霧の彼方(未完)
執筆日:2015年12月7日
お題 :淡い結末
日本列島を覆う深い霧は、一週間も続いていた。
テレビでも連日、この霧についての報道がされている。しかし、発生と持続の原因ははっきりせず、さまざまな憶測が飛び交っている。完全に異常気象だ。
ラジオから聞こえる気象学の専門家の解説を聞き流しながら、松島は、愛車のヘッドライトが照らす道の先を注意深くにらみつけ、会社への道のりをとろとろと走っていた。こんな状況であるにも関わらず、仕事は休まない。大多数の国民は、こんな霧程度で仕事を止めることは許されないのだ。
「こんなんじゃ、事故っても仕方ないよなぁ」
霧の影響で、各地では交通事故が多発している。松島の会社でも先日、事務員が車をぶつけられたばかりだ。松島自身、何度危ない目にあったことか。
「なんなんだろうな、この霧」
ライトが照らす霧の向こう。通いなれた道であるにも関わらず、先行きのわからない不安がそこに蟠っている。その不安は、きりきりと彼の神経を蝕んだ。
しばらく休みを取りたくても、はっきりとしない理由では取り難いし、不安を感じているのは皆おなじであろうと思うと、なかなか行動に移せない。それにただでさえ、霧の影響で仕事も滞り気味なのだ。ますます休めない。
「……また、深くなったな」
日に日に濃く深くなっていく白い闇に、松島は悪寒すら感じて唾をごくりと飲み込んだ。嫌な汗が背中をすべる。知らずうちに呼吸も乱れて、軽い酸欠になりかける。
いかんいかん……と頭を振って気を強くするが、次第に強くなっていく霧に、何度も目をしばたたかせた。
何か、おかしい。
「道を、間違えてないか……」
霧の合間から見える標識や歩道の雰囲気が、いつもと違う。だが、会社までの道はほぼ一直線なのだ。広い国道に出て、それからまっすぐに進めば――
「国道……」
いつもは、自分と同じく通勤の車が周りを走っている。霧が出てからもそれは変わらない、広い国道――の、はずだった。
松島は、この道を自分の車しか走っていないことに気がついた。
いいや、そんなはずはない。そう思い直してみても、やはり他車の気配がない。窓を開けて耳をすませてみると、ますますその予想は強まった。思い切って車を路肩につけ、エンジンを切ってから、同じように耳をすませた。
何も聞こえなかった。
多くの店や会社が立ち並ぶ国道とはとても思えない、つめたいほどの静寂だった。
「そういえば……」
ふいに、松島はいやな話を思い出した。
この霧が発生してから、各地で行方不明者が続出しているという噂話である。
テレビでも何度か取り扱ったニュースだが、あまり大きくは取り上げられない。信憑性がないとのことで、霧にかこつけたいたずらではないか、と見られていた。
松島もその噂は信じておらず、




