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【書籍化&コミカライズ!】少年マールの転生冒険記 ~優しいお姉さん冒険者が、僕を守ってくれます!~  作者: 月ノ宮マクラ


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242/825

239・5人の金印

第239話になります。

よろしくお願いします。

 地響きと共に暴風竜が駆けてくる。


 迎え撃つように、アルンが誇る金印の魔狩人ガルン・ビリーラングが前に出た。黒い兜をガチンッと被り、雪煙を散らして大地を蹴ると、背負っていたタナトス魔法武具の戦斧を抜き放つ。


 戦斧に刻まれた魔法文字が輝き、


「一刀・岩砕斬!」


 ヒュドン


 振り下ろされた刃は、暴風竜の眼前の地面へと叩きつけられた。


 ドパァアン


(うわっ!?)


 その破壊力に大地が吹き飛び、雪煙が爆発して、煙幕のように広がった。


『グギャア!?』


 暴風竜の驚きの鳴き声が、舞い上がった雪煙の向こうから聞こえてくる。


「今の内でござる!」


 ガルンさんが叫ぶ。


 キルトさんは頷いた。


「よし! フレデリカ、そなたはマールたちを連れて、下の森まで走れ! イルナ、コロン、ゲルフ、わらわたち5人で奴を何とかするぞ!」


 黒騎士のお姉さんは、「わかった」と答える。


 グッ


 僕の腕を掴んで、引っ張った。


「行こう、マール殿」


 拒否を許さぬ強い声。


 僕、ラプト、レクトアリス、ポーちゃんの4人は、女神様に会った代償で『神気』が使えない足手まといの状態だ。


(悔しいけど……)


 僕は唇を噛み締めながら、頷いた。


 と、雪煙の一部が揺らめいた。


 ヒュガッ


(真空波だ!)


 見えない僕らに向かって、暴風竜が闇雲に撃ち出したんだ。


「一刀・岩砕爆陣!」


 バヒュッ ガヒュンッ


 ガルンさんの戦斧が連続で振るわれ、それらを叩き潰す。


 キルトさんも雷の大剣を抜き、


「鬼剣・雷光連斬!」


 バヂッ バヂィン


 青い雷光を走らせながら、真空波を打ち消していった。 


「急げ!」


 雷光に照らされるキルトさんの横顔が叫ぶ。


「さぁ、マール殿!」

「うん!」


 フレデリカさんと共に、僕は走りだす。 


 ソルティスやラプトたちも歯がゆそうな顔をしていたけれど、僕らと一緒に足を動かしだした。


「君たちも一緒に」


 ゲルフォンベルクさんの声で、仲間の3人の女冒険者さんも下山を開始する。


「自分ら、気をつけや!」


 ラプトが声をかけ、キルトさんは前を見たまま、笑って頷く。


 隣を走るソルティスが振り返った。


「イルナ姉!」


 少女の姉は、キルトさんとガルンさんの後方で、いつでも援護に動けるように控えている。


(イルティミナさん……っ)


