朝、晴れと爽
「んわ…」
外の明るさで、目が覚めた。
よく寝た。
というのが起きたときの身体の状態で分かる。
「おはよう」
静かなリビング。
朝日の色に染まっている。
聞こえるのはエアコンの音ぐらい。
(お母さんは…仕事か)
テレビをつける。
ニュースが示す時間は、8:32。
この時間帯の持つ雰囲気が、なんとなく好きだ。
とりあえず、晩御飯の残りの味噌汁を温めよう。
私は鍋に火をかけた。
温めている間に、洗濯機を回したい。
今日はすぐ乾きそうだ。
(今日は何をしようかな)
私は作業をしながらこんなことを考える。
いい天気だ、とりあえず、外を歩きたい。
「いただきます」
朝食は、ご飯と味噌汁。
お母さんの作る味噌汁が、私は大好きだ。
「今日も熱中症には十分注意してください。」
もう、毎日聞いている。
朝食をとりながら、テレビを観る。
いつもとあまり変わらない。
「ごちそうさまでした」
とりあえず外に出る。
これを今日の目標にした私は、水筒の用意をした。
洗濯機が止まって、間もない頃ぐらいには帰ろう。
そう思い、適当な格好で出た。
半袖に短パン。そしてサンダル。
まるで少年だ。
「いってきます。」
誰もいないけど、なんとなく言ってみる。
(やっぱり、いいな)
朝が持つ雰囲気は、なんだか心地がいい。
理由とかは無いけど、なんとなく好きなのだ。
辺りの店は、まだ眠っている。
近所の居酒屋も、昨夜は賑わっていたのに、朝日のもとでは、静かにしている。
軽く、目的地は決めてある。というか、決まった。
よく行く駄菓子屋さんにしよう。
あそこは、特に営業時間とかはなく、時間になれば開くし、時間になれば閉まる。
その時間は決まっていないのだけれど。
とにかく、開いているかもしれない。行ってみよう。
私は、足を進めた。
まだ朝ではあるものの、暑い。
手持ちの水筒は、歩くほど減っていく。
駄菓子屋さんが見えた。
よく、晴美とも来る場所だ。
今どき、駄菓子屋がこういう形で存在しているのは、珍しい気もする。
私の大好きな場所だ。
(開いているかな)
9時になる直前だろうか、私は足を速めた。
「おはようございます」
「おお、雨音ちゃん早いねおはよう」
良かった開いていた。
「もう夏やすみかい?」
「うん、暇で、やってるかなって見に来た」
「夏休みいいねぇ、ゆっくりしてきな」
「ありがとう」
駄菓子屋さんのおばあちゃん。
私の、数少ないタメ口で話せる大人だ。
300円ほど持ってきた。何を買おう。
一応一通り見るけど、だいたい買うものは毎回同じ。
スティックのゼリーと、グミと、あとはしょっぱい系のお菓子をいくつか。
「これにする」
「はーい235円ね」
「はい」
「300円だね。65円のおつりだよ。」
「ありがとう」
「そうだ雨音ちゃん、アイス食べていかない?今日は暑いし、いつも来てくれているし、おまけだよ」
「いいの?ありがとう」
「あそこのケースから好きなの選びな。私のも持ってきてくれるかい?」
「分かった、ありがとう」
嬉しい。おばあちゃんは、たまにお菓子やジュースをおまけしてくれる。
私はソーダのアイス。おばあちゃんには、チョコのアイスにした。
「おばあちゃんありがとう」
「いいんだよ、いつもありがとうね」
「今日、晴美ちゃんはいないの?」
「うん、今日は多分部活で、学校かな」
「そうかー夏休みでも大変だねぇ」
私は、おばあちゃんと話をしながらアイスを食べ、駄菓子屋さんでゆっくりした。
「おばあちゃんありがとう、そろそろ帰るね」
「はい、暑いし、気をつけるんだよ。お水とか大丈夫かい?」
「大丈夫、水筒持ってるんだ。また来るね」
「はーい」
駄菓子屋さんを出た。
私は今朝来た道を戻る。
暑さが増した気がするが、アイスももらったし、駄菓子屋さんで涼んだから、そこまでキツくはない。
洗濯が終わる頃には帰る予定だったけど、すっかり時間が経ってしまった。
ただ、近所の駄菓子屋さんに足を運んで、お菓子を買う予定だった。
閉まっていたら、そのまま帰ろうとも思っていた。
しかし、おばあちゃんのおかげで、なんだか、ちょっとした旅になった。
こうやって、思い出はつくられていくのだろうか。
時間は9:30過ぎぐらいだろうか。
今日は晴れ、程よく雲の残る青空。
セミも鳴く暑さ。
私の朝は、爽やかで、心地よかった。




