3話
俺のシュヴァリエ家に委任されているイズーゼ村は村とつくがこれは国で定められた行政区画に則っている。国は王の住む街を王都とし、公爵以下侯爵以上の住む街を街。子爵及び男爵の住む街を町とし、騎士の治める委任地をどんなに大きくても村とすることを定めている。そして、イズーゼ村はシュヴァリエ家の委任地であるために村とされているが実際は町と言っても可笑しくない規模を誇っている。まぁ、その税収を狙って父を殺したのだろう。もちろん、母と妹たちが美人なのも事実なのでそちらが大きかったのだろうが。それはともかく、都市が大きくなると必然的にできるのな貧民街つまりスラムだ。
「トーリとは母と妹達と背格好が似ている人物を貧民街の住民でリストアップしてくれないか?」
「それは、スラムの女達をヴァルウルプ家に送るという認識でよろしいのですな?」
そう、俺は今回母と妹を貴族へやらない代わりに貧民街の女性達を貴族へ送ろうと考えた。幸い、母と妹はイズーゼ村から出ることはほとんど無く美人だ、綺麗だと噂はあっても具体的な噂は何一つないのだからバレないと思われる。
「そうだ。だが、本人の意思を優先する、本人が拒むようであれば私は絶対にその人をヴァルウルプ家に送ることはしない。」
「わかりました。直ちにリストアップを開始します。」
だが、普通はこの話を断るような貧民街の住人はいない。辛い生活になるかもしれないが飢えることはなくなり日々怯えることもない。貴族の相手を一月に何度かするだけで今の生活からは考えられない暮らしができるのだ。最も貴族全体から見ると騎士出身の側室の生活は使用人と同等かそれ以下という水準なので普通と騎士は行きたがらないのだが…。
「イッシキさんには情報統制をお願いしたいんです。イズーゼ村の住民や裏の人たちへの情報統制をお願いします。影ノ衆を使っても大丈夫です。」
「わかりました。あくまでも客人身分の私をこの重要な場面で重要な役割をやらせていただけること光栄に思います。影の役割しっかりと果たさせていただきます。」
情報統制は裏の住民との交渉、市井への母と妹の容姿の噂、俺が臥せっていることなどを不審がられない程度に流してもらう。イッシキさんは長いことシュヴァリエ家の影ノ衆を束ねているからそれくらいなら造作もないことだろう。
「私は今から伯爵に臥せっている旨の手紙を書きます。ケイティ私の部屋に紙とペンを置いといてください。そして、私があたかも臥せっているように生活するようお願いします。そして、スラムの人選が終わり次第屋敷に招いて教育を受けさせます。それについては後で話しましょう。」
そう、俺は絶対に失敗するわけにはいかない。前世の記憶を取り戻し、この世界の騎士の扱いの酷さを身にしみて感じている今絶対に家族をクソッタレな貴族に渡すわけにはいかないのだ。
「大丈夫、母上もエルレアもエリスもヴァルウルプ家になんか行かせないよ。父上が死んでしまった今私達は離れるわけには行かないそうだろう?」
俺は母と妹にそう言いながら笑いかけると3人は感極まったように俺に抱きついて泣き崩れた。




