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【書籍化&コミカライズ!】少年マールの転生冒険記 ~優しいお姉さん冒険者が、僕を守ってくれます!~  作者: 月ノ宮マクラ


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264・大海の脅威

第264話になります。

よろしくお願いします。

 シュムリア王国を発ってから、30日が経過した。


 当たり前だけど、船の旅は続いている。


 4隻の『開拓船』の周りには、青い大海原がどこまでも広がっていた。


 カィン ゴツッ


 その船の甲板に、2本の木剣のぶつかり合う音が響く。


 僕とキルトさんの稽古だ。


 ガキィン


 僕の全力の振り落としを、キルトさんの木剣が易々と受け止める。


 そして、


「よし、ここまでじゃ」

「はい」


 師匠の言葉に、僕は大きく息を吐いて、木剣を引いた。


 離れて見ていたイルティミナさんが、すぐにやって来てくれて、タオルと水筒を渡してくれる。


「はい、マール」

「ありがと、イルティミナさん」


 受け取り、汗を拭く。


 でも、思ったほど、汗はかいてはいなかった。


 遮るもののない強い日差しの中で動いたけれど、水筒も1口飲めばいいぐらいで、喉も乾いていない。


 ギュッ


 木剣を強く握る。


 いつもなら疲れ果てて、握力もなくなっているけれど、今はまだまだ余力があった。


 別に、僕の体力が上がったわけじゃない。


(それぐらい、稽古が軽かったんだ)


 ここ1週間ぐらい、そんな感じだった。


 実は、


「今日からは、体力を温存しながら稽古をするぞ」


 って、キルトさんに言われたんだ。


(なんで?)


 と思ったけれど、


「この海は、もう安全ではないからじゃ」


 という理由だった。


 前にシュムリア王国からヴェガ国に行った時の海は、すでに開拓され、安全がある程度、保証された航路だったんだ。


 でも、今は違う。


 暗黒大陸までの航路は、開拓されていない。


 そして、この異世界の海は、まだまだ人の領域ではなかった。


 陸上では考えられないサイズの魔物が、この海の底には多く生息しているというんだ。


 だからこそ、


「何かあった時のための力は、しっかり残しておかねばの」


 そう言って、キルトさんは稽古を切り上げるようになったんだ。


 今日も同じ。


 ちょっと物足りない気はするけれど、


(でも、仕方ないよね)


 ここはもう危険な戦場で、そこで稽古なんてしている方がおかしいのだから。


「あ、稽古、終わったの?」


 甲板のへりに寄りかかって、本を読んでいたソルティスが、僕らに気づいて顔をあげた。


「うん」

「そ。じゃあ、部屋に戻りましょ? こう日差しが強いと、本が焼けちゃうわ」


 パタン


 本を閉じて、少女は立ち上がる。


(あはは……)


 この子は相変わらず、マイペースだね。


 そしてマイペースと言えば、もう1人。


「…………」


 癖のある金髪を海風になびかせながら、ポーちゃんは、ずっと海の方を見ていた。


「ポーちゃん。部屋に帰ろう?」


 僕は呼びかける。


 いつもなら、コクッと頷いてくれる……だけど、


「…………」


 今日のポーちゃんは、まだ海の方を見ていた。


(?)


 聞こえなかったかな?


「ポーちゃん?」

「…………」


 もう一度呼びかけたけれど、反応がない。


 いったい、どうしたんだろう?


 僕らのやり取りに、他の3人も気づいて、こちらを振り返った。


 と、


「何か、来る」


 不意に、ポーちゃんが言った。


 え?


 そう思った瞬間、


 ドォーン ドォーン ドォーン


 遠くから、銅鑼の音が聞こえてきた。


「!?」


 慌てて、音の聞こえてきた方を見る。


 それは、ひし形の陣形となって進む4隻の『開拓船』の、一番先頭の『開拓船』から聞こえてきていた。


「3回は、危険の合図じゃ」


 キルトさんの表情が険しくなる。


 僕らと同じ甲板にいた水兵さんたちもざわつきだし、先頭の『開拓船』の方を見ていた。


 ガシャッ ガタガタ


 船室から、冒険者や神殿騎士さんたちも姿を現す。


「何事だ?」


 神殿騎士団長アーゼさんが問う。


「わからぬ」


 キルトさんは答えた。


 僕は、青い瞳を細めて、目を凝らす。


(……海面が白く泡立ってる?)


