言えば当たり前だけど、では、そもそもなぜ今回の視察が行われたのかもわからない。

 

(何でだろう?)


 そう心の中で首をかしげる。


 と、僕と同じような疑問を覚えていたのか、


「しかし、今回はなぜ、急に視察の許可が下りたのですか?」


 と、僕の奥さんが言った。


(うん、確かに)


 世界を滅ぼしかねない悪魔が封印された場所の視察許可なんて、普通は下りないものだもの。


 しかも今回の視察は、アルン側からの要望だという。


 それなのに、なぜかシュムリア王家は許可を出した。


(何か理由があるのかな……?)


 僕らは、事情を知っているだろう、銀髪の美女と軍服を着たアルンの美女を見る。


 僕らの視線に、2人は顔を見合わせる。


 やがて、フレデリカさんが息を吐いた。


「そうだな……貴殿らには話しても良いだろう」


 と、彼女は頷く。


 僕らを見回して、


「これは国家機密に該当する事案だ。他言は無用に願う」


「あ、うん」


 僕らは約束する。


 フレデリカさんは「ありがとう」と微笑み、そして、表情を生真面目なものに戻す。


 紅い唇が開かれて、


「実は今年に入ってから、アルンにある『悪魔封印の地』に対して、正体不明の何者かによる襲撃事件が2度、発生しているんだ」


(……え?)


 その思わぬ言葉に、僕らは目を瞠った。



 ◇◇◇◇◇◇◇



「ほ、本当なの!?」


 思わず、ソルティスが聞き返した。


 もちろん、フレデリカさんがそんな嘘を言う人ではないとわかっている。


 それでも、聞き返さずにはいられなかったんだ。


 アルンの美女は、やはり頷いた。


「ああ。幸い、どちらも常駐していたアルン軍の対処で事なきを得た。だが、紙一重の事態だったと聞く」


「…………」


 彼女の伝える声は重い。


 僕の奥さんは、厳しい表情だ。


「相手は、何者ですか?」


「わからない。特徴のない衣装と覆面を全員が着用しており、現在までの調査でも襲撃者たちの素性は判明していない」


「…………」


「だが、相手の人数は、たったの10人ほどだったそうだ」


「はっ?」


 10人……?


 アルンの『封印の地』も厳重な警備がされていたはずだ。


(そこに、10人って……)


 そんな馬鹿な。


 ソルティスも僕と同じ表情だ。


 でも、イルティミナさんはハッとした様子でキルトさんを見る。


 銀髪を揺らし、彼女は頷いた。


「そうじゃ。恐らく、相手は『魔の眷属』だったかもしれぬ」


「魔の眷属!?」


 僕は愕然と目を見開いた。


 つまり、かつて『闇の子』が配下にした、人から魔物に変身できる『刺青の魔人』たちってこと?


 フレデリカさんも神妙な顔で頷く。


「第2次神魔戦争で生き残った、およそ30人。竜国戦争やテテト連合国での地下遺跡で暗躍した彼らが、アルン神皇国でも暗躍していたのだろう」


「…………」


「実は、父上が今回のシュムリア行きに加わらずアルン本国に残ったのも、これが理由の1つでな」


「あ……」


 つまり、睨みを利かせるため。


 魔の眷属の奴らに『この国には、アルン最強の大将軍がまだいるぞ』という重しを与えるためなんだね。


(でも、まさか『悪魔封印の地』が狙われるなんて……)


