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雨の日の晴  作者: 宿木
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晴れの日、霧が晴れる

今日も晴れ。ここのところ、太陽の調子がいい。


この間、電車を使って、遠くの、知らない所へ行った。


静かで、神社があって、広々としていた。


夏休みに入ってから湧き出る、無性にどこかへ行きたい欲があっての行動だ。


あんなに遠くへ行ったのに、まだその欲は収まらない。


私は今、自転車を漕いでいる。


辺りは、知らない風景。


水筒、スマホ、財布をカバンに入れて、家を出てきた。


とても暑いのだが、自転車のおかげで、少し涼しい。


目的地は、無い。ただ気になる道を、自転車で進んでいるだけ。


(暑いな…)


信号待ち。ここで水分補給。


少し止まっているだけなのに、夏の暑さを感じる。


(ん…なんだろう)


左手側に、大きな橋、というか、下を通る道の上に、高速道路がある。


車道の上に、建てられているのだろうか。2段ベッドのようだ。


少し勾配があるからだろうか、とても大きく見える。


私は、信号を渡るのをやめて、そこをひとつの目的地にして向かった。


霞んで見えていた高速道路。段々と明瞭になってきた。


何も知らない土地。


この高速道路の向こうに、何があるのか。


景色がはっきりする度、私は目の前の景色から目が離せなくなる。


(あっ…)


大きく建てられた橋。


高速道路が走っている。


その下を通るのは、車道ではなかった。


その道を閉じるように作られた黄色と黒の棒。


踏切だ。


高速道路のしたを通るのは、電車の走る線路だった。


その先も坂道になっていて、この先は分からない。私はまだまだ先が気になる。


自転車を走らせ、先程よりも勢いをつけた。


急な坂ではないが、長い。


勢いをつけてもかなりしんどい。


先程までは、住宅街だったが、家々も少なくなってきた。


広い道路が続いていて、ところどころに家。


高速道路を自転車で走っているみたい。


何とか、坂の頂きが見えてきた。


歩いた方が速いんじゃないか。


そう思うぐらいゆっくり自転車を走らせ、やっとたどり着いた。


(やっと登れた。)


すぐ目の前に、急すぎる下り坂が広がっていた。


この先は分からない。


カーブを描いていて、視界の右側に消えている。


道が見えなく、前から人が来たら危ないので、自転車を降りて下ることにする。


ちょうど、道が消えたところを過ぎると、今度は先程とは逆に曲がっている。


そして左側にには、大きな川が真ん中を通る町並みが広がっている。


かなり高い場所なのだろう。


山の上から町を見下ろしているみたいだ。


私は、足を止めてその景色を見ている。


時間は14時ぐらい。お昼を食べてからきた。


あまりお昼過ぎの、日が落ちかかっている時間の明るさは好きじゃない。


しかし夏だ。


午前中かと思うほど明るい。


町が綺麗に鮮やかさを返す、ちょうどいい明るさだ。


人通りは少ないけれど、後ろから自転車が勢いよく来るかもしれない。


世の中には、そんな考え無しもいるのだ。


私はこの場を離れることにした。


(写真だけ…)


とりあえず、スマホのカメラに収めた。


さて、この坂を降りようか、戻ろうか。


この坂を降りたところで、とても急な坂だ。おまけに長い。


帰りには、登らなくてはならない。


明日は部活に、晴美と宿題をする約束をしている。


自転車を押し、ゆっくり坂を下りながら考えた。


(よし…)


数分考えた後、戻ることした。


本当は、この先に行きたい。


しかし、ここ1時間ぐらい、ずっと自転車を漕いできて、少し疲れた。


そして、ここまで来た道を、記憶していない。


スマホで調べながら、何となくで戻るしかない。


まず、ここは何処なのだろう。


まあ、それを求めてやってきたんだけど。


「また、この場所に来て、この先に行く」


そう自分と、ついでに目の前の風景に約束した。


この夏休み中でなくても、暑さが落ち着いてからでも、絶対に来よう。


私のどこかへ行きたい欲は、今すぐこの先に私を運ぶことはしないが、消えてはいない。


そう感じる。


私は、今来た坂を登る。


さっきまで登っていた長い坂。帰りは下るだけ。


坂を登ったご褒美。そんな感じだ。


自転車にまたがり、坂を下る。


気持ちがいい。長い坂なので、しばらくは下りだ。


(…)


思ったより早く踏切まで戻ってきた。


時間をかけて登ったわりに、呆気ない。


まあ、下り坂だし、当然なのだけれど。


この先は真っ直ぐだ、たしか、信号を渡ろうとしていたから、その信号まで行こう。


私は、自転車を走らせた。

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