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雨の日の晴  作者: 宿木
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雨日和

今日も雨、明日辺りまで続くみたいだ。


昨日と同じような雨。


昨日は寝てしまったけど、買い物はした。


寝ぼけていたのか分からないけれど、欲しかったミステリーの本の事は忘れてしまっていて、結局、お母さんの服を買って終わった。


(今日は何をしようかな…)


外は最高の天気。そう思うのは、多分私くらいだけど。


「ちょっと散歩してくるー」


「はーい、あ、もし良かったらアイス買ってきてよ、お金入れとくから」


「分かったー行ってきまーす」


ガチャ


雨音(あまおと)が広がる。


お気に入りの傘を広げ、道に出る。


晴れの日よりも、涼しく感じる。


散歩日和と言ってもいいだろう。


毎度のこと、特に行き先は決めていない。


ただ見慣れた町を、傘をさして、弾ける雨をBGMに歩く。


(いい雨だ)


特に頑張ったつもりは無いけれど、私を褒めてくれているような雨。


傘に弾けるパチパチという音。これが、さらにそう思わせる。


お風呂上がりのような町、太陽がご機嫌な日とは、また違った姿を魅せている。


雨の日は、よくこんな風に、途切れることもなく、色々な事を考える。


多分今、弾む気持ちが、顔にも出ているのだろう。


まあ、誰も見ていないだろうけど。


一通り雨を楽しんだので、コンビニへ寄った。


「いらっしゃいませー」


コンビニの入店音とともに、空が奏でるBGMは小さくなった。


雨の日、日曜日、お昼前のコンビニ。


部屋着のまま来たであろう人、これからどこかに行くのだろうという人。


雨は、様々な色を、ここへ呼び込んだ。


とりあえず、頼まれたアイス。私のも買って行く。


「ありがとうございましたー。次の方どうぞー」


また、空から音が降ってきた。


透明な傘に、雨粒が模様をつけている。


透明な傘を選んでよかった。雨が降る度にそう思う。


(あっいいな…)


コンビニのそばにあるご飯屋さん。


ひっそりとやっていて、雰囲気が、とても私の好みだ。


それに雨が重なると、もうたまらない。


去り際に、ガラス張りの扉から、店内を覗いてみる。


近寄ると、怪しまれるから、遠目から。


天井近くにテレビがあって、昼前の、明るい番組がやっている。


いつもの坂までやってきた。


「ただいまー」


「おかえりー」


「アイス買ったよ」


「ありがとうーお釣りはあげる」


「ありがとう」


お母さんはさっそく、アイスにかぶりついている。


よほど、食べたかったのだろう。


(あのお店、行きたいな…)


さっき横目にみた、ご飯屋さんが気になっていた。

多分行ったことが無い気がする。


「お母さん、コンビニの近くにあったご飯屋さん行きたい」


「んー?そんなんあったっけ?」


「さっき見つけた」


「じゃあ行ってみるかー」


アイスを食べてから、また濡れた町へ躍り出る。


「あんた、ホントに楽しそうだね」


「うん、楽しい」


「いい顔…雨さえあればどこ行っても楽しめそう」


「そんな事ない…かもしれない」


この町だから、と思ったが、そうでもない気もする。


「ここだよ」


店へ戻ってきた。と言っても、入ったことはないのだけれど。


「あー!あったね、こんなとこも…って、準備中って書いてるじゃん」


「え?あ…」


「ははは!ちゃんと見なよー」


ちょうど太ももあたりの高さだろうか、扉の端の、柱になるところに、縦書きで「準備中」という札があった。


(電気は着いてるのに…)


「ごめんごめん、また来よう、近いし」


「うん、ごめん」


雨の中、今来た道を戻る。


珍しく、今の雨は、私の天気と一致している。


雨は降るものの、優しい。気分は…悪くない。


行きたかったお店に行けない雨と、これも一興だと思える、思ってくれたことによる心地良さ。


明日は、雨は降るけれど、午後には止んでしまうらしい。


また、こんな雨が降るといい。

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