 何て恐ろしい出来事だ。


 もし襲撃が成功していたら、世界は滅んでいたかもしれない――その事実だけで背筋が震えた。


 僕の奥さんも言う。 


「よく対処できましたね?」


「実は、常駐のアルン軍だけでは厳しかったと聞く。だが、『転移魔法陣』が運用されたおかげで、即座の連絡、そして増援が間に合ったそうだ」


「まぁ……」


 それには、僕らも驚いた。


 でも、そうか。


 これまでは何かあっても、翼竜便の連絡、あるいは定時連絡の途絶などでしか異常は伝えられなかったんだ。


 連絡、援軍には、どうしても数日の遅れが出る。


 だけど『転移魔法陣』なら、それが即日で可能なのだ。


 フレデリカさんは笑う。


「まさに、最新の魔法技術の勝利と言える」


「うん」


 僕も頷いた。


 魔法使いのソルティスも「魔法は偉大なのよ」と嬉しそうだ。


「ただ、それでも薄氷の勝利だったと聞いている。しかも2度の防衛はしたが、奴らには逃げられた。それほどに手強い相手だったそうだ」


 と、アルン騎士の美女は続けた。


(そっか……そうだね)


 その強さは、僕らも身を持って知っている。


 きっと現場では、犠牲になったアルン騎士、兵士も多いだろう。


 僕は青い瞳を伏せ、黙祷を捧げる。


 他のみんなもしばらく無言で、彼らの冥福を祈った。


 やがて、その時間も終わる。


 キルトさんが僕らを見て、


「それでの、シュムリアでも警備を強化することを考えて、今回、実際に戦ったアルンの方々に『封印の地』を視察してもらう許可が下りたのじゃ」


 と、今回の事情を教えてくれた。


(なるほど、そうだったんだね)


 僕は、アルン軍人の青髪のお姉さんを見る。


 ペコッ


 頭を下げて、


「シュムリアの力になろうとしてくれて、ありがとう」


 と、感謝を伝えた。


 彼女は少し驚き、はにかむ。


「いや、これはシュムリア王国だけでなく、世界全てに関わる事柄だ。力を合わせるのは当たり前のこと」


「…………」


「だが、その感謝の心は嬉しく思う。こちらこそありがとう、マール殿」


「……うん!」


 彼女の笑顔に、僕も笑った。


 世界のために、みんなのために、こうして違う国の人々が心を1つにできることが、僕は本当に嬉しかった。


 そんな僕ら2人に、他のみんなも優しく笑っていた。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 視察を終え、僕らは王都に帰ることになった。


 監視所から王都までは『転移魔法陣』で帰還する予定で、今は、その魔法陣の設置された別の監視所まで竜車で移動中だった。


 ガタゴト


 揺れる車内には、僕ら6人だけ。


 窓からは、遥か彼方に小さく『虹色の半球体』が見えていた。


(…………)


 悪魔の封印された空間。


 フレデリカさんの話を聞いたばかりだと、ただただ今後、何事もないことを願うばかりである。


 その時、


「あの封印、いつまで管理すればいいのかしらね?」  


 と、ソルティスが呟いた。


(ん?)


 僕らの視線が集まる。


 それに気づいて、


「400年守ってるけど、万が一があったら、みんな死んじゃう訳でしょ? あと、どれくらいそうした状況が続くのかしら……って、ふと思ったのよ」


「ああ……うん」


 そうだね、気持ちはわかる。


 もしもの時は、世界が滅ぶ――そんなものが存在すると思うだけで心の負担だ。


(でも、仕方ないよね)


 泣いても、喚いても、現状は変わらない。


 ずっと、がんばるしかないのだ。


 だけど、


「実は、貴族の中には、あえて封印を壊し、現れた『悪魔の欠片』を倒せばいいと短絡に考える者もいるようだ」 


「え……?」


 僕は、目を瞬く。


 そう口にしたアルンのお姉さんは、少し申し訳なさそうな顔だ。


 彼女は言う。


「これまで5度、マール殿たちが『悪魔の欠片』を倒してきたことで、どうも勘違いしているみたいでな」


「…………」


 え、本当なの?