 心の中で名前を呼ぶ。


 と、


「――――」


 まるでそれが聞こえたように、こちらを振り返った。


 優しい笑顔。


 いつもの笑顔を浮かべたまま、僕らを安心させるように頷いた。そして、すぐに前を向く。


 ボバァアン 


 雪煙の壁を突き抜けて、巨大な竜が飛び出してきた。


『グギャアオオン!』


「おぉおお!」

「ぬん!」


 キルトさんとガルンさんが、振り下ろされる巨大な爪を受け止め、受け流す。


 そこへ、


「シィッ!」


 イルティミナさんが白い槍を投擲する。


 ドパァアン


 直撃。


 けれど、風をまとった暴風竜には、あまり効いていない。


 奴は大きく開口して、


「やらせないよ!」


 その瞬間、ゲルフォンベルクさんがその口内へと、何かを正確に放り込んだ。


 ドパァアン


 爆発。


 暴風を吐こうとしていた暴風竜は、大きく仰け反り、後退した。


 それを見て、前衛のキルトさん、ガルンさんの2人が追撃しようとする。


 ところが、下がった暴風竜はその場でグルンと回転して、巨大な長い尾を振り回し、逆に2人の人間を弾き飛ばしてしまう。


 ズガァン


「ぐっ!」

「ぬうっ!」


 それぞれの武器を盾にして、何とか防ぐ。


 けれど、20メードは吹き飛ばされ、地面を転がる。


 すぐに2人は起きあがろうとして、けれど、その前に暴風竜は、その巨体で飛びかかろうとした。


 キュドドドン


 その巨竜の上空から、雨に混じって光の矢が落ちてきた。


『ギュオア!?』


 鱗が弾け、血飛沫が舞う。


 見れば、一番後ろにいたコロンチュードさんが、玩具のような魔法の杖を天高くに向けていた。その先端の魔法石は、光の矢と同じ色の輝きを放っている。


「シィッ!」


 イルティミナさんも、白い槍を投げて加勢する。


 ゲルフォンベルクさんも魔法武具の短剣を片手に、もう片方の手には、爆薬らしい丸い球体を握って、暴風竜の動向を注視していた。


『暴風竜』対5人の『金印の冒険者』。


 その苛烈な戦いは、雨中に飲まれ、遠ざかる僕の視界からは、だんだんと見えなくなる。


 ギン ガィン


 灰色の世界に、激しい音が響く。


 時折、青い雷光が走る。


 ドパァン


 爆発音と炎が小さく見えて、けれど、それらも雨のカーテンの向こうに消えていく。


(…………)


 ――みんな、どうか無事で。

 

 5人の激しい戦いの気配を感じながら、無力な僕らは、必死な下山を続けた。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 土砂降りの雨が視界を遮り、音と匂いも消してくれて、僕らは他の竜に襲われることもなく、3時間ほどで麓の森へと辿り着いた。


「はぁ、はぁ」

「ふぅ……ふぅ……」


 大きな葉の集まった空間で、身を隠しながら休息する。


「大丈夫か、マール殿?」


 フレデリカさんが近づいてくる。


 彼女の綺麗な青い髪は、濡れて艶やかに煌めき、ほつれた髪が頬にかかっていた。


 その手には、革袋の水筒がある。


「今の内に、水分補給をしておいてくれ」


 と差し出してくる。


「うん、ありがと」


 受け取り、口をつけて、中の水を喉へと流し込む。


 ゴク ゴク


 美味しい。


 夢中で気がつかなかったけれど、走りながら下山したことでずいぶん脱水していたみたいだ。


(雨の中なのにね)


 なんだか変な感じだよ。


 喉を潤した僕は、水筒を隣のソルティスにも渡した。


「はい、ソルティス」

「……ん」


 一瞬、飲み口を見つめて、少女は、すぐに口をつけた。


 コク コク


 白い喉が動く。


 彼女も乾いていたみたいで、かなり夢中で飲んでいた。


 そして、ラプト、レクトアリス、ポーちゃん、3人の女冒険者さん、みんなが水を飲んでいく。


 最後に、水筒はフレデリカさんに戻る。


「ん」


 ゴクッ


 彼女は一口だけ飲んで、水筒をしまった。


 一口だけ?


「飲み過ぎると、動けなくなるからな」


 僕の視線に気づいて、鍛えられた黒騎士のお姉さんは、そう教えてくれた。


 ここは戦場だ。

 安全な場所に着くまでは、気を抜くわけにはいかない。


 そんな意志が、引き締まった表情から伝わってくる。


(…………)


