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雨の日の晴  作者: 宿木
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夜、灯る家

「雨音ー!おばあちゃーん!」


私に勢いよく抱きついてきた。


「久しぶり!」


「久しぶり」


「久しぶり、風結ちゃん、よく来たねぇ」


私より、少し背が高くて、はっきりと喋り、いつも、迷いがない。というような、まっすぐな目をしている。


「風結ー!荷物持ってー」


「ああ、そうだった!」


今、走ってきたところを、また走って戻っていった。


「風結は、いつも元気だねぇ」


「うん、こっちも元気になる」


今度は荷物を持って、走ってきた。


(荷物あるのに、よく走るな)


彼女の元気のよさには、本当に驚く。


「お母さん、ただいま」


「はい、おかえり」


「明輝ちゃん、久しぶり」


「雨音ー!ちょっと大人びたんじゃない?」


「へへへ、そうかな」


「雨音ちゃん、おばあちゃん、久しぶり」


「おー真絃(まつ)くん、大きくなったねぇ」


「ホントだ真絃くん、今何年生?」


「3年生」


もう3年生か、と言っても毎年会っているんだけど。


(あれ、風結は…)


どうやらすぐに家に入っていったみたいだ。


「お義母さん、ご無沙汰してます」


真鳴斗さんだ。風結のお父さん。


「あれ、雨音ちゃん?大きくなったねー」


「真鳴斗さん、久しぶり」


昨年は仕事で、真鳴斗さんはいなかったので、私の変化を、よく感じるのだろう。


私たちは、家に戻る。


これで、全員揃った。


「スイカうまー咲久ちゃんたち、食べた?」


「食べたよ、それ、多分明輝たちの分もあるから、残しとくんだよ?」


「危な、全部いくとこだった」


「風結ー?お仏壇やった?」


「えー?お母さんたち待ってたー」


「ああ、そう」


「ああ、姉ちゃん、怜翔さんも、こんにちはー」


「こんにちは。風結ちゃん、相変わらず元気で、なんだかほっとしました」


「あはは、ちょっと元気過ぎますよねー」


「いいことです」


「おじいちゃん達に挨拶するよー」


お仏壇の事だ。


風結たちは、仏壇の前に正座し、手を合わせた。


先程まで賑やかだったのだが、あっという間に、静かさが、この部屋を支配した。


静かな風結。よくよくみると、綺麗な顔をしている。


目をつむっていると、大人っぽくみえて、あの元気のよさは、まるで想像出来ない。


「今日の夜どうする?」


仏壇に手を合わせるとやってくる静かさを、上手く丸めてくれるのは、いつもおばあちゃんだ。


「お家で食べたい!」


「私も!」


「分かった、じゃあ手伝ってくれる?」


「はーい」「分かった」


この人数だ、外食の方が楽なのだろうけど、私はこの家でご飯を食べたい。


みんなで集まって、この家でご飯を食べる。


賑やかで、楽しくて、たまらなく好きだ。


その分、しっかりと、私もご飯の支度をする。


「おばあちゃん、今日は何つくるの?」


私がそう聞く。


「どうしようねぇ…豚汁とか?後ご飯と、サラダと…大根と、豚肉が余るから、それで煮物かな」


「分かった。じゃあ私ご飯炊く」


「私は煮物かな、風結ちゃんは、野菜切ってくれる?私は豚肉と、大根を先に切るねぇ」


「分かった!」


おばあちゃん家の台所は、調理場が広くて、最も多くて、6人ぐらいが作業できそうだ。


「おばあちゃん家のキッチン広いねぇ」


風結がちょうど、そう言った。


「そうねぇ、おじいちゃんが、私が料理が楽しいって言ったら、業者さんを呼んでねぇ、なんかお父さ…おじいちゃんも一緒に作業してたよ」


「すごいなーお母さんが子供のときでしょ?」


「そうそう、まだ風結ちゃんのお母さんも、雨音ちゃんのお母さんも子供で、中学生ぐらいだったかな?」


こういう、お母さんが子供の頃の話を聞くことは、楽しい。


形だけ見れば、歴史の授業を受けているのと、同じなんだろうけど、興味の持ち方が、てんで違う。


お母さんが自分で昔のことを話すより、お母さんを知っている人からの話の方が、よりお母さんを、1人の人間として、1人の歴史をもつ人間として感じる。


「ご飯セットできた!」


あとは、炊けるのを待つだけ。


「ありがとう、かなりの量だったでしょ」


「うん、大変。」


いつもは二人分だから、米の量には驚いた。


「私お風呂やる」


次は、お風呂の用意をすることにした。


「…そーなんだよねー」


「いや、僕なんかはさ…」


「ははは、そんなもんよ」


リビングでは、大人たちが話している。


お母さんと、明輝ちゃんが話しているのをみると、やっぱり姉妹なんだな。と、特に理由は見つけられないけど、そう思う。


私が浴槽を洗っていると、誰かがやってきた。


どこか、軽やかな足音。


「雨音ちゃん」

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