表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/27

霧の彼方(未完)

執筆日:2015年12月7日

お題 :淡い結末

 日本列島を覆う深い霧は、一週間も続いていた。

 テレビでも連日、この霧についての報道がされている。しかし、発生と持続の原因ははっきりせず、さまざまな憶測が飛び交っている。完全に異常気象だ。

 ラジオから聞こえる気象学の専門家の解説を聞き流しながら、松島は、愛車のヘッドライトが照らす道の先を注意深くにらみつけ、会社への道のりをとろとろと走っていた。こんな状況であるにも関わらず、仕事は休まない。大多数の国民は、こんな霧程度で仕事を止めることは許されないのだ。

「こんなんじゃ、事故っても仕方ないよなぁ」

 霧の影響で、各地では交通事故が多発している。松島の会社でも先日、事務員が車をぶつけられたばかりだ。松島自身、何度危ない目にあったことか。

「なんなんだろうな、この霧」

 ライトが照らす霧の向こう。通いなれた道であるにも関わらず、先行きのわからない不安がそこに蟠っている。その不安は、きりきりと彼の神経を蝕んだ。

 しばらく休みを取りたくても、はっきりとしない理由では取り難いし、不安を感じているのは皆おなじであろうと思うと、なかなか行動に移せない。それにただでさえ、霧の影響で仕事も滞り気味なのだ。ますます休めない。

「……また、深くなったな」

 日に日に濃く深くなっていく白い闇に、松島は悪寒すら感じて唾をごくりと飲み込んだ。嫌な汗が背中をすべる。知らずうちに呼吸も乱れて、軽い酸欠になりかける。

 いかんいかん……と頭を振って気を強くするが、次第に強くなっていく霧に、何度も目をしばたたかせた。

 何か、おかしい。

「道を、間違えてないか……」

 霧の合間から見える標識や歩道の雰囲気が、いつもと違う。だが、会社までの道はほぼ一直線なのだ。広い国道に出て、それからまっすぐに進めば――

「国道……」

 いつもは、自分と同じく通勤の車が周りを走っている。霧が出てからもそれは変わらない、広い国道――の、はずだった。

 松島は、この道を自分の車しか走っていないことに気がついた。

 いいや、そんなはずはない。そう思い直してみても、やはり他車の気配がない。窓を開けて耳をすませてみると、ますますその予想は強まった。思い切って車を路肩につけ、エンジンを切ってから、同じように耳をすませた。

 何も聞こえなかった。

 多くの店や会社が立ち並ぶ国道とはとても思えない、つめたいほどの静寂だった。

「そういえば……」

 ふいに、松島はいやな話を思い出した。

 この霧が発生してから、各地で行方不明者が続出しているという噂話である。

 テレビでも何度か取り扱ったニュースだが、あまり大きくは取り上げられない。信憑性がないとのことで、霧にかこつけたいたずらではないか、と見られていた。

 松島もその噂は信じておらず、

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