オレ様少女はづらでした。(訂正。これはウィッグだ)
「わーい、クロちゃんお帰り!!」
茫然自失で彼女を見ていた俺は、青野蒼の声で現実に戻ってきた。
クロちゃん……ってのが彼女の名前か?
「……お前は玄関で何をしてんだ」
「え、ゴッキー退治」
「どこにいる」
「ほら、ここ」
「そうか、お前には人間があいつに見えるのか。その残念すぎる目をさっさと眼科に見せてこい」
ごもっともです。
もっと言ってくれ。
つか、こいつなら話が通じるかもしれない。
「あのー、すまないんですけど」
「で、お前はいつまでここにいるつもりだ。邪魔だと言ってのが聞こえなかったのか? さっさと耳鼻科行って来い」
訂正。
無理だ。
「もう、クロちゃんったらせっかちさんなんだから。ほら、ザクロくん、あがってきなよ。ここに引っ越してきたんでしょ? 荷物はもう部屋に運んであるから」
「は、はぁ。ども」
結構段取りいいじゃん。
……。
ん?
ちょっと待て。
こいつ、オレのこと知っていながらゴキジェ●トしてきたのかっ?!
「ひ、ひでぇっ」
「おい、ささと逝けよ。あとがつっかえてんだからよ」
「ちゃっかり漢字間違ってるし! おまえら一体なんなんだよ!!」
「何? 高校生だ」
「JKだよ〜。JKJK」
「こんなJKいやだっ……」
「なんか言いやがったか?」
「イエ、ナニモ」
クロちゃん(仮)に拳銃で脅されながら、俺は玄関をあがろうとした。
しかし
なにかが足に−−
「あ。そこ、足引っ掛け用の罠あるからね」
「なんでだよっ!!」
蒼につっこみながら、俺は後ろにいたクロちゃん(仮)を巻き込んで盛大に転んだ。
「ぐはっ」
「あ~あ……」
何かが、宙を舞う。
銀色で、もふもふとした何か……。
「え?」
嗚呼、あれは……クロちゃん(仮)の髪の毛だ。
「うそぉおぅ?!」
「ダマレッ!!」
な、なんで?
どうして?
まさか、この美少女……スキンヘッド?!
「ハゲっ?」
「ちげええ!!」