 そう気づく。


 その次の瞬間、


 ヒュオ


 何か白いものが海から飛び出し、空を飛んだように見えた。


「ぎゃっ!?」


 悲鳴が後ろから聞こえた。


(え?)


 振り返ると、水兵さんの1人が血を流して倒れていた。


 そばの甲板には、1匹の魚がピチピチと跳ねている。


 体長は15センチぐらい。


 でも、トビウオみたいにヒレが長い。


 そして、その魚のヒレは、今、真っ赤な血に染まっていた。


『グォオオン!』


 頭上のマストにいる『竜騎隊の竜』が、何かを威嚇するように唸った。


 誰よりも高い位置から見ているアミューケルさんが、


刃魚じんぎょの群れっす!」


 そう叫んだ。


 ほぼ同時に、


 ザパッ ザパパッ


 海から、何匹も『刃魚』と呼ばれた魚たちが飛び出してきた。


「うわっ!?」


 その1匹が僕へと向かってくる。


 慌てて、『白銀の手甲』で受けた。


 ガギィン


 火花が散った。


(えっ!?)


『刃魚』と呼ばれる魚の長いヒレは、刃物のように硬質で、太陽の光に妖しく青光りしていた。


 ゾクッ


 こんなの、空飛ぶ凶器だ。


 ザパッ ザパパッ


 次々と『刃魚』は海面から跳ねて、甲板にいる僕らへと飛びかかってくる。


 その1匹が迫り、ソルティスが焦った声をあげた。


「ちょっ!?」


(ソルティス!) 


 ヒュコッ


 僕は『妖精の剣』を引き抜き、少女に襲いかかった『刃魚』を切断する。


 少女の手前で、その恐ろしい魚は、真っ二つになって落ちた。


「大丈夫?」

「あ、あんがと」


 ソルティスは、青い顔でお礼を口にした。


 その間にも、『刃魚』たちは何十、何百の群れとなって、海の中から甲板上へと飛び込んでくる。


「うわっ?」

「痛え!」

「ひぃぃ!」


 何人かの水兵さんが血を流している。


 ヒュオッ パパァン


 イルティミナさんの白い槍と、ポーちゃんの拳が『刃魚』を蹴散らす。


 キルトさんも『雷の大剣』の一振りで、同時に3匹の『刃魚』を叩き潰しながら、


「皆、武器を取れ! 水兵たちを守るのじゃ!」


 そう周囲の冒険者たちへと叫んだ。


 船の操船のためには、水兵さんは必要な人たちだ。


「おう!」

「わかったわ!」


 冒険者の人たちは、すぐに応じてくれた。


「神殿騎士団、左舷は、冒険者団に任せる! 我らは右舷を守れ!」


 アーゼさんも叫んだ。


 神殿騎士団も「ははっ」と頷き、動きだす。


 僕も『妖精の剣』を構える。


「ソルティス、僕の後ろから出ないでね」

「わ、わかったわ」


 コクコクと頷く少女。


 落ち着いて、正面を見つめる。


 ザパッ ザパパパッ


 来た!


 青光りする魚の群れが、5匹、こちらへと飛翔してくる。


(落ち着け、マール!)


 まるで弾丸だ。


 それを、自分から斬りにいってはいけない。


(進路上に剣を置け!)


 キルトさんに教わった基本中の基本、カウンター発動だ。


 ヒュッ ヒュココン


 鮮血が舞い、5匹の『刃魚』が切断されて、甲板に落ちる。


(よし!)


 心の中で、ガッツポーズ。


 と、


「やるじゃないか、坊主!」


 え?


