偵察
銃弾の飛び交う戦場。
物陰に隠れて待機する3人に指示を出す。
「作戦は昨日確認したから大丈夫だよな?」
「もちろん。」
「シグレが特攻して、その援護…だよね?」
無線からそれぞの声がノイズ混じりに聞こえる。
「うん、そうそう。
まぁ、基本は好きにやって良いよ。」
「りょーかぁい」
様子を見ながら、どう突き進むかを考える。
「…ここだ‼︎」
相手の隙を見つけ、右手で短剣を引き抜く。
同時に左手にナイフを持ち、向かってくる銃弾を弾く。
「銃弾弾くって…バケモンかよ。」
「慣れれば出来るって…‼︎」
「喋る余裕もあるってか。」
カバーしきれない分は、後ろからの援護射撃でフォローしてもらう。
「その少し先、小隊の拠点があるはず。」
「おっけー…ぶっ潰す‼︎」
クロからの情報を得て、勢いのまま小隊に突っ込む。
「死にたい奴はかかってこーい!」
そう挑発すればワラワラと集まる敵。
それを次々と斬りつけていく。
別のところからはウェイド達の射撃。
その後ろから味方の増援。
騒然とする戦場。
「…今がチャンスかな…」
無線を切り、人の間を駆け抜ける。
途中で敵を斬りつつ、その先へ。
木の覆い茂る森の中、
明らかに敵の拠点であろう場所。
その木の上に俺は身をひそめる。
「自分の目で確かめる事も大事だよねぇ…」
音を立てないように様子を伺う。
途中、何人かの敵兵に遭遇は下が、思いの外近い場所にあった敵の本拠地。
これは様子を探らない訳にはいかない。
「あれがターゲット…」
まさに作戦会議中、という雰囲気の中に見つける写真の女。
「実物はさらに美人だなぁ…殺すのが惜しいくらい。」
簡単に行く事はなくても、今まで失敗はした事がない。
その点では腕に自信がある。
「何回か来ないと、誰がいつもいるかは分からないし…今日は引き上げようかなぁ…」
その場にいる人物の顔を脳に焼き付け、
気配を押し殺して元来た道を戻る。
ふと思い出し、切っていた無線を入れる。
「おい、シグレ‼︎」
「うるさっ‼︎何⁈」
入れた途端、ウェイドの怒鳴り声。
「お前、無線切ってたな?」
「切れてたみたーい」
「嘘は良くないよ、シグレ」
「本当本当、今迷子ー」
無線からはまだ戦闘中なのが聞き取れる。
「帰巣本能でそのうち合流するから、もうちょこっと持ちこたえてー」
「慌てずおいでねぇ」
音が途切れる。
さて、さっさと合流しちゃわないと。