 さすがフレデリカさんだ。


 ガブ飲みしてしまった自分が、ちょっと恥ずかしかった。


「私は護衛だからな。マール殿はそれで良い」


 反省する僕に、フレデリカさんは優しく笑うと、濡れた僕の髪を撫でてくれた。


 それから、


「おっと……すまない。また気軽に触れてしまったな」


 と申し訳なさそうに謝った。


「ううん、平気だよ」


 僕は笑った。


 みんな、結構、僕のことを犬を撫でるみたいに簡単に撫でてくるしね。


 もう慣れっこだ。


 フレデリカさんも「そうか」と安心したように笑った。


 そんな風にして過ごしながら、僕らは、山の方から戻ってくるだろう5人の仲間を待ち続けた。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 あれから、5時間が過ぎた。


 雨はすでに上がってしまっている。


 日はとっくに暮れていて、周囲は闇に包まれていた。空には灰色の雲が残っていて、余計に視界は暗い。


(…………)


 まだ5人は戻ってきていない。


「……遅いわね」


 まるで僕の気持ちを代弁したみたいに、ソルティスが小さく呟いた。


 ドキッとした。


 どうしても考えたくない最悪の想像をしてしまう。


 きっと彼女も同じだったのかもしれない。


「大丈夫だ」


 フレデリカさんが、少女の肩に手を置いた。


「あの5人は、全員、『金印の冒険者』なのだぞ? この世で考えうる最高のパーティー構成だ。万が一のこともあり得ない」

「…………」


 少女は頷いた。


 頷くしかなかったんだ。


 冒険の世界は、とても過酷で、どんなに万全の準備をしたと思っても、最悪の事態は起きることがある。


 それを少女も知っている。


 きっとフレデリカさんも知っているけれど、それを口にしてしまえば、現実になってしまいそうで口にはできない。


 同じ理由で、ソルティスも頷くしかなかったんだ。


「はよ、戻って来いや」

「……本当よ」

「…………」


 ラプトたちも、真っ黒なカリギュア霊峰を見上げながら、願いという名の愚痴をこぼす。


 3人の女冒険者さんも、自分たちのリーダーがいる山を見つめ続けた。


 …………。


 寒いな……。


 雨に濡れたからか、タオルで拭いたのに、身体が冷えている。


 いや、


(心が冷えているのかな)


 そう思った。


 早く戻ってきて欲しい。


 最後に見たあの人の笑顔を思い出しながら、心の中で、強くそう願う。


 と、その時だ。


 水の匂いに包まれた雨上がりの世界で、ふと僕の鼻が感じた。


(あ……)


 思わず、立ち上がる。


「マール殿?」


 フレデリカさんが驚いた顔をする。


 それに答えず、僕は隠れていた大きな葉に包まれた空間から、何もない山肌の方へと歩みでた。


「どうしたの?」


 ソルティスも声をかけてくる。


 フレデリカさんは、


「他の竜に見つかる。早く戻って――」

「ランタン」


 言いかけた彼女を遮るように、僕は口にしていた。


「何?」


 怪訝な顔をする黒騎士のお姉さん。


 僕は、すぐに戻ると、荷物の中からランタンを取り出して、火を点けようとする。


(くそっ)


 焦ってしまって、上手く点けられない。


「どうしたんや、マール?」


 ラプトが問いかけてくる。


 でも、僕は答える余裕もなくて、すると何かを察したのか、ポーちゃんが代わりにランタンに火を灯してくれた。


「ありがと」

「…………(フルフル)」


 お礼もそこそこに、僕は再び茂みの外に出た。


 ランタンを掲げて、大きく円を描くように回した。


 グルン グルン


「…………」


 みんなももう、何も言わずにそれを見ていた。


 と、


(あ……)


