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雨の日の晴  作者: 宿木
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曇り空、緩やか

「おはよう」


そう言ってリビングへやってきたのは、お母さんだ。


「おはよう。今日はゆっくり寝てたね」


「昨日すごい疲れてさー」


今日は仕事が休みらしい。


時間は、午前の10時ぐらいだろうか。


「ゆっくり寝ていた」と言っても、休日ならば、別に遅くもないだろう。


「味噌汁作ったんだ。鍋にあるから、いるとき飲んで」


「さすが、ありがとう」


味噌汁だけは作れる。というか、味噌汁だけ作る気になれる。


私は味噌汁が好きだ。


今日は特に予定もない。


外は、雨も降っていないし、晴れてもいない。


また、明るい、真っ白な曇り空だ。


「雨音、今日のお昼どっか食べに行かない?」


鍋に火をかけながら、母がそう言った。


自分の朝食を用意しながら、もう昼食のことを考えている。


「いいね、どこ行くの?」


「そうだな、どこでもいいかな…あの、喫茶店とか?」


宵音ちゃんのおばあちゃんがやっているところだ。


「ラーメンは?私もどこでもいいけど。」


「あーいいね、そうしようか。」


とりあえず車で出て、行きたい店が出て来たらそこにすることになった。


お昼までは、それぞれやることを終わらせた。


私は朝起きてすぐ回していた洗濯と、少し宿題。母は洗い物。


それぞれ身支度をし、時間は11時半。


母は分からないけれど、お昼にはちょうどいいだろう。


「行くよー」


「はーい」


お母さんが先にドアを開け、私もそれに続き外へ出る。


「あっつー車の中暑すぎでしょ。これ、どうにかならないかね。」


「夏の風物詩だよ。」


「…こともね、あるよね」


「うーん」


そんな会話が、暑い車内に追加された。


「お母さん、音楽より、ラジオ聞くよね」


「そうね、なんだかラジオの雰囲気が好きで。車ぐらいでしか、ラジオを聞くなんて、少ないからさ。」


ラジオの雰囲気が好き。それはとても分かる。


私も、本当にたまに、ラジオを聴く。


休みの日の前日の深夜とか、夏休みとなれば特に聴く機会が多い。


誰が話しているのか分からない、二人の男性の会話を乗せて、車は走る。


「ここで、本日のコーナー、「明日(あす)の俺、私が頑張ります」です。メールの件名に、「明日の俺私」と書かれたお便りをご紹介します。ということで坂田さん、どうですか、パッと思いつきますか。」


「そんなパッとは(笑)明日の俺、私…。職人の見せどころじゃないですか」


「そうっすね、じゃあさっそく」


「ラジオネーム、納豆農家さんの、「明日の俺、私が頑張ります」」


「風呂も済ませ、夕食も済ませた。後は布団に入るだけ。枕に頭を預けると、スマホに通知が。「夜中だけど、ちょっとゲリラ配信」…明日の俺、頑張ります」


「今頑張ろうよ(笑)」


「枕まで頭持ってったんなら、もう目瞑るだけだよねぇ」


「ちょっとゲリラ配信って、案外ちょっとじゃ終わりませんからね」


「はい、では、次…」


昼のラジオの雰囲気だ。あっ、そうだ、ラーメン屋


「雨音、ここなんてどう?」


信号待ちの中、母がスマホを渡してきた。


そこにはラーメン屋の情報が。


「麺処ウどん…ラーメンじゃないの?」


「ラーメンしかないらしいよ、私の職場の人が行ったって言ってて。」


「なんだそれ、じゃあそこで」


「はいよー」


私の意識は、またラジオへ


「はい、本日のコーナーはここまで。来週のテーマは、「手のとどかない痒いところ」メールの件名に、「手のとどかない」で送ってください。お待ちしております。」


「前田とどなたかのラジオ」


「自動車保険、大丈夫?最近ね…」


ラジオ特有のCMだ。少し荒い音質が、なんかいい。


「はい、着いたよー」


「ありがとう」


時間は11時56分。もうこの番組は終わる頃だっただろう。


最後まで聴きたかった気持ちも残しつつ、車を降りた。

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