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部屋割

「ウェイドとクロくんはここね。

ルカさんは嫌かもしれないけど、俺と同室、隣の部屋。」

ベッドと小さめのクローゼット、簡易シャワー室があるだけの本当に寝るだけにあるような部屋。

そこに3人を案内する。

「飯は?」

「食堂があるけど…あー、食べづらいか…」

きっと彼らをよく思わない奴は大勢いる。

そのことをすっかり忘れていた。

「いや、大丈夫。慣れてるし。」

何だか気を遣わせてしまったようで申し訳ない。

「…えっと…何?」

ウェイドとのやり取りのなか、ずっと向けられている視線が気になる。

「…ルカさんに何かしたら、君の事許さないからね」

「何かって、別に何もしないよ…

あと、俺はシグレだ。君じゃない。」

どうもクロくんは俺が気にくわないらしい。

どうしたものか…

「クロくん、大丈夫だって。この子女の子だし。」

「え?そうなの?」

「え?そうだよ?」

あら?

もしかして男だと勘違いされてるやつ?

「だから、ね?問題なし!」

「な、なんか…ごめん…」

「良くあるから気にしなくていいよw」

さっきまではずっと威嚇するような態度だったのに、急にしゅんとした姿が可愛いくてつい笑ってしまう。

「もしかして、ずっと怪しい男だと思ってたの?」

「だって、俺とか言ってるし…」

「ごめんごめんw」

どんどん小さくなっていくクロくん。

きっと凄くいい子なんだなぁ、と素直にそう思う。

「ほら、もう気にしなくていいからさ、クロくん。」

「ありがと。クロでいいよ?」

「そー?

じゃあ、改めてよろしくね、クロ。」

少しは上手くやっていけるかなぁ、とちょっとの期待を胸に握手をする。

「よし。

それじゃ、今日は明日に備えて各々休む!」

それぞれ部屋に入る。

俺はルカさんと同室だから、自分が使うベッドにダイブして着替えを始める。

「シャワーはそこの。もしお風呂もっていうなら、大浴場があるよ。」

「シャワーで十分。」

「そっか。先に使っていいよ。」

「じゃあ、遠慮なく。」

部屋にシャワーの音が響く。

ずっと一人で使っていたから、新鮮だ。

ベッドの上で転がりながら、暇を持て余す。

「手入れするかなぁ…」

いつも使う短剣の手入れ。

これは欠かせない。

「…楽しそうだね。」

「うぉあ⁈」

突然の声に間抜けな声が飛び出す。

「あ、ごめんごめんw

真剣で聞こえてなかったみたいだからさ。」

髪の毛を拭きながらルカさんが笑う。

そんなに真剣だったのかなぁ…

「ほら、次シグレさんの番だよ?」

「あ、うん。ありがとう。」

短剣をしまい、服を脱ぎ捨てていく。

「…あ、ごめん。」

上半身下着の状態で、

一人ではない事を思い出す。

「いつも一人だから、つい…」

「大丈夫だよ、びっくりしたけど。」

ルカさんがいる間は気をつけないと…

と思い、着替えを手に持ちシャワー室に入る。

「体、傷だらけだね。」

シャワーの合間にそんな声が聞こえる。

「あー、うん。

ボロボロで見っともないよねぇ、お嫁にいけなぁいw」

「ここにいるの、長いの?」

「せいぜい2.3年じゃないかなぁ。」

リヒトに入るための年齢の条件は特にない。

ただ、15歳以上になった人、

特に男は所属していて当たり前ってだけ。

戦争孤児だとか、希望者だとか、

15歳未満の人も大勢いる。

「大変だね。」

「そう?

ここじゃ、みんなこんなもんだよ。」

蛇口を閉めて、タオルで水気を拭き取る。

「早く平和になるといいよね。」

「みんなそう思ってるよ。」

戦争が多くなったのはいつからだっただろうか。

多くの人が犠牲になりだしたのはいつからだろうか。

なんて事を考えたところで分かるはずもなく。

「いつか平和になるよ。」

平和はいつ訪れるだろうか、

俺も含めた多くの人々が考えるだろう。


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