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時雨音  作者: りもこん
4/7

その四




女の声は聞こえなくなったが気配はまだ消えない。

俺は戸に寄りかかったまま、背中をこするようにしてゆっくりと座った。

月明かりは依然として強い。


身を投げる前、俺は普通のサラリーマンだった。

朝の8時から夜の11時くらいまでひたすら働くサラリーマン。

恋人とは別れて半年が経っていた。

努めて5年以上経っていたけれど、日が経つに連れてやりきれない思いばかりが募っていった。


今思えば疲れきっていたのかもしれない。

死のうとせずに会社を辞めればいいだけだったのに、なぜかそれが世界の終わりのように感じていた。

結婚しているわけでもないし、子どもがいるわけでもないのに。


あの女は死のうとはしないだろうか。

この時代の人間の寿命は分からないけれど、平成の時代ほど長くはないだろう。

けれども何十年もの間、耐え切れるのだろうか。

それとも決断してしまうのだろうか。


俺には関係のない話。

むしろ力になりたいと思っても、なんの力にもなれない。

そのまま倒れこみ、肘を枕にして、もう一度眠る。

妙な緊張感を感じたせいか、よく眠れそうな気がした。







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