ポツリ
ポツリ、ポツリと雨が降る。
この雨はずっと降っている。私が休みの日に限り決まったように雨が降る。
幼いころから暮らしたこの町は決して大きい町ではない。
24時で閉店するコンビニと駅前に文房具屋とタバコ屋と昔ながらの喫茶店があるくらいだ。
この町で22の春までずっと暮らしてきた。
大学を卒業して仕事を始めた時からふと気になった雨。
私が休みの日は必ず雨だ。
晴れの中の夕立に降られるくらいならまだいい。
朝からポツポツと降ってきて、昼には豪雨なんてよくあることだ。
朝から晩まで豪雨で、警報が出ることもある。
それでも私は外に出て、休みの日を満喫する。
次第に、雨具が増えてきた。
赤い花柄の長靴、お揃いで買った傘
雨に濡れても構わないように素材で選んだ洋服
私の人生は雨で彩られている。
ある日、両親が死んで私は一人になった。
あの家は私にとっては理想の家だった。
ただ、私以外には単なる家でしかなかった。
父の自慢の一軒家はペンキが剥げて、少し古ぼけていたが
土地を含めてそれなりのお金を手に入れた。
私はデパートに行き品のいい靴を買った。
そして靴に合わせて白いワンピースを買った。
私をかたどっていた世界は雲の向こうでもうこの手にはない。
急いで家に帰り、葬式をして、家を売るために準備をしても雨は降っていた。
いつまでも降る雨の中で、私は思ったのだ。
虹が見たいと。
知らない土地へ行くために、歩き出した。
品のいい靴を履き、白いワンピースの私が町を出たときに
景色は眩しくて、思わず目を細めた顔は不細工だった事だろう。
ご感想などありましたら、宜しくお願い致します。
零




