透ける日
「おはよー」
「おはよー」
今日は土曜日。
私は、この日が大好きだ。
月曜日から金曜日にかけて、大きな山を登る。
そして金曜日の夜、その山の頂から、土曜日を目掛けて飛び込む。
そんな感覚だ。そうして、飛び込んで迎えた今日。
こんな表現の割に、今日は、特別予定などはない。
ただ、1日から学校が抜け落ちた日として過ごすつもりだ。
「いただきます」
とりあえず、ご飯を食べる。
いつもとは違って、しっかり味を感じることができる。
時間は8:00頃、朝の色を持ったテレビがやっている。
平日とは違って、片手にコーヒーを持ったような雰囲気。
薄く晴れた空が、そんな朝の仕上げだ。
お母さんは、本を読んでいる。
もう洗濯も干してあるし、この人は休日なのに一体何時に起きているのだろう。
と、ほぼ毎週浮かぶ疑問を、朝に置いてきた。
「雨音ー、ご飯どうするー?」
「なんでもいいよー」
「じゃあラーメンだな」
土日どちらか、必ずラーメンな気がする。
「あっ、ネギがない」
(ん、それはマズイ)
「私買ってくるよ」
「ホントー?コンビニでいいから」
「分かった」
コンビニだし、部屋着でいいだろう。
急ぎなので、自転車にする。
「いってきまーす」
「はーい」
久しぶりに自転車を出した気がする。
いい風だ。最近は、温く重い風ではなくなって、涼しい風になってきた。
自転車に乗るのが、楽しい季節だろう。
すぐにコンビニに着いた。5分もしていない。
(学校の人に会いませんように…)
部屋着出来たから、あまり見られたくない。
目当てのネギと…アイスも買ってしまおう。
涼しくなったとはいえ、まだアイスの活きる時期だと思う。
まぁ冬でも、てきとうに理由つけて食べるんだろうけど。
「ありがとうございましたー」
また、風に紛れて自転車を漕ぐ。
「ただいまー」
「おかえり、早いねーありがとう」
帰ってくるとお母さんがラーメンを盛り付けていた。
「あとはネギだけ…はい、どうぞー」
「ありがとう」
「いただきます」
「いただきまーす」
ラーメンに間違いは無い。私は美味しくないラーメンを食べたことがない。
「あ、お母さん、さっきアイスも買ってきた」
「おおっまじ?ナイスー」
「ごちそうさまでしたー」
まもなく、私も食べ終わった。
食べ終わってすぐ、お母さんが、「本屋に行ってくる」
と言って出ていった。
私も誘われたのだが、今日は行かないことにした。
特に理由もないけれど、何となく。
昼過ぎ、味気のないテレビになった。
平日夕飯時の番組の再放送。
人によっては、1度味わっているもの。
まさに味気ないという言葉が合うだろう。
朝のテレビはしっかり色がついていたのに。
まぁでもある意味、これが休日昼の色だとも言える。
冷凍庫からアイスを取り出して食べ進め、少し寒さを感じていると、お母さんが帰ってきた。
「ただいまーお菓子も買ってきたー」
「ありがとう」
「何か本買ったの?」
「うん、ランキングにあったやつ買ってきた。雨音も好きそう」
「鳥と烏…」
「一応ミステリーらしいよ」
「へー」
その後も時間が過ぎ、本を読んだり、スマホを見ていたら夜になった。
「ご飯どうしようかー」
「んー、ラーメン以外で」
「じゃあそうだな…肉だな」
ほぼ平坦な1日。
土曜日という休日を、贅沢に使ってやった。
ほとんど何もせず、よく聞く充実とは違うだろうけど、時間を、満遍なく使う、考え無しに使う。
私にとっては、贅沢だ。
明日もまた、休日だ。
今日を色にするなら、白色、というか、透明だろう。
流れに身を任せて、1日に溶け込んだのだから。
明日は、どんな色に染まろうか。




