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雨の日の晴  作者: 宿木
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晴れ、風がふく

私たちは、家へ向かった。


昔ながらの家という感じ。


とても広い。というわけではないけれど、私達と、お父さん、風結たちが泊まるには、充分だ。


「ふー帰ってきたー」


「荷物、置いてきな」


「うん」


寝室に荷物を置いて、手洗いをする。


1年前と、対して変わらない洗面所の姿に、少し、安心する。


たった1年といっても、変化がないわけではない。


そんな中、変わらないものというのは、せわしい日常に、いい刺激となる。そんなふうに思う。


「雨音ーこっちおいでー」


「はーい」


リビングへ向かう。


お菓子が供えられた、お仏壇。


仏壇の上には、ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃん、おじいちゃん、それよりももっと前の人の写真がある。


焼香をして、リンが、辺りに響く。


私とお母さんは、仏壇に向かって、手を合わせる。


こういうのは、どうしたらいいのか、正直分からない。


一応、心のなかで、「ただいま」と言っている。


仏壇のお参りが終わるといつも、なんだか余韻が残る。


落ち着いた気持ちになって、私は好き。


「雨音、スイカ食べる?」


「食べたい、ありがとう」


おばあちゃんが、スイカを持ってきてくれた。


食べやすく、四角に切って。


「お母さんありがとう」


「おいしい」


「あきの分はあるから全部食べていいよ」


「ありがとう」


明輝(あき)、お母さんの妹で風結のお母さん。


「あっそうだ、おばあちゃん、明輝ちゃんたち夕方ぐらいになるって言ってた」


「はーいありがとう」


ピンポーン


インターホンが鳴った。


「お邪魔します」


「ああ、あなた、おつかれ。来てくれてありがとう」


「お父さん、久しぶり?でも先月会ってるか」


「ははは、そうだね」


怜翔(れいと)さん、いらっしゃい」


「お母さん、ご無沙汰しております。」


お父さんも、仏壇に手を合わせた。


「怜翔さん、スイカ良かったら」


「ああ、ありがとうございます。すみません」


(なんだか、落ち着かない様子だな)


リラックスとは程遠いだろう。


義実家というだけでも、随分気を使う。


まだよく分からないけど、そんな感じがする。


「あっそうだお母さん、お土産」


「そうね、雨音、渡してきてくれる?」


「うん」


「ああ、僕もあったんだった」


「おばあちゃん、これお土産」


「ああ、ありがとう。後で、みんなで食べようか」


「お義母さん、僕も、ホント、大したものではないですが」


「ごめんね、気を使わせちゃって、気楽にでいいよ。ありがとう。」


「ありがとうございます」


おばあちゃんは、私と身長は変わらず、そこまで高くないし、特別、変わったところもないおばあちゃん。


しかしたまに、大きく見える。


雰囲気だろうか、つい、任せてしまったり、甘えてしまう。


「今年は、真鳴斗(まなと)さんも来るみたいだから、仲良くしてあげてね、きっとあの人も緊張しているだろうから。」


「はい」


「あっ風結たちもうすぐ着くって」


「ああ、じゃあ外で待ってようかな」


「私も行く!」


家には、お母さんと、お父さんだけになった。


「雨音ちゃん、学校は楽しい?」


「楽しいよ、部活で、仲のいい子もできて、クラスでも新しい友達ができて…」


期間にすれば、夏休みまでは、そこまで長くなかった。


しかし、振り返ってみるとどうだろう。


案外濃い一学期を過ごした気がする。


「雨音…?」


「ああ、ごめん、色々考えてて」


「楽しそうね、良かった」


「え?分かったの?」


「うん、分かるよ」


真夏だ。蝉もまだ、元気に鳴いている。


しかし、私の町ほど暑さは感じない。


「あっ!あれじゃない?」


「んー?ああ、そうかも。よく見つけたねぇ」


1台の車が、駐車場へ向かった。車が止まってすぐ、こちらへ走ってくる姿があった。


すぐに誰だか分かった。


はっきり顔も分からないし、ほぼ雰囲気だけど、それが、彼女だと語っている。


「雨音ー!おばあちゃーん!」

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