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雨の日の晴  作者: 宿木
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夏、優しい雨

「おはよう」


リビングに来た。


「あれ…」


お母さんがいない。確か今日は休みだったはず。


部屋にもいない…


(出かけたのかな)


リビングに戻った。


朝のニュース。先程までテレビはついていなかった。


(あっ)


「お母さん、おはよう」


「ああ、おはよう」


お母さんはソファに寝転んでいたちょうど隠れて見えていなかった。


「もしかして、体調悪い?大丈夫?」


なんだか、だるそう。顔も赤く見える。


「ちょっとしんどいかも」


「分かった。何かいる?ポカリとか」


「うーん…」


「後で買ってくるね」


「ありがとう」


とりあえず、ご飯を用意しよう。


今日は、珍しく雨だ。そして、珍しくお母さんが体調不良。


「お母さんご飯たべた?」


「食べた」


食欲はあるな。


白いご飯と、インスタント味噌汁を用意して、朝食をとる。


「病院とかは?行かない?」


「うーん、寝てれば治りそうだし…」


「分かった」


こういうのは、あまり強制しない。


私が、そうしてほしいから。


でも、お母さんはたまに無理をすることがある。


酷いようなら、病院に連れていこう。


朝食も済ませ、軽く身なりを整えた。


「じゃあちょっと行ってきます」


コンビニに、ポカリと、フルーツとか、そういうのを買いに行く。


お気に入りの傘で、外へ出る。


優しい雨だ。

傘を閉じても、私なら構わない。


慈雨という言葉が似合うだろうか。


「いらっしゃいませー」


買うものは決まっている。すぐに帰ろう。


大きいポカリ、あと、みかんとか桃が沢山入ったやつ。


ついでにお菓子もかっちゃおう。


「ありがとうございましたー」


やっぱりいい雨だな。傘に跳ねる雨音も、優しい。


この雨を、存分に楽しみたいが、今日は難しい。


「ただいまー」


「おかえり、ごめん、ありがとう」


「ポカリ今いる?」


「うん、ありがとう」


コップと、ポカリを渡した。


私の朝は、少し落ち着いた。


(いい雨だな。)


家の中からは、目を凝らさないと、見えないくらいの小さな雨。


暇だな、絵でも描いていよう。


暇、といっても、夏の課題やら、やるべきことはあるのだけれど。


私の好きな、カエルの絵。


自分なりに描いたカエル。


人に自慢できるような絵じゃないけれど、私はこのカエルが好きだ。


私のカエルに傘を持たせたり、葉っぱの上に乗せたり、跳ねさせてみたり。


絵は、結構楽しい。


あっ、そうだ。お昼はどうしよう。


「お母さん、お昼どうする?うどんとか?」


「お母さん?」


「…すー」


寝てる。


このまま寝かせよう。


昼は、ラーメンにしよう。1人分だけ残っていた。


その夜も、お母さんは寝ていた。



―次の日―



「おはよう」


「おはよう、雨音」


「お母さん、体調は?」


「いい感じ、昨日はごめんねー、完全にダウンしてた」


今日の天気は、多分晴れ。


カーテンから差し込む光が、そう言っている。


昨日の夜中まで続いた優しい雨は、もう去ってしまった。


まずは、雨で干すことが出来なかった洗濯物を片付けよう。


さすが夏の日差し、雨の気配は、もう薄まっている。

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