 突然、横から声をかけられた。


 見れば、そこには両手に戦槌を持った、30代ぐらいの見知らぬ冒険者さんがいた。


 彼は笑う。


「さすが、鬼姫キルトの弟子だな。いい腕だ」

「ど、どうも」


 突然のことで、間抜けな返事しかできなかった。


「こりゃ、俺もがんばらんとな」


 ヒュン


 彼は、戦槌を軽く回す。


 そこへ『刃魚』の群れが突っ込んでいく。


「へっ!」


 彼は笑い、2つの戦槌を振った。


 ドパッ ドパパァン


 血と肉の花火が空中に生まれた。


(!)


 10匹近い群れが、一瞬で潰された。


「おらよ!」


 ガチィン


 最後は、2つの戦槌を打ち合わせ、『刃魚』を潰す。


(凄い腕だ……)


 思わず、見惚れてしまう。


 彼は『どうよ?』とでも言いたげに、僕に白い歯を見せて笑った。


 そして、僕は気づいた。


 周りにいる冒険者さんたちは、皆、凄まじい技量で、『刃魚』たちをあっさりと倒していた。


 長刀を振り回し、『刃魚』の開きを大量生産している剣士。


 飛んでくる『刃魚』に、弓矢を打ち込む凄腕の弓使い。


 自身の周りに風の渦を作り、飛び込んでくる『刃魚』たちを細切れにしている魔法使い。


(凄い……)


 誰もが優れた戦士だった。


 さすが『開拓団』に選ばれるだけあって、全員が強者揃いだ。


 この中に、自分もいていいのかと不安になってしまうほどに。


 ガコォン ザシュッ


 一方、反対の右舷では、神殿騎士たちの戦闘が行われていた。


 整然と並んだ全員で大盾で飛来する『刃魚』たちを弾き、落ちたところを剣で突く。


 それだけ。


 単純作業のようだ。


(『刃魚』なんて、敵じゃないんだ)


 誰1人、慌ててもいない。


 ……冒険者団も、神殿騎士団も、ちょっと強すぎる。


 と、


『グボォオオオオ!』


 頭上から咆哮が聞こえたかと思うと、凄まじい紅蓮の炎が海へと向かって放射された。 


 竜の炎だ。


 ボジュッ ボジュジュッ


 火炎放射器のように照射される炎で、『刃魚』の群れは、一度に何十匹と焼き殺されていく。


「この船は、自分が守るっす!」


 アミューケルさんの鋭い声が響く。


(な、なんて頼もしい……)


 竜が味方であることが、こんなにも心強いなんて!


 しかも格好いい!


 ちょっと胸が熱くなる。


(負けるもんか!)


 僕は、再び『妖精の剣』を構えて、向かってくる『刃魚』へと剣を振り続けた。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 やがて、海面から飛んでくる『刃魚』の群れは、数を減らしていった。


 見れば、他の3隻の『開拓船』も襲われていたようだけれど、そこにいた王国騎士団によって、大きな被害はないようだった。


 遠目にも、マストの上の3匹の竜たちが炎を吐いている姿は格好良かった。


 ヒュコッ


 僕は、飛んできた1匹を切断する。


(これで、終わりかな?)


 見れば、甲板上には、大量の『刃魚』の死骸が転がっていた。


 足元は血で真っ赤だ。


「マール、大丈夫でしたか?」


 白い槍を赤く濡らしたイルティミナさんが駆け寄ってくる。


 僕は笑った。


「うん」

「よかった……」


 キルトさんもやって来る。


「そなたら、無事か?」

「うん」

「えぇ、平気よ」

「…………(コクッ)」


 僕ら年少組の答えに、キルトさんは「そうか」と息を吐いた。


 彼女も、相当の数を倒したんだろう。


 綺麗な銀髪や黒い鎧は血に濡れて、顔にも、返り血が散っていた。


 彼女は海の方を見ながら、


「どうやら、一段落したようじゃな」


 と言った。


 海面からは、もう『刃魚』は跳ねてこない。


 甲板上で、まだ息のある奴だけがピチピチと動いているだけだ。


 まるで刃物の嵐だった。


 でも、その嵐も無事に通り過ぎたみたいだった。


(ふぅぅ)


 これで一安心かな?


