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雨の日の晴  作者: 宿木
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灯火の余韻

今日は晴れ、所々に雲がある。


そんな天気。鮮やかな青で、いい天気と言えるだろう。


もうそろそろ、日が寝床へと向かおうとしている、18時半ごろ。


私はこの後、クラスのみんなと花火をする予定だ。


今日の午前中に、クラスのグループチャットで


「今日花火できる人、象の像公園集合で!花火持ってこれる人は、できたら持ってきてください!無理はせずで大丈夫です!」とあった。


室長をしている、影山くんだ。


象の像公園。


多分正式名称ではないんだろうけど、どこなのかは分かる。


その後すぐ、


「象の像公園って、どこか分からなくて、雨音ちゃん分かる?」


と、藤田さんから連絡が来た。


そういう事なので、学校へ集合し、一緒に行くことになった。


集合時間は、19時。


私は今、藤田さんとの待ち合わせに向かっている。


「お待たせー」


私が着くと、もう藤田さんがいた


「雨音ちゃんごめんねー、案内よろしく」


「ううん、こないだは本当にありがとう。おかげで帰れた」


藤田さんは、大きなビニール袋を持っている。


覗く隙間から見るには、花火を持っているみたいだ。


「花火持ってきてくれたんだ」


「うん、他の人とやる予定で持ってたんだけど、出来なくなっちゃって余ってたから。」


その話をする藤田さんの表情は、なんだか曇っていた。


今日の天気とは、まるで対照的に。


例の公園に着いた。


暮れ方、もう夜といってもいいほどの公園の中心に、人が集まってる様子がある。


「おお!木村さんと、藤田さん!」


「花火持ってきたよ」


「ありがとう!」


数分待った。


たった数分なのに、私たちが到着した頃より、あたりは暗くなっていた。


「そろそろ始めようか」


バケツに水を汲み、小さなキャンドルを数個準備をする。


パチパチ、シュー


個々の音を立てながら、暗がりの公園に、色を付ける。


さすがに、全員は集まらなかったようだ。


急な誘いなので、無理もない。


集まったのは、十数人ほど。


花火を持ってきてくれたのは、藤田さんと、後2人。


この人数で消費するには、ちょうどいいくらいだった。


「みんなで線香花火しようよ!」


「いいね」


「影山はじっとしてられないからすぐ終わるね」


「ははは」


「おい!矢野には負けねぇからな!」


みんな一斉に灯す。


パチ、パチパチという音が、不規則に、火花とともに咲く。


「あ」


「木村さんじゃーん」


「雨音ちゃんどべ」


私が1番に落ちてしまった。


切り離された灯火は、砂に溶け込むように、消えていった。


みんな、自分の花火に集中している。


(あれ…)


藤田さんの顔が、なんだか、寂しそうというか、物憂げな色をしている。


夜闇が、そう映すのだろうか。


「しぇーい!勝ったー!」


影山くんが、最後まで残った。


「おい!」


「あ」


影山くんは、喜びとともに立ち上がったので、花火が切れてしまった。


「ははは」


「なにしてんのー」


「ひひひ」


花火が終わった。


「ゴミは、俺持って帰るから」


「ありがとう」「ありがとう」


「ありがとう」


「私も、持って帰るよ、何も持ってきてないし」


「マジ?じゃあ、こっちの、濡れてない方お願い」


「分かった」


私は、燃えた花火以外のゴミを、持ち帰ることにした。


「じゃあねー」


「またー」


時間は、20時半過ぎ。


解散して、藤田さんと帰ることにした。


「花火楽しかったね」


「うん」


さっきより、表情は良くなったけど、まだ、何か気がかりなことがあるような、そんな感じが、確証はないけれど、伝わる。


触れずにいた方が、いいのだろうか。


どこか控えめで、でも、嬉しい、楽しいという感情がしっかりと伝わる彼女の笑顔が、私はみたい。


話を聞くぐらいは、いいんじゃないだろうか。


もちろん、彼女の話せる範囲で。


「あの、藤田さん、なにかあった?」


「え?どうして?」


「何となくなんだけどね、なにか、つっかえるものがあるんじゃないかなって」


全然違ったら、めちゃくちゃ変な人だ。急にこんなこと。


「やっぱ、出ちゃってたかー。隠すの下手だなぁ」


(泣いてる…)


まだ何も話してないけれど、藤田さんは、口を歪ませて、腕を目に当てている。


それほど、溜め込んでいたのかもしれない。


「話してもいい?」


「いいよ、藤田さんの、話せる程度でいい」


「ありがとうー」


さらに、泣いてしまった。


少し離れた、さっきとは違う公園に向かった。


ちょうど、誰もいない。


自販機でお茶を買ってきて、ベンチに座って話すことにした。

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