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『フェイスチーム』

 訓練機関を抜け出し、外に出た二人は向かい合っていた。

 当然の事ながら、訓練生は全て中に入っているのでこの場は静かだった。

 学園のような訓練施設、校門のような、入り口、どう考えても学校にしか見えない。

 それはさておき、


蒼龍(ソウロン)、あんた『フェイスチーム』に入る気はある?」

 

 出し抜けに京子はそう言い、対して蒼龍はしばし、沈黙していた。


「どうなの?あるの?ないの?」


 この少女、あまり着の長い性分ではないらしい、と蒼龍は分析し、こくりと頷いた。


「あるよ、正直興味なかったけど、君と一緒に戦うのは面白そうだ」


今度は、京子が沈黙する番だった。


「・・・、私と?何で?」


「それは、君はこの訓練機関のトップだし、君から学ぶことはきっと多いからね」

 

沈黙を打ち破った京子に、蒼龍はさらりと答えた。


「でも、その内教官から通達が来るのに、何で今聞くんだい?」


「アンタは貴重な戦力よ、どうせなら早い時期からメンバーと会ってもらいたいから」


 確かに、京子の言うことは一理ある、そう思い、蒼龍は納得して頷いた。


「今日の訓練が終了したら、メンバーを招集するわ、アンタも来なさいよ?」


「どこに?」


「この場所に」


 有無を言わせぬ態度(そもそも蒼龍は有無を言ってないが)で、京子は即答した。

 


 そんなこんなで、訓練終了時間である。

 京子は、待ち合わせの場所で待っていた。


「やあ、京子ちゃん!今日も可憐だね?」


 そんな口説き文句と共に、一人目のメンバーが来て、京子は顔をしかめた。


「ファウスト、アンタ、その女を見るたびに口説き文句をいうのやめなさい?」

 

 京子は振り返りながら、頭が痛そうにこめかみを押さえて言った。

 ファウストと呼ばれた訓練生は美青年と言うに相応しい容姿だった。中世的な面立ちを見せる金髪碧眼の青年、だが、何となく軽そうな印象を受ける。格好は、胸元が少しだけ露出したスーツ姿で、どこかのホストを思い起こさせる。


「京子ちゃん、それじゃあ僕が君以外の女の子にもそういうことを言っているように聞こえるじゃないか?僕には君だけだよ」


 ファウストは、京子の手を取り、キスをした。

 ゾワッ!と、京子は鳥肌が立つのを感じる。


「おぶぶ!?」


 直後、ファウストが呻く。

 京子が屈んだ彼を殴り飛ばしたからだ。


「ほんと、お前は懲りないな」


 そんな中、殴り飛ばされたファウストを見ながら呟く青年がいた。

 これまた金髪の青年で、顔立ちは普通なものの、スタイルがよく、身長百八十五センチくらいの長身だった。服装は、上は白いTシャツで、下は所々破れたジーンズだった。と、言ってもビンテージではない。なんでも、彼くらいの身長になると中々合う服が無いのだとか・・・。


「第三位の自覚を持てよ、そんなんじゃお前に負けた俺が不憫じゃないか」


「アーロンか・・・、自分で自分の事を不憫とか言うんじゃない」


 打てば響く、と言った感じのやり取りをするファウストとアーロン。

 二人は、笑いあった。

 なんだかんだで、仲の良い二人なのである。

 アーロンは、ファウストに手を差し伸べた。


「サンキュ」


 ファウストが軽い調子でそう言った。


「すいません!遅れました!」

 

そんな中、蒼龍が現れ、京子たちのほうへ向かってくる。


「さて、全員揃ったわね」


「え?これだけなんですか?」


 蒼龍が意外そうに聞く。


「そうよ、『フェイスチーム』は、貴方も含めて、対抗戦上位四名」


 京子は頷き、そう言った。


「と、言っても、A班はね・・・」


「いくつも班があるんですか?」


「ええ、AからEまで、それぞれ、四人ずつよ、アンタそんなことも知らなかったの?」


 京子の言葉に、蒼龍は決まり悪げに頬を掻きながら、


「ええ、まあ」


「まあ、いいわ、話を続けるわよ。

 ここ数日、訓練生の民間人への襲撃事件が増えているわ、そういう訳で、私達でパトロールすることになった、何か質問は?」


「はい、リーダー」

 

 アーロンが手を上げ、京子は頷きアーロンの言葉を促した。


「どこら辺をパトロールするんですか?」


「私たちの割り当ては六番街西地区よ」


 京子が答え、他に質問はないかと、三人の顔を見回す。

 どうやら、質問はこれ以上無いらしい事を確認すると、また話し始める。


「ご存知の通り、六番街西地区は、最も犯罪率が高い、訓練生関連じゃなくても、普通の犯罪も起きてるわ、だから、私たちがパトロールすることになったの、今日から、新人の蒼龍も入るからその経験値稼ぎも兼ねてね、じゃあ、七時に六番街西地区入り口に集合」


「「はい」」


 三人は頷いた。


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