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雨の日の晴  作者: 宿木
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夏染め

今日は曇。


太陽の位置が、うっすらと光って、確認出来る程の天気。


今日は、久しぶりに部活へ行く。


活動自体少ないし、何せ、この夏、私は引退だ。


せっかくできた友達、宵音ちゃんと会う機会も、顕著に減ってしまうだろう。


曇りだからだろうか、晴れの日に比べて、暑さはマシだ。


といっても、汗をかくぐらいには、暑いのだけれど。


ー!ー、!


学校に近づくと、運動部らしい大きな声が聞こえる。


今日も野球部が、暑さの下を、走り回っている。


(すごいな、私だったらすぐに倒れそう)


土間に着いた。


普段とは違い、ここに賑やかさはない。


(涼しい)


土間。何故か、涼しいことが多い。


エアコンが付けてあるわけでもないのに。


密かな避暑地だろう。


私のクラスの靴箱、ほとんどが空で、ほんの数箇所のみ、色がついている。


部室へ向かう途中、テニス部の活動が見えた。


晴美と帰れると、思ったが、昨日おばあちゃん家から帰ってきたので、休むと言っていた。


(宵音ちゃん、来てるかな)


「おはようございまーす」


「あ!雨音ちゃん!久しぶりーおはよう」


(おお、日焼けしてる)


「久しぶり、焼けたね?」


驚くほど、茶色くなっていた。


スポーツでもしているのかと思うほどだ。


「うん、おばあちゃん家行って、ずっと外で遊んでたんだ!あと、写真も撮ったよ」


喫茶店のおばあちゃんとは、違う人だろうか。


仲良くなってからは、意外と無邪気さがある子だなと思っていたけど、この見た目が、より一層、そう意識させる。


「じゃあ、さっそく写真みてもいい?」


「いいよー」


カメラの持つ風景は、道は舗装されているものの、あたりは、どこまでも続くかのように、平坦に広がっていた。


「田舎の方でね、こんな景色が沢山なんだ。田んぼだらけでしょ」


どこまでも、走って行けそうだ。


「たまには、私視点の、私の日常もいいかなって」


そうだ、宵音ちゃんの写真にしては、違和感があった。


彼女は、自分の日常から、他人の日常を写すことが好きと言っていた。


この写真には、人、もとい生物が写っていない。


違和感といっても、なんだか伸び伸びとしていて、自由な感じが、ほのかにする。


「こういう写真もいいね、好きだな」


「ありがとうー私も、よく分からないけど、気に入ってるんだ」


しばらく宵音ちゃんの写真をみながら、染み付いた暑さを抜いた。


「今日は何しようか」


「先生はおやすみだって、かわりに教頭先生が戸締りしてくれるみたいで、帰りは開けっ放しでいいらしいよ」


「わかった」


結局、時間まで、部室で話していた。


お盆の様子だったり、色々。不思議と会話が止まらなかった。


「解散でーす」


ほんの数人の部員。


外に撮りに行った部員は、部室から出ても、10分経たずに戻ってきた。


「あっこれ宵音ちゃん、お土産」


「ありがとう!嬉しい!私もあるんだけど、今度持ってくるね」


「うん、ありがとう」


土間へ向かう。屋内であるのに、廊下はこんなにも暑い。


「一応、活動だし、帰りながら写真とらない?」


「そうだね」


土間に向かうまでの道中、2、3枚、シャッターを切る。


「よし、活動した」


「そうだね、活動した」


夏休みの部活。生徒だけになれば、こんなこともあるだろう。


むしろ、必然とも言えるはず。


「じゃあねー」


「またねー!」


私が門をでる頃には、隠れていた太陽は、姿を現していた。


夏の青を取り戻し、夏の音が、ミンミン、ガチャガチャと溶けていく。


中々落ちることはないだろう。


今年も夏が、私に染み込んでいる。

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