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雨の日の晴  作者: 宿木
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陽とまた会う

私は、身支度を始めた。


私は軽く寝癖直しを吹きかけて、ブラシとくしを使えば済む。


髪の長い風結は、そうはいかないみたい。


歯を磨いて、後は出発するだけになった。


(そうだ、今日はこれを付けよう)


風結を待っている間に、イヤリングをつけた


「おまたせー…あ!雨音、それめちゃくちゃ素敵」


「ありがとう、お母さんに貰ったんだ」


「へーすごく似合ってる」


「じゃあ、行こうか」


ガラガラガラ


横にスライドさせる扉。


その手前には、ドアのように開け閉めできる網戸が貼ってある。


今日の太陽は、人間を外へ出したくないのだろうか。


そんなことを思うほどに、強く照りつけている。


大勢で、道を歩く。中々ないことで、新鮮だ。


駐車場に着いた。


「車、どうしようか」


お母さんがそう言った。


「僕、雨音ちゃんと乗りたい!」


真絃くんは、私と乗りたいみたいだ


「いいよ」


「私はお父さんの車でいいかなー」


「じゃあお母さんと、あな…怜翔も、私の車に乗って」


「はーい」「分かった」


私と、真絃くんとお母さんたち、風結たちの二組で行くことになった。


おじいちゃんが生きてた頃は、おじいちゃんが運転していて、おばあちゃんは車を運転できない。


(そういえば、おじいちゃんの車では、いつもラジオが流

れてたな…)


そんなことを、いつもの、お母さんの車に響く、独特の音質から成る他人の会話からそう思う。



いつもは、私とお母さんしか乗らない車。今日は、満員だ。


「まって、道ってこっちで合ってるっけ?」


「あってるよー」


「雨音、それ綺麗だね」


おばあちゃんが、イヤリングに気づいてくれた。


「え?ああ、これお母さんに買ってもらったんだ。ありがとう」


誕生日に、灯凪さんのお店で買ってもらったイヤリングだ。


「お母さん、それ灯凪が作ったやつだよ」


「へー!どうりで。そういえばお店やってるって言ってたねぇ」


「灯凪さん、すごいかっこいい人だった!」


「灯凪ちゃん、昔からオシャレでねぇ…流行りのオシャレとは違って、個性が出てて、ホントにセンスがいいんだなぁって思ったよ」


「すごー、昔の灯凪さん見てみたい」


おしゃれな子供というのが中々想像つかない。


素直に、昔の灯凪さんの姿が、気になった


(…あっ!まずい)


真絃くんも一緒に乗っているんだ。


きっと、私と何か話したくて、一緒に乗りたいって言ってくれたはずだ。


「…真絃くん。えっと、学校は楽しい?」


「え?うん」


「いいね」


下手な会話だ。


年下の子と話すことに、慣れていなさすぎる。


「真絃ー。家では明輝は、どんな感じ?」


「うーん、わかんない」


「だいたい、あんな感じ?」


「そう!」


「ははは、そーなんだー」


大した会話もなく、ラジオの会話を乗せたまま、お墓に着いた。


風結達も車から降りてきて、また人の塊を作った。


【山上家之墓】


ここが、お墓だ。


お父さんが持ってきた水をかけて、綺麗にする。


辺りも掃除して、お花や、お菓子を供える。


お墓参りは、特に理由はないけど、しっかりとやりたい。


なんだか、しっかりとしなくてはいけない気がしている。


それが、何故なのか、どこから来る気持ちなのかは、はっきりしないのだけれど。


雰囲気が、そうさせるのだろうか、どちらにせよ、私がそうしたいということに変わりはない。


ここへ来ると、おじいちゃんを思い出す。


私がまだ幼い頃に死んじゃったけど、おじいちゃんのことは、覚えている。


よく手を繋いでくれていて、お母さんから聞くには、全然手を離さなかったらしい。


私の家に帰ることもすごく嫌がって、涙で顔がぐしゃぐしゃだったとか。


風結と3人で、缶蹴りをしたり、アイスを、食べちゃダメだと言われながらも、おじいちゃんから密かにもらっていたり。


思い出すのは、暑さを感じない、夏の思い出ばかり。


「そろそろ行こうか」


おばあちゃんがそう言った。


みんな、駐車場へ向かう。


駐車場へ向かっていると、おばあちゃんがこう言いだした。


「風結ちゃん、雨音ちゃん。ホントに綺麗になったねぇ」


「え?」


「もともと2人とも可愛いけれど、なんだか大人っぽさも出て、綺麗だなぁって」


「…ありがとう」


なんだか、そうはっきりと言葉にされると、恥ずかしいというか、くすぐったいというか


「照れるなーおばあちゃんありがとう」


言葉の通り、風結の表情は、嬉しさに、何やら別の感情が混ざっているようだった。


「お昼どうするー?」


「僕スイカがいい!」


「スイカはご飯のあとでしょー」


「じゃあ、あそこにしない?」


「あそこ?」


「私の友達の親がやっててさ、たしか、スイカも出てたよ」


「お母さん、まだ灯凪の親のお店って、まだやってる?」


「ああ、あそこね、やってるよーたまに行くもん」


「そこにしよう!」


「おお、雨音珍しいな」


灯凪さんが育ったお店。とても気になる。


「みんなは、どうする?」


「どこでもいいよー」


「私もー」「俺も」「僕も」


私たちは、灯凪さんの両親がやっているというお店へ行くことにした。

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