表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨の日の晴  作者: 宿木
73/124

深宵の味

コンビニへ行くことにした。


家からすぐ近くのコンビニ。


こんなに深い夜に行くことは、滅多にない。


私一人で行けば、補導されるかもしれないし。


コンビニならではの、入店音。


人は、全くいない。


店員さんも、見当たらず、奥で作業しているのだろう。


(なににしようかな)


軽くラーメン1杯ぐらいは食べられそうだ。


目に入った、醤油ラーメンを手に取った。


カップ麺ではなく、コンビニの、温めるラーメン。


「お母さん、私これにする」


「はーい、私はどうしようかなー」


「これにしよ」


唐揚げ弁当だ。結構ガッツリしたのを選んだな。


店員さんは見つからない。


レジへ行くと、「セルフレジをご利用ください」とある。


店内には、いつ聞いたかは覚えてないけど、聞いた事のあるBGMと、アナウンス。


セルフレジを打つ音が響く。


私たちはまた、暗がりに戻った。


21時とか、22時。


そういう時間とは、少し違う。


日付が変わって、間もない頃の空気。


明かりの点いている家もあれば、点いていない家もある。


頼りになるのは、街灯ぐらいだ。


私たちは家に戻った。


「ただいまー」


「雨音、先ラーメンやっていいよー」


「ありがとう」


この家にも、明かりが灯った。


手洗いをして、さっそくラーメンを温める。


テレビをつけると、この時間という感じの番組が流れていた。


私はこの、いわゆる深夜番組が好きだ。


ご飯時とは少し違った、どこか力の抜けた感じが、この時間の落ち着きに、上手く染み込む。


温められたラーメンを持ってきた。


1時前、普段なら寝ている時間に、お腹を満たそうと、食事をとる。


真夜中の催しも一緒に。


「お風呂が湧きました」


「雨音ー、先入るねーお弁当はそのままで大丈夫ー」


「分かった」


1つ、番組が終わろうとしている。


このエンディングも、私は好きだ。


決まったエンディングではなく、毎月、バンドや、個人で活動している人、アイドルの曲を使っている。


ここで出会うアーティストもいるし、この、ある意味アウェーな感じが、意識しない隙間を、埋めてくれる気がする。


「ごちそうさまでした」


あとは、お風呂に入って、寝る。


それを遂行すれば、私の、私たちの旅は、一旦終わる。


そして、奥深くに、浸透していくだろう。


少しして、お母さんが出てきた。


「お待たせー」


昨日、一昨日、いや、もう日付が変わったから、一昨日と、一昨昨日(みっかまえ)か。


その2日間は、賑やかなお風呂の時間だった。


風結と一緒に入って、色々な話をした。


お風呂から出たとき、流石に浸かりすぎたと、実感する程に。


給湯器の示す、デジタル時計は、1:32。


(そろそろ出よう)


リビングに行くと、お弁当はもう無くなっていた。


ソファを覗くと、お母さんが、横になって、静かな寝息を立てていた。


(起こして、布団にした方がいいかな…)


あんなに長く運転してくれていたのだ。


寝てしまうのは当然だ。


「本当に、いつもありがとう」


(多分、聞こえてないよな…)


テレビを消して、お母さんに話しかける。


「お母さん、布団いこう」


「えぁ、うん、ごめんごめん」


一緒に、部屋のある2階まで上がる。


「おやすみー」


「おやすみ、あっ、お母さん、いつもありがとう。凄く楽しかった」


「うん、また行こうね」


なんだか照れくさかったけど、眠気がそれを誤魔化した。


暗いなか見える天井は、いつもの天井だ。


日が登ればまた、暑い夏だろう。


夏虫が、忙しなく鳴く。


この夜を通して、そっと、また日常へ戻ろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