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本音
「ザキタ、さっきどうしたんだよ」
サクは頬杖をつき、
隣で笑顔で手を振るザキタに問う。
「何でしょう、なんとなく…気になって。」
彼に向き合うように座り直し、俯くザキタ。
「サクさんも情報屋なんてやってて、私より長いですけど…
どうしてこんなに若い人が危ない事しなきゃいけないのかなって…」
それはきっと、今の世界への本音なんだろう。
誰もが思い、そして誰もが口に出来ない事。
「…ザキタ、婆さんか」
「えぇっ⁈酷くないですかぁ‼︎
…って、ちょ、さ、サクさん⁈」
サクは抗議するザキタの頭を乱雑に撫でる。
「いつか、こんな世界終わるさ。
それまでは、仕方ないんだよ。」
小さくそう呟き、立ち上がる。
「さ、仕事するぞー。」
後ろからバタバタと音を立てながらついてくるザキタを確認しに、サクは店を後にした。