 でも、この『刃魚』たちは、いったい何がしたかったんだろう?


(僕らを襲って、食べたかった?)


 その割には、甲板に落ちる奴の方が多かったけど。


 それはまるで、何かから逃げるため、パニックになって、思わず陸上に上がってしまったような……そんな印象だった。 


 …………。


 逃げる?


 この恐ろしい『刃魚』の群れが?


 何から?


 そう思った時だ。


「海の中に、何か、いる」


 ポーちゃんの呟きが聞こえた。


(え?)


 ポーちゃんは、船縁から海面を覗き込んでいた。


 …………。


 僕らも、そちらに近づいた。


 ポーちゃんの声が聞こえた、近くの冒険者さんたちも、硬い表情でそちらに歩いていった。


 みんなで海を覗く。


「…………」


 黒い影があった。


 青い海。


 そこに刃魚たちの血が流れ落ちている。


 そのもっと奥に、海の中を移動している『巨大な何か』がいた。


(っっっ)


 心臓が鷲掴みにされたような恐怖。


 その影の大きさは、この『開拓船』と同じぐらいのサイズだった。


 皆が青ざめ、息を殺した。


 僕らのいる『開拓船』の下を、音もなく通過していく。


 反対側にいった。


 僕らも慌てて、反対の船縁へと移動する。


 巨大な影は、海面下を移動していく。


 その進路上にあったのは、ひし形の左側に配置されていた『開拓船』の1隻だ。


「ま、まずくない?」


 少女が震える声で言った。


 僕は、何も答えられなかった。


 距離があり過ぎて、僕らからは何もすることができない。


 と、青い海面下から、細長い吸盤のついた触手が持ち上がった。


「あ」


 それが、遠い『開拓船』に巻きつく。


 甲板上の王国騎士たちが、慌てている様子が見える。


 触手は、更に海面下から増えた。


 計3本。


 それが船体に巻きついている。


 船が大きく傾いた。


「いかん!」


 キルトさんが険しい表情で言う。


 カシャン


 イルティミナさんの手にある『白翼の槍』の翼飾りが解放され、内側にあった魔法石と美しい刃を輝かせる。


 それを逆手に構え、


「シィッ!」


 新しき『金印の魔狩人』は投擲した。


 白い閃光が、青い空を舞う。


 ドパァン


 触手の1本に命中した。


 肉が弾け、血が飛び散る。


 巻きつく力が緩んだ。


 それを見て、全員の目が覚めたようだった。


「遠距離攻撃ができるものは、あの触手を狙え! 船体から引き剥がすのじゃ!」


 キルトさんが叫ぶ。


 そして、冒険者たちの中で、弓を持つ者、魔法を使う者は、一斉に攻撃を開始した。


 ソルティスも、


「風の乙女よ。あの気持ち悪い触手を、断ち切って! ――ウィン・ドゥ・フォーシス」


 大杖の魔法石を輝かせる。


 杖から吹き出した風は、両腕が翼となった乙女となって、遠い『開拓船』に巻きつく触手へと飛翔し、その真空波の翼で斬りかかっていく。


 イルティミナさんも、


「シィッ!」


 白い槍の投擲を続行する。


 神殿騎士団も、手にする武器を剣から杖に持ち替えて、空を走る青い雷光を叩き込んでいく。


 他の2隻の『開拓船』からも、弓矢や魔法などが飛来した。


 まさに集中攻撃。


 空中に血と肉が弾け、3本の触手が緩んだ。


(やった……!)


