門番と小さな侵入者
ほのぼの…書きたい!!
という思いに任せて書いたものです。
ストーリーというストーリーは無いと思います。
門番と小さな侵入者
「ふぁあああ、眠い眠い…」
あるところにネボスケの門番がいました。
門番は王子さまとお姫さまの住まうお城に、剣や斧をもった者が来ないよう
警備をしているのですが、どうもこの門番はいつも寝不足でした。
しかしながら、王子さまとお姫さまのひとがらもあって、この街にはぶっそう
なことを考える人たちはいないので、警備の必要もなかったりするのです。
そんな門番は今日もときどき居眠りしながら夜遅くまで警備をしています。
「もうちょっとで今日の仕事は終わりか、帰りに娼館でも寄って行こうかなあ」
そんなろくでもない呟きを漏らしながら、門番は腕をぐーんと上に伸ばして
伸びをしました。
そんな門番の前に小さな小さな侵入者が現れました。いいえ、跳ねて現れたのでした。
ちょこん、ちょこんと跳ねる侵入者に門番はちっとも気づきません。
侵入者はゆっくりですが、着々とお城の中に知らず知らずに入り込んでしまいました。
そして、門番が好きで仕掛けた罠が、お城のほんの手前で動いたのです。
門番の胸ポケットに入れたベルがりりりと音をたてて鳴ります!
「ぬおおお???!!誰か入ったのか!?」
うとうとしていた門番は素っ頓狂な声をあげて、右を見たり左を見たり、きょろきょろ
首を動かします。
そんな大きな声を上げたにもかかわらず、町の人たちは、今何時だと思ってんだあ!!
とか、殺すぞごらあ!!とか怒りもせず、すやすやと穏やかに眠っていました。
門番はそうも言っておられません。警備を怠ってしまって、不審な人物を城に入れてしまったのかもしれないのです。
慌ててお城のあちこちを探します、が、不審な人物はどこにもいません。
「ま、まさか……もう、王子と姫さんのとこに……!!」
あらぬ予感が門番の胸を過ります。いろいろ愛し合っている王子さまとお姫さまの
ところにもう不審者は向かってしまってあんなことやこんなことになっているのでは…??!
と気が気でならないのです。
慌てふためいた門番はものすごい速さで城中をもう一度見て回ったのですが、
見つからずに、やがて息もはあはあと荒げ、へとへとになって階段に座り込んでいると、
りりり、という綺麗な音がどこからか聞こえてきたのです。
「ま、また罠が……??」
でも…、と門番は考えました。実は面倒くさくなって罠は一つしか置いてなかったのです。
一度罠が鳴ったということはもう鳴るはずはないのです。
門番は不安になってきました。
この年になって恥ずかしいけど、ちびりそう。と思ってしまうくらい怖くなってきたのです。
りりり、またきれいな音がしました。少し近くなったような気がします。
ですが、その綺麗な音も門番にとっては不安を煽るものにしかなりません。
正体の分からない侵入者に門番は逃げたくなって、もういっそのこと正体を見てしまいたい
と思うくらいになってしまいました。
「うおおおおお!!出てこい!こっらああ!」
りりり、音は鳴りやみません。
門番は怖いのを我慢して、音に自分から近づきます。
そして、ようやく見つけたのです。
「りりり」
「あ、ありゃ? コオロギ?」
どうしてこんなところに……?と門番は思いましたが、少し考えるとはははっと
元気に笑いました。
「はははは!!お前だったのかー?全くもー」
ちょこん、ちょこん、と跳ねるコオロギを見ながら、男はしょうがないなと呆れて笑っていました。
お城の廊下の窓から見えるお空には、きらきらの星たちと一緒にまあるい月も
かがやいていました。太陽も明日までお休みです。
門番はこおろぎを手のひらに載せて、にこっと笑いかけました。
「そろそろ帰ろうか!」
「あの人はいつも僕らの城の前で立っているね?」
王子さまは廊下の窓を覗いて、おかしそうに笑いながら言いました。
お姫様も窓を覗いて、穏やかに笑いました。
「ええ、また眠そうにしてるわ…ふふっ」
くしゅん!門番は鼻を啜りながら、傍らにいる相棒を見ました。
「お前、俺の噂してたのかー?」
りりり、と得意げに鳴いて、相棒はちょこんちょこんと跳ねまわりました。
文才の無さが身に染みる……!!
今まで物語を完結させたことがなく、ほとんどがうやむやになって
しまい。短編ならいけんじゃね?と書きました。
短編といえるのかも分からない出来になってしまいましたが、
それでも読んでいただけたなら、泣いて喜びます。
ありがとうございます!
ご意見を頂き、参考に少しだけ修正してみました。
修正できたか分かりませんが……汗