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C面 最重要任務

「こりゃまた……多いな」



 是正勧告リストを軽く流し読みしてみるが、第一印象はその一言。


 赤字は現時点で違反状態。黄色は要注意。青色で現状は問題なし。赤色はさすがに少ないが、黄色ランプが多すぎて目がちかちかしてくるくらいだ。



「一応これでも、一つの部署の保有器具の極々一部だけどね」



 目覚ましのコーヒーがなみなみと注いだカップを置いたアリスに礼を言いつつ、タップして詳細情報を呼び出してみるが、空間浸食型非破壊検査機という何に使うのやらよく分からん分類の調査機器。



「これ現役なのか?」



「たぶん。型式から見ると数十期は前に購入した骨董品だけど、チェック機能が動く以上は使えると……思う」



 対面に腰掛けたアリスは同じカップにドボドボと砂糖をぶち込んでちびちびと舐めるように飲みながら自信なさげに答える。


 シャルパさんら監査チームが、監査を開始して既にこっちの時間で二週間以上。


 ただあの人と達も言っていたとおり監査対象がでかすぎる為に、全体の5%も終わってはいないんだが、それでもすでにこの量だ。最終的にはどのくらいの是正勧告くらうか今から恐ろしくなってくる。


 監査に対する対抗策として遅延戦術の一環として、本社である創天を拠点モードとやらに展開したおかげで、かなり昔の資材倉庫やらリストから消去されていたような保管庫も出てきたりとてんやわんやなんだが、それはある意味物資不足のディケライアにとっては埋蔵金を掘り出したような物。


 ただ埋蔵金と言っても、地球時間で数万年単位で死蔵されていたような物なんで、それがすぐにお宝となるわけでもなく、使えるかどうかをまず判断しなければならないんだが、それにはシャルパさんら監査官様ご一行は、実に有能なチェック機能として稼働中だ。


 なんせあちらもお仕事。ダメならダメとしっかり調べてどこが問題かと指摘してきてくれるので、こっちとしてはそれに合わせて廃棄するか、使用可能かなんかの判断を省略できている。


 ただそれはあくまで簡易判断なんで、実際に稼働させて問題点をあぶり出す必要があるんだが、この数となるとそれも一苦労。


 しかし人手という意味では俺らには力強い味方がいる。


 そう。やたらめんどくさい単純作業だろうとも、ゲームとなれば惜しみなく時間と労力を提供してくれるお客様が。



「となると問題は、こいつらをどうするかだな……実際動かしてみて問題点のあぶり出しが早いか」



「うん。そっちの方はサエさんから、ガチャ方式で行くってさっき連絡あったから、その結果次第で上手く組み合わせて修繕して再利用コースかな」



「あいよ。今日はあっち側で半年に一度の重要な仕事があるから向こうに詰めるつもりだったから、調整してもらっとく」



「ん。シンタにまかせた……でもね。エリスについて、シャルパ姉が全く触れてこないんだけど、どうする?」



「あー……下手に触れたら墓穴ってなりかねないし、そっち狙いかもな。とりあえず静観しかねぇな」



 監査の本命は俺らの愛娘のエリスのやらかし。保護対象星である地球への不正跳躍なんだが、今のところそれについてシャルパさん側からの言及は無し。


 一応こっちもそれについては、無効化するためにいくつも手を打っているが、全く反応無しってのも恐ろしい。



「りょーかい。じゃあこっちはいつも通りシャルパ姉にくっついてるから、何かあったら即連絡で」



「あいよ。じゃあしばらく留守にするから頼んだ」



 アリスとの打ち合わせという名の朝の雑談を終わらせた俺は、カップののこりを一気に飲み干し、地球へと向かうための準備を始める。


 さて今日は半年に一度の最重要任務……ご近所総出のどぶ掃除だ。


 会社代表としてご近所様のお役に立ちましょうかね。   

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― 新着の感想 ―
[一言] 世界がどうなろうが宇宙規模の話してようが、 ご近所付き合いは大切にしないとねw 次元跳躍しようが基本生物は歩ける範囲がご近所なんだから。 (普段から歩くよりジョウントの方が多いような種族がい…
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