 喜んだのも束の間、


「あ!?」


 海面下から、更に7本の触手が生えてきて、更には本体らしい巨大なタコのような生物が姿を現した。


 粘液にぬめったような頭部。


 そこには、巨大な口が裂けていて、内側には、大量の牙が生え揃っていた。


「本体が出たか!」


 キルトさんの声。


 タコの表面には、たくさんの目玉が蠢いている。


(き、気持ち悪い……っ) 


 その異形の姿は、生理的に受け付けない何かがあった。


 全長100メード以上の巨大ダコ。


 それは、頭部の巨大な口を裂きながら、『開拓船』を飲み込もうと接近する。


 その口めがけて、


 ボボォオオン


 その『開拓船』のマストにいた竜が、凄まじい炎を浴びせた。


 巨大ダコが、怯んだように身をよじる。


 竜は飛翔し、更に至近距離から、炎のブレスを浴びせかけていく。


「がんばれー!」


 思わず、僕は、竜へと声援を送る。


 その炎を嫌ったのか、巨大ダコは触手を持ち上げ、竜を捕まえようとする。


 それをかわしながら、竜は炎を吐き続ける。


 その熱波は、遠いここまで、かすかに届くほどだ。


 至近距離で浴び続ける巨大ダコも、無事では済まない熱量だった。


 バサッ


 と、アミューケルさんも、仲間の『竜騎隊』をサポートするためか、この『開拓船』のマストから飛び立っていった。


 他の2隻からも、『竜騎隊の竜』たちは飛び立つ。


 炎に意識が向いている巨大ダコの死角から、接近した竜は、その鋭い鉤爪で襲いかかる。


 ガキュッ


 肉が裂かれ、血が溢れた。


 触手がそちらに向かえば、ヒラリと回避し、他の竜たちが襲いかかる。


 4頭の竜からの多重攻撃。


 そして、その間も、イルティミナさんたちの総攻撃は、船体に巻きつく触手へと行われ続けていた。


 と、


(あ……)


『竜騎隊の竜』の頭部から、1人の『竜騎士』が巨大ダコめがけて飛び降りた。


 レイドルさんだ。


 僕の目は、遠いその姿をはっきりと捉えていた。


 彼は、身体を回転させる。


(!)


 この距離でもわかる凄まじい『圧』だ!


 次の瞬間、回転したレイドルさんの手にした剣が輝き、その光が長い剣閃となって巨大ダコの頭部に打ち込まれた。


 頭部の3分の1が切断された。


 大量の血液が舞う。


『竜騎隊』は『竜』だけではない、その凄まじい『竜騎士』の実力を見せつけられた。


 そのまま落下するレイドルさんは、竜が追いかけ、その頭部で受け止めて、また上空へと飛翔していく。


 綺麗なコンビネーション。


 そして、巨大ダコは、その触手から力を失って、捕えていた『開拓船』を開放した。


「やった!」


 僕は、つい声をあげてしまった。 


 他の冒険者や神殿騎士からも歓声が上がる。


『竜騎隊』は、凱旋するように上空を旋回しながら、水没していく巨大ダコを見ていた。


 と、その時、


 ザパァアアン


(あ……?)


 その瀕死の巨大ダコを、更に海中から現れた巨大な鰐のような頭部が咥えた。


 歓声が止んだ。


 巨大ダコは抵抗するも、巨大鰐に噛みつかれたまま、そのまま深い海中へと引きずり込まれて行ってしまう。


「…………」

「…………」

「…………」


 誰も、何も声が出なかった。


 下手をしたら、『開拓船』をも一飲みにできそうな口の大きさだった。


 全身ならば、いったいどれほどの大きさだったろう?


(…………)


 自分たちが、この海の世界でどれほど弱い立場であったのか、思い知らされた気がする。


 キルトさんが叫んだ。


「呆けるな! 皆、急ぎ、この海域から離脱するぞ!」


 その一喝で、動きを停めていた水兵さんたちも、再び動き始めた。


 …………。


 航海を初めて30日。


 暗黒大陸を目指す僕らはまだ、無事に海の旅を続けている――。

ご覧いただき、ありがとうございました。


※次回更新は、明後日の金曜日0時以降になります。どうぞ、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] こういう海をジュラキュール・ミホークみたいな筏一つで渡れるような人類は、この世界には居ないのかな?
[良い点] 更新お疲れ様です(^_^ゞ 稽古が内容が軽いって事は、それだけ強くなってきたって証しなのでしょうが随分と贅沢な悩みですね! [気になる点] タコの足は八本でイカの足が十本では? 地球上の…
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