表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨の日の晴  作者: 宿木
20/27

二つの音(1)

今日は晴れ、少し雲の混じった天気。雨上がりだ。


今日の朝は一人だ。


もう夏休みが近い。かなり暑くなってきた。


私は歩きながら、水筒のお茶を減らす。


(すぐ無くなりそうだな。)


私は水筒とは別に、ペットボトルのお茶を持っている。


母が持たせてくれたのだ。


この季節の雨上がりは、蒸し暑さがある。


しかし今は、静かな風が吹いており、そこまで嫌じゃない。


濡れた葉っぱと、雨で色の変わった道。


私は、こんな雨上がりも好きだ。


そんな中、私は学校に着いた。


(そうだ、今日は部活。)


私は先日のよいねちゃんが来てくれるか、気がかりだった。


なんだか、気が合いそうで入ってくれたら嬉しい。


今日は朝から体育だ。


体育館での授業。スポーツは嫌いじゃない。


母がスポーツが得意なので、遺伝なのだろう。


その後も、いつもとあまり変わらない授業が続いた。


いや、今日はとくに、「いつも通り」が強かった気がする。


放課後の部活の時間になった。私は、部室へ向かう。


「こんにちはー」


「雨音ちゃん、いらっしゃい。」


私の好きな、伊藤先生。


「この前の、よいねちゃん、来てくれますかね」


「そうね、なんだか雨音ちゃんと合いそうで、来てくれたら嬉しいね」


伊藤先生とは、部活ぐらいでしか関わりがない。


よく、生徒のことを見てくれている。


「先生は、よいねちゃんのクラスには、授業行くんですか?」


「そうね、一年生も担当だから、でも今日はよいねちゃんのクラスは授業がなかったね」


(よいねちゃん、一年生なんだ。)


伊藤先生は、数学の先生、今年は、一年生と、二年生が担当らしい。


すると、ドアを叩く音がした。


コンコン


「すみません、写真部に入りたいのですが…」


「