勇者たち
「どういうこと?モンスターが魔王を攻撃するなんて。」
「また飛んでるよあいつ」
「今日三回目かなぁ?」
「…待ってあいつ叩き付け爆撃コンボ持ってたよね?」
「そうじゃんまずい!!みんな俺の後ろに隠れて!!!【城塞】!【硬化】!」
ドガァァァァァァァァァァ!!!!!!!!
「みんな生きてる?」
「なんとかぁ」
「ナイスリーダー」
「ああ、ありがとう」
物理無効化、吹っ飛ばし無効化のコンボでなんとか彼らは生き残った。
「こんな大技を使うということはHPも残り少ないのだろう。畳み掛けるぞ!」
「「「…おう!!!」」」
事情を知る三人はたぶん違うと思いつつ、黙っていたほうが面白そうなので勇者に賛同した。
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プレイヤーを一掃した代償は勢い良い床への激突であった。
全回復したHPが六割くらい削れたが悟られると攻撃が激化する。
ので、さも余裕なようにふるまう。
「フハハハハハ!どうした!?怖気づいたか?!」
「覚悟!!!」
かけらも怖気づいてないなーゲームだもんなーここ。
とはいえプレイヤーが一時的にめちゃくちゃ減ったことは事実!
このまま倒し切って町を攻め落とす!そしてここを魔王城とする!!
町を落とすたびにボーナスがかかるんだ。一個くらい落としてやらぁ!
っ!!!
雑な薙ぎ払いをよけられた!横向きに体ひねって飛ぶとか器用かよ!
追撃の袈裟切り!きれいに受け流される!まずい!
「覇王斬!!」
すれ違いざまに胴に一閃!ダメージ一割!
身をもって理解した。こいつは片手間じゃ倒せない!
というか…
「お前は…あの時の…」
赤ゴリラ出すときに協力してくれたギラギラお兄さんじゃーん。
こうしてみると勇者みたいだ。
「えっなんかフラグ踏んだ?!」
「勇者っぽいからじゃない?」
「ヒューカッコイー勇者様ぁ」
「さぁ魔王退治と行こうか新生勇者パーティ!」
おやおや見知った三人だ…
嘘だろリーダー!プロト!ツッチー!おまえら裏切ったのか!
…俺だな、裏切ったの。
てかお兄さんは魔王が俺って気づいてない?
ふふふ、なら魔王っぽさ継続しとこ。
「そうか、勇者よ!我を討たんとするか!よい!ならば我が全力をもって相手しよう!」
「なによこれ?!私勇者になった覚えないんだけど!?」
「本気モードだってよ!」
「全力で行かないとねぇ!」
「信じてるぜ勇者様!」
「もおぉぉぉぉお!?」
友人殿は兄ちゃんを勇者にしたいらしい。折角だしのっとこう!
武器も回復アイテムも手持ちが少なくなってきた。
どうせやられるなら魔王らしく勇者にやられたい。
じり貧で死ぬ魔王なんて見たくないしなりたくもない。
まだ生きている傀儡モンスに復活したプレイヤーの阻害を指示。
しばらく乱入者はたぶん来ない。
もう後先考えず手札全ぶっぱしていこう!
さあ最終決戦だ!!勇者パーティ!!!
「ゆくぞ!勇者たちよ!!」
傲慢で当たり判定を拡大!嫉妬で防御力を下げて大剣スキル【回転切】を発動!
これで死んでくれるなよ!!
「やっぱ初手はそれだよねぇ!」
余波で残っていた他プレイヤーが消し飛んでいく中、ツッチーが土魔法で味方を打ち上げて全員避けさせる。
だが浮かせた!空中じゃ避けられないはず!まずはツッチーだ!
武器を槍持ち替え悪食を乗せて突く!
「させるか」
が、プロトの弓によって阻まれる!
ダメージはしょぼいがノックバック増加のデバフと合わさると無視はできなくなる。
「隙あり!」
背中に衝撃!しくった勇者が飛び越えてた!ツッチーのバフの乗った一撃は普通に痛い!
HP残り残り三割五分!HPはまだあるが囲まれたことがやばい!
武器をガンランスに持ち替える。地面に突き立て跳馬の要領で大ジャンプ!
そしてフルバースト!!周囲に散弾をまき散らす!!
前衛二人は無理でも後衛二人は倒せるかと思ったがツッチーは土魔法で防いでプロトはリーダーの後ろに飛び込んでる。
あっこれやばいプロトがフリーだ!
「【星落矢】」
当たった敵を打ち落とす効果を持つ矢が俺の首に当たる。
HP残り三割二分。
「【星降矢】」
墜落した俺へ矢が雨のように降り注ぐ。
大楯を出し弓の雨を防いだ俺に、すぐさま勇者とリーダーが迫る。
「【盾強打】!」
「【大将首落】!」
慌てて取り出した大剣が盾で弾き飛ばされる。
レベル差を覆す一撃が俺の首を正確に狙う。HP1割強消し飛んだ!
のこりHP二割。まずい!!だが!!!
「まだだ!!」
「なに!?」
「ぶへっ!!」
動かれなきゃ当てられる!嫉妬を発動!対象は移動速度!
傲慢のリキャストが終わった!
亀みたいな移動速度の勇者とツッチーに双剣を傲慢をのせてぶん投げっ?!
踏み込み先の地面がない!ツッチーの作った穴に引っ掛かった!
投げた双剣が明後日の方向に飛んでった。
「やべっぐはっ」
あ、プロトが当たって死んだ。これはラッキー!
というかツッチーがさっきから準備してるのは…
まずい!逃げるか!?いや、間に合わない。
なら発動前に仕留める!!
悪食を乗せた槍をツッチーに…ああクソ!
リーダーがちゃんと防いだ。
ツッチーの全身が輝く。
こいつ爆発好きなんだよな。
にっこりと笑顔でツッチーがスキルの名を唱える。
「【魔法暴走自爆】!」
リーダーの陰から飛び出してきたツッチーが盛大に爆発した!
耐えた!耐えた!
スキル【強欲:死嫌生拘】でHP1で残った!
魔王産の確定食いしばりの神スキル、リキャストが超長くもう使えないだろうがおかげで命が助かった!
位置的に勇者もリーダーも消し飛んだはず!!
これで俺の勝…
嘘だろなんで生きてんだよリーダー!?なんかのスキルか?
でももう小突くだけで死ぬだろ!!
槍を突き刺す!が、硬い、通らない…硬化か!
だが硬化時間は一秒!さらに後隙一秒!確実に殺せる!
俺の勝ちだ!!
一秒待ってグサッと!これで終わり…
「は?」
崩れ去るリーダーの死体から黄金が昇る。
ありえない。やつの移動速度は下げていた。
爆発から逃れるすべなんてないはず。
「なぜおまえが生きている!!勇者!!!」
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魔王の手を離れ黄金の輝きを取り戻した大剣と共に、仲間の亡骸をけって黄金の勇者は高く跳ぶ。
散った仲間の願いを力に変え、さらなる輝きを宿す剣は漆黒の大楯ごと魔王の心臓を切り裂いた。
勝利の宣告が世界に響き渡る。
「魔王撃破!!緊急レイドクリア!!!」




