夏と○○
今日は晴れ。もうこのウンザリする暑さには慣れた。
いや、諦めた。
夏休みの前半が終わろうとしている。
もうすぐ8月だ。8月は私の誕生日。
誕生日のある月は、少し気分が上がる。
小さな頃に比べると、そこまでだけど。
今日は晴美と夏の宿題をやることになっている。
8月を目前にした今、私はほとんど手を付けていない。
晴美もほとんどやっていないらしい。
それでは少しまずい。ということで、学校で宿題をすることにした。
晴美の家、私の家、ショッピングモール。
これらの選択肢もあった。
しかしどれも、遊んでしまう未来が簡単に見て取れた。
苦渋の選択で学校にしたのだ。
私が晴美の家に向かう、坂道を登っていると、晴美が歩いてきた。
「おっ、おはよう晴美」
つい、拍子抜けたような声が出た。
「雨音ちゃんおはよう!今、「晴美、今日は早いな」って思ったでしょ」
「え、うん」
「やっぱり。今日は早く起きたし、速く用意出来た。いつもごめんねー」
「全然、晴美の家に向かう途中で、楽しいこともあるんだ。」
「えー、こんな短いのに?」
「うん」
水溜まりがあったり、町が眺められたり、楽しいことがある。
そんな会話をしながら、学校へ向かう。
「どこの教室が空いてるんだっけ?」
「たしか、英語の部屋だったかな」
「とりあえず行くかー。誰かいるかな?」
「こういうの、あんまり人がいないイメージ」
「そうだねー」
英語の教室。特別室へ向かう。
夏休みの学校は、静かだ。
今日は特に、野球部も活動していないから、静かさが目立つ。
「おはようございまーす」
(あっ、癖で扉を開ける時、挨拶してしまった)
「おはようございます!」
そんなの気にしなくていいほど、元気のいい挨拶を、晴美がした。
「誰もいないねー」
「うん」
誰もいなくて良かった。そう、ほんの少し思う。
「なにやろうかな、雨音ちゃん、何持ってきた?」
「私は、国語と、理科かな。国語は作業系だったしやりやすいかなって」
「じゃあ私も国語やろうかなー」
課題を始めた。
「宿題終わるかなー」
「意外といい方なんじゃない?この時期からでも」
私には持論がある。夏の課題について、「夏休み前に全部やる!」「1日10ページやって、5日で終わらせる」とか、ちょっと高い目標を立ててやる人ほど、やらない。
そういう人ほど、ギリギリまでやらない。
しょうもない、捻くれた持論だ。
私がそうだった故のことなんだけど。
「そうだよねー、遅くはないよねー」
しばらく、漢字の問題を進めていると、
「雨音ちゃん、これやった?」
そう言って、見せてきたのは、縦に幅のある長方形が置かれたプリント。
「俳句だってー夏の俳句」
(楽しそう)
「雨音ちゃん、こういうの得意なんじゃない?」
「えっ」
「おっ、2人ともおはよう。」
国語の岡田先生だ。
「おはようございます」「おはようございます」
「暑いと思うけど、頑張ってー」
「ありがとうございまーす」
教室に入って、無理に教えようとはしない。
冷たいと取られることもあるだろうが、私はその方が気が楽。
「俳句か…」
「今度の出校日提出で、コンクール出すらしいよ」
「へー、じゃあ早くしなくちゃ」
俳句の課題に移った。
自分の作品をつくる。
こういうのは、結構のめり込んでやってしまう。
(麦茶、アイス、セミ、暑い…)
「できた!」
速いな
「見てもいい?」
「うん!」
【蝉しぐれ 照らす太陽 やかましい】
(結構いいかも)
「いいね、やかましいって表現とか、晴美らしいし、全体としても綺麗」
「ありがとうー」
よく見ると、かなり綺麗だ。
全体としての夏の強さと、セミがなく様子とギラギラとした太陽が「やかましい」、「うるさい」と感じる。
なんか、分かるな。
(夏になると、雨が恋しくなるな…強い雨が突然降ったりするけど。夏の冷たい飲み物は特別美味しよな…)
色々と思い浮かぶ。
こういうのは、不思議と楽しんでいる自分がいる。
【雨と晴 色を育てる 夏天気】
出来た。
晴美の作品の方が、俳句として綺麗に感じるけど、私の俳句は、「好き」を詰めた。
「雨音ちゃんできたー?」
「できたよ」
「雨と晴…いいね、夏の鮮やかさを感じる。雨の日と晴れの日が代わる代わる来て、そのサイクルがより景色を鮮やかにしてるって感じかな?」
「うん、まさにその通り。伝わって嬉しい」
「雨音ちゃんって感じがとてもする。いいねー」
「お腹空いたなー雨音ちゃん、そろそろ帰らない?」
「そうだね、今日は帰ろうか。」
お昼前だ。私たちは家に帰ることにした。
「雨音ちゃん、今日お母さんとお父さんが仕事で、ご飯コンビニなんだけど、雨音ちゃんのお家で食べてもいい?」
「いいよ、一緒に食べよう」
「やったーありがとう」
今日は晴れ。暑い。
この暑さにわざわざ驚かないぐらいに、毎日汗を流し、セミの声を聞いている。
明日の暑さは、何を連れてくるだろう。