 ポッ


 突然、山の真っ暗な斜面に、小さな光が灯った。


 それは、小さく円を描く。


 まるで、僕の揺らしたランタンの光に応えようとしてくれたみたいに。


 心が震えた。


 ランタンの灯りが点いたみたいに、僕の胸の奥にも熱い何かが灯った気がしたんだ。


「ちょっと、あれって!?」


 ソルティスが声を弾ませ、小さな指をそちらに向かって伸ばした。


 他のみんなも気づいて、茂みの外に出てきている。


「――うん」


 僕は、少し涙ぐんだ声で答えた。


「みんな、帰ってきたんだ」



 ◇◇◇◇◇◇◇



 ランタンの灯りは見えたけれど、遠くに見えたそれは、すぐに消えてしまった。


「夜行性の竜に気づかれる。マール殿も火を消すんだ」


 あ、そうか。


 急いで、僕もランタンの灯りを消す。


 フレデリカさんが僕の肩に触れる。


「もう心配は要らない。向こうもこちらの位置に気づいたはずだ。ゆっくりと待とう」

「うん」


 微笑むお姉さんに、僕は頷く。


 でも、光は見えても、実際そこまでの距離はかなりある。


 再び闇の中にランタンの光が灯されて、僕が、ようやく下山した5人の姿を確認できたのは、それから1時間後のことだった。


 …………。


 遠くに揺れるランタンの灯りに、5人の影が浮かび上がる。


 こちらもランタンを灯して、迎える準備は万全だ。


 やがて、姿がはっきり見えた。


(イルティミナさん……っ)


 泥と雨水に汚れたあの人の姿があった。   


 思わず、駆けだしていた。


「マール……っ」


 こちらに気づいて、イルティミナさんも駆け寄ってくる。


 ギュッ


 彼女の方が足が速くて、中間点どころか、僕が4分の1も行かない地点で、お互いに抱きしめ合った。


「あぁっ、ただいま帰りました、マール」


 嬉しそうな声。


 白い鎧には何箇所も裂け目ができていて、その下の衣服には血の跡も残っていた。


 目尻の上にも、魔法で直したのか、白くなった傷痕がある。


(っっ)


 見れば、他の4人もボロボロだった。


 ゲルフォンベルクさんの『旅服』は、穴だらけでボロ布のようになっているし、キルトさん、ガルンさんの鎧にも凹み跡が無数にある。


 唯一無傷に見えるのは、後衛のコロンチュードさんだけだけど、魔法を使いすぎたのか、魔力切れを起こしたように真っ白な顔色で、今にも倒れてしまいそうな足取りだった。


 僕は息を吸い、


「――おかえりなさい」 


 少しだけ声が震えた。


 イルティミナさんは笑みを深くし、キルトさんも頷いた。


「遅くなったの」


 そう言いながら、何かが喉に引っ掛かったようで、何かをペッと吐き出す。


 地面に落ちたのは、血だった。


 気づいたソルティスが、心配そうに訊ねる。


「だ、大丈夫なの?」

「うむ」


 キルトさんは平然とした顔だ。


「コロンの魔力が切れての。最低限の手当てしかしてこなかった。だが、まぁ問題はない」


 そ、そう。


 フレデリカさんが山の方を見上げた。


「暴風竜は?」

「なんとか足止めしてきたよ」


 ゲルフォンベルクさんが、肩を揉みながら笑った。


 彼は、駆け寄ったポーちゃんに肩を貸されているハイエルフさんを、チラッと振り返って、


「彼女の魔法でね、大きな穴を作って、そこに落としてきたんだ。上には、大きな岩で蓋をしてきたから、出てくるまでには、きっと数日はかかると思うよ」


 と教えてくれる。


 コロンチュードさんは、


「……疲れた」


 と、いつも以上に眠そうな声だった。


 兜を脱いだガルンさんは、その禿頭を、自身の大きな手で軽く撫でながら、


「不殺というのは、本当に面倒でござった」


 と、大きな吐息をこぼした。


 他の4人の『金印の冒険者』も頷く。


 それからゲルフォンベルクさんは笑って、ガルンさんの背中を叩く。


「でも、ガルンさんは凄かったよ。最後に、暴風竜の前足を1本斬り落として、落とし穴に突き落としたんだから」

「何、イルティミナ殿の援護のおかげでござるよ」


 彼は、白い槍の美女を見る。


「あのタイミングで攻撃してもらえなければ、こちらがカウンターで暴風竜にやられていたでござる」

「うん、そうだね」


 2人のアルンの『金印』の視線に、


「キルトが、私を真空波から守ってくれていましたからね。おかげで落ち着いて、槍を投げられました」


 僕を片手に抱いたまま、イルティミナさんはそう答えた。


 キルトさんは笑う。


「つまりは皆の力があってこそ、ということじゃ」


 それに4人も笑った。


(…………)


