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398・シュールの町

第398話になります。

よろしくお願いします。

「ここがシュールの町かぁ」


 王都を出発して約2週間、僕らは、王国東方にある港町シュールに到着した。


 馬車を降りる。


 途端に、潮の香りが僕の鼻腔へと広がった。


(うわぁ……)


 目の前には、青く煌めく大海原が広がっていた。


 遠くには、小さな島々も見えている。


 そして、港町というだけあって、シュールの町は海沿いに造られていた。


 漁業が盛んなのか、大きな港湾には、大小たくさんの船が停泊している姿もあった。


 砂浜には、観光客もいる。


(リゾート地でもあるのかな?)


 海沿いには、ホテルみたいな建物もたくさんあって、思った以上に大規模な町だった。


 ポーちゃんも、ちょっと珍しそうに町と海を眺めている。


 そんな幼女の姿に、僕とイルティミナさんとソルティスは、微笑ましい気持ちだった。


 すると、


「まずは依頼人に会いに行くぞ」


 とキルトさん。


(あ、うん)


 真面目なリーダーの言葉に頷いて、僕らは、シュールの町中へと入っていった。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 潮騒の音を聞きながら、南国風の木々が並んだ通りを歩いていく。


 やがて、1件の建物の前で、僕らは止まった。


「ここが『漁業ギルド』じゃ」


 今回の討伐クエストは、シュールの『漁業ギルド』から王国へと依頼が行き、そこから冒険者ギルドを通して僕らに任されたという。


 つまり『漁業ギルド』が依頼人。


(それにしても、立派な建物だね)


 その建物は、周辺でも一番大きく、かつ豪華なものだったんだ。


 ポカンと見上げていると、


「シュールは、王国東方海岸で一番の漁業の町です。王都に来る海産物のほぼ全てが、このシュール産なんですよ。なので、この町の『漁業ギルド』は、とても大きな力を持っているんです」


 と、物知りな僕の奥さん――イルティミナさんが教えてくれた。


(へ~、そうなんだ?)


 感心していると、


「ほれ、行くぞ」


 キルトさんが言って、建物の入り口へと歩いていく。


 僕らは慌てて、あとを追いかけた。



 ◇◇◇◇◇◇◇ 



「おう、よく来てくれたな! 鬼姫様たちの到着、待っていたぜ!」


 そう言って僕らを出迎えてくれたのは、『漁業ギルド』のギルド長モーリアス・バレントさんだ。


 モーリアスさんは、60代ぐらいの男の人だ。


 元漁師さんなんだって。


 だからか、その肌は日焼けしており、がっしり大柄で筋肉質だ。


 何より、剥き出しとなった両腕や顔には、漁の中で遭遇した海の魔物との戦いでついたという傷痕が無数にある。


 ……うん。


(見た目は、もう海賊だよね)


 そんな印象を覚える僕らは、応接室のソファーへと腰かけて、詳しい依頼の情報を教えてもらった。


 モーリアスさんは、


「漁場となる海域に、ジャイアント・シザーズが現れんだ」


 と言った。


 ジャイアント・シザーズとは、巨大な鋏を持ったザリガニみたいな魔物で、体長2~5メードはあるそうなんだ。


 基本は海中にいる。


 けれど、たまに船上の人間たちを襲うこともあるんだって。


 単独なら、まだ対処もできるんだけど、


「どうも漁場近くの小島で、巣を作ったみたいでな。繁殖して、100匹ぐれぇの群れになっちまってるんだ」


 とのこと。


 漁場となる海域は餌も豊富で、魔物たちも居座ってしまっている。


 このままだと海産物が採れず、漁業ギルドの組合員たちは生活していけなくなる。


 またシュールの町の経済にも悪影響が出ていて、このままだと、取引先となる王都の方にも問題が出てくるかもしれないそうなのだ。


(それは大変だ)


 だからこそ、『金印の魔狩人』が派遣されたんだ。


「なるほどの」


 キルトさんは頷いた。


「このまま放置すれば、最悪、その増えたジャイアント・シザーズを捕食しようと、より大型の海の魔物もやって来るやもしれぬ。その前に対処せねばな」


(え、そうなの?)


 海の魔物は、100メード以上の大型のものもいる。


 そんなのまで、漁場に来られたら……。


 モーリアスさんも渋い顔だ。


「そうなる前に、どうか頼むぜ」


 グッ


 テーブルに両手をついて、深く頭を下げてくる。


(うん)


 僕らは頷いた。


「わかった。わらわたちに任せるが良い」


 キルトさんも真剣な表情で、銀髪を揺らして大きく頷き、モーリアスさんに約束したんだ。

ご覧いただき、ありがとうございました。



書籍マール2巻の発売から、ちょうど10日ですね♪

挿絵(By みてみん)

書籍マールには、巻末に『書き下ろしSS(ショートストーリー)』がございます。

ウェブ版では、いつもマール視点の物語ですが、その書き下ろしSSでは、なんとマール以外の視点での物語が描かれています!(ど~ん)


1巻では、イルティミナ視点。

2巻では、ソルティス視点。

です♪


もし気になられましたら、ぜひぜひ、書籍マールを買って、その目で確かめてみて下さいね。現在、1巻、2巻、好評発売中です♪


そして、すでにご購入下さった皆さんは、本当に、本当にありがとうございます~!



※次回更新は、明後日の水曜日0時以降になります。どうぞ、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です(^_^ゞ ジャイアントシザーズ。 海に棲んいるザリガニみたいなモノって事は要するにロブスターですか!? 大物だから大味かも知れませんが、食いしん坊たち垂涎の獲物(魔物)っ…
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