夏祭り、快晴な夜(2)
私は、軽く身なりを整えた。
ちょうど、もう外に出るだけとなった頃、インターホンが鳴った。
「雨音ちゃーん来たよー」
「今行くー」
ガチャ
「お待たせ」
「急にごめんね暇でさ」
「私も、全然大丈夫」
戸締りをして、私たちは歩き出す。
とりあえず、いつもの方向へ。
「なにしようかー、お祭りまで、あと4時間ぐらいあるよ」
「だよね、外は…暑いな」
外はなるべく避けたい。
ただでさえ、祭りはずっと外にいるのだから。
「あっそうだ、駄菓子屋さん、やってるかな?」
「いいね!そこで少しお菓子とか食べよう!」
「うん」
駄菓子屋に向かう。
「こんにちはー」「こんにちはー」
「おお、いらっしゃい二人とも。今日も暑いねぇ」
「暑いねーとても外じゃ遊べないよ」
ここの駄菓子屋さんには、お菓子を食べられるスペースがある。
太もも位までの段差があり、そのうえに畳の敷かれた、茶の間がある。
家とは別の、第二の茶の間。そんな雰囲気がある。
「おばあちゃん、私はこれにする」
「私はこれー」
ほぼいつもと変わらない組み合わせ。
いつもなら、段差が出来たところに座るだけだけど、今日はゆっくりしたかったので、靴を脱いで畳の上に上がった。
「あら、今日はテーブルも使うの?」
「うん、今日はゆっくりしたいんだ」
「じゃあ私も、少し休憩しようかな」
そう言って、おばあちゃんは、お菓子とお茶を持ってやってきた。
「そういえば二人とも、今日のお祭りは行くの?」
「ああ、行くよ神社のだよね?」
「そうそう、この間、お祭りあるからって、お菓子を沢山買っていった人がいてねぇ。もうそんな時期かと」
「へーお祭りとかのお菓子ってここで買うんだー」
「私たちお祭りまで暇なんだー」
「お祭りは何時から?」
「17時からー」
「ああ、まだまだあるねぇ。ゆっくりしてったらいいよ」
「ありがとう!」「ありがとう」
お菓子をゆっくり、話しながら食べた。
お菓子を食べ終わって、アイスも買って食べた。
なかなか時間も潰せたのだが。
「やっぱり、暇だねー」
「うん」
時間は、14時半。まだ、待たなければならない。
「そろそろ違うとこ行こっか」
「そうだねー」
「おばあちゃん、そろそろ行くね。また来るかも」
「はーい、気をつけてねぇ。祭り楽しんで」
「ありがとう!」
私たちは、駄菓子屋さんを後にした。
「どこに行こうか、なるべく屋内がいいけど…」
「そうだねーお祭りまで、あまりお金使えないし」
「そうだよね」
屋台の出し物は、かなり値段がする。
普通に買うより、少し高いことが多い。
だから、お金は貯めておきたい。
「私の家にしない?ゴロゴロしようよ」
「そうするかーお邪魔しようかな」
私の家に向かう。
こんなにも、時間がゆっくりに感じることは、あまりない。
授業中ですら、もう少し速く感じる。
「お邪魔しまーす」
スマホをいじったり、ゲームをしたり、漫画を読んだり。
本当にダラダラとした時間の使い方。
こんな風に生きていていいのだろうか。
そんな不安がないわけではない。
(まあ夏休みだし、ちゃんと休んでるということで)
たまに、こんな楽観的な自分が出る。
結構時間がたった。
もう、辺りは、夜を迎える準備が出来ている。
時間は、17時前
「そろそろ行こうか」
「だねー」
また、私は戸締りをし、今度は神社に向かった。
神社に近づくにつれ、浴衣や、甚平を来ている人が目立つようになった。
「神社でお祭りって初めてだなー」
「私も」
「お参りとか必要かな?」
「どうだろうね、やりたければやるみたいな感じかな」
目的の神社は、いつかの、小さな公園。
晴美とよく遊んでいた公園の少し奥にある。
明かりが見えてきた。人が沢山いるのが分かる。
「わあ」
鳥居の奥には、沢山の屋台が。
日と夜が混じるなか、屋台の光が、上手く溶け込んでいる。
「浴衣の人いっぱいだね!」
「そうだね、きれい」
私たちは、浴衣は着てこなかった。
外に出る時の、いつもの服。
「雨音ちゃん!きゅうりあるよ!」
「ホントだ買ってくる。晴美はいる?」
「いるー雨音ちゃんなんかいる?」
「そうだな、わたあめ欲しい」
「じゃあ私はそっち買ってくるね」
「よろしく」
きゅうりの1本漬け。私の大好きな屋台の食べ物。
家で作ってもいいけど、やっぱり、雰囲気が与える美味しさってあると思う。
きゅうりの列に並んだ。
同い年くらいの、男女で来ている人が多いな。
みんな、どこか緊張しているのが、表情から伝わる。
見ているこっちも、なんだか恥ずかしくなる。
(あれは…?)