 僕は唖然だ。


 ソルティスもポカンと口を開けているし、隣でポーちゃんも真似っ子である。


 キルトさんも苦そうな表情で「シュムリアにも一定数いるの、そうした連中は」と呟いた。


 ヒュオ……ッ


 冷たい気配。


 隣を見れば、イルティミナさんが氷の表情だった。


「馬鹿なのですか、その貴族たちは?」


 氷点下の声は、静かな怒りに満ちている。


(でも……うん)


 僕も同感。


 僕らが勝てたのは、たまたまだ。


 運の要素も大きかったし、何か1つでも条件が欠けていたら、間違いなく敗北していた。


 そして、世界は滅んでいただろう。


 実際に戦った僕らは、それがわかっている。


 だけど、


「そうした方々は、現場を知らないのだ」


「…………」


「これまでより戦力を揃えれば、もはや確実に勝てるのでは……と考えてしまうらしい」


 いやいやいや……。


(そんな訳ない)


 例えば、暗黒大陸の『悪魔の欠片・黒い水』は、僕らも打つ手がなかった。


 倒したのは、僕の母神である女神ヤーコウル様の御力である。


 そしてもし、あの『黒い水』が僕らのいるアルバック大陸の大地に侵食したら、アルン全軍100万の軍勢でも全滅するだろう。


 そう伝えると、


「当時の報告を聞いて、多数はそれがわかっている」


「…………」


「だが、わからぬ人もいるのだ」


「…………」


「その者たちは愚かにも、『ならば、また女神に力を貸してもらえるよう《神狗》殿に頼んでもらえばいい』などとのたまうぐらいなのだ……」


「は……」


 僕の口から、思わず息が抜けた。


 姉妹も呆気に取られた顔で、キルトさんはシュムリア貴族にも心当たりがあるのか、銀色の前髪をかき混ぜる。


 ポーちゃんは、いつもの無表情……だけど、冷淡な雰囲気だ。


 僕は迷いつつ、でも、言う。


「えっと……そんな風に神々を自分たちの道具みたいに思ってると、もしかしたら、神様たちの方が人類を滅ぼす側になるかもしれないよ?」


「…………」


 フレデリカさんは、息を飲む。


 でも、これは本気だ。


 優しい神様たちだって、時には怒る。


 特に300年前、人類が『神の子』らを囮に殺したことを、神様たちは忘れていないから。


 1度の愚かさは、見逃した。


 でも、次はないかもしれない。


 僕の言葉に、キルトさん、ソルティスも顔色を悪くしている。 


 でも、僕の奥さんのイルティミナさんは「当たり前です」と淡々と頷いていた。


 フレデリカさんは息を吐く。


「わかった。神の子の言葉として、本国にしかと伝えよう」


「うん」


 僕も頷く。


 人は弱い。


 だから、短絡に救われる方法を求めてしまう……その気持ちもわかる。


 でも、それじゃ駄目なんだ。


 どうしても怖くて、不安で、苦しくてもがんばらないといけない時もあるんだ。


(……うん)


 幸い、シュムリア、アルン両国の国王様と皇帝陛下は、優秀な方々だ。


 それをわかってくれている。


 国のトップがわかっているなら、愚かな貴族がいたとしても、きっと両国は間違った方向には行かないだろう。


 というか、そう信じたい。


 それに、


(…………)


 ギュッ


 僕は自分の手を見つめ、それを握る。


 何かあれば、僕も戦う。


 僕は、普通の人間より成長が遅い。


 当然、長生きだ。


 だからこそ、4体の『悪魔』と『悪魔の欠片』、30人ほどの『魔の眷属』たちと今後、長く戦っていくのが僕の運命かもしれない。


 イルティミナさんたちが死んだあとも……。 


 人間たちのために。


 それが、僕の……『マール』という存在の役目な予感がするのだ。


 その時、何かに気づいたのか、


「マール……?」


 僕の奥さんが心配そうに声をかけてくる。


 僕は「ううん」と笑った。


 そして、窓の外を見る。


 遥か遠方に見える『虹色の半球体』は、段々と小さくなっていく。


「…………」


 それをしばらく見つめ、やがて、青い瞳をゆっくりと閉じる。


 ゴトゴト


 それからも竜車に揺られ、やがて、僕らはその日の内に『転移魔法陣』によって王都ムーリアへと帰還した。

ご覧いただき、ありがとうございました。


次回更新は、来週の月曜日を予定しています。



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