 死闘を共に乗り越えたからかな? 5人の距離感が縮まっている気がした。


 でも、よかったよ……。


 ギュウ


(みんなが……イルティミナさんが無事で……)


 僕は、その存在を確かめるように、彼女に回している両手に力を込める。


「…………」

「…………」


 気づいたイルティミナさんは、優しく笑った。

 

 僕の髪を、ゆっくり撫でる。


 ソルティスも泣きそうな顔をしていて、キルトさんが、少女の紫色の濡れた髪を撫でていた。


 そして彼女は、皆を見る。


「ここにいるのも、視界が開けていてまずい。まずは森に入ろう。そして、野営の準備をしようではないか」


 みんな、頷いた。


 それから僕ら14人は、森の中へと入っていく。


 適当な大木の根本で、焚火を起こして、携帯食料をかじりながら休息を取った。


 4人の傷は、ソルティスが魔法で治した。


 コロンチュードさんは、魔力回復薬を口にして、そのまま気を失うように眠ってしまった。傷はなくても、一番消耗したのは、彼女だったのかもしれないね。

 ポーちゃんは、そんなコロンチュードさんに、ずっと寄り添っていたよ。


 3人の女冒険者さんは、ゲルフォンベルクさんの食事の世話をしたり、傷の手当てをしてあげたり、とても甲斐甲斐しかった。


 ガルンさんは戦斧の手入れをしながら、


「イルティミナ殿、もしよければ後日、手合わせなどいかがでござろう?」


 などと誘っていた。


 武人って凄いね……。

 もちろんイルティミナさんは「結構です」としっかりお断りしていました。


 キルトさんは、


「体内の消毒じゃ」


 と、お酒を美味しそうに口にして、


「血が止まらなくなるでしょ!」


 と、治療したソルティスに怒られていた。

 あはは……。思わず、ラプト、レクトアリスと顔を見合わせて、苦笑いしてしまったよ。


 夜の見張りは、イルティミナさん、ゲルフォンベルクさん、コロンチュードさんの消耗が激しかったので、3人には休んでもらい、その分、フレデリカさんと3人の女冒険者さんが担当してくれた。


 キルトさんとガルンさんにも休んでもらいたかったけれど、


「問題ない」

「これぐらい平気でござるよ」


 と言って、見張りに参加してくれた。


 2人とも、本当にタフだよね……。


『神の眷属』である僕ら4人は『神気』が使えなかったけれど、見張りぐらいできるので、もちろん参加だ。


 その夜、


「人間ってのは、ほんまに大したもんやなぁ」


 一緒に見張りをしたラプトは呟いていた。


(うん、そうだね)


 あんな恐ろしい巨大な竜に抗って、全員、生き残っているんだもの。


(正直、僕には、その自信がないよ)


 5人とも、本当に凄い人たちだ。


 深い眠りに落ちている、イルティミナさんの綺麗な寝顔を眺めながら、そんな風に思った。


 そうして夜が明ける。


 それからは、往路と同じくまたゲルフォンベルクさんが斥候に立ち、竜たちに出会わないようにしながら、2日間かけて森を抜けた。


 万の竜が棲む『万竜の山』。


 僕ら14人は、その地を脱して、やがて無事、近くの街へと帰ることができたんだ。

ご覧いただき、ありがとうございました。


※次回更新は、明後日の水曜日0時以降になります。どうぞ、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です(^_^ゞ 相変わらずマールは凄い嗅覚してますね! 忠犬マールはイルティミナの臭いを決して嗅ぎ逃さない‼ …………こう書くとマールが変態っぽく感じますね(笑) [一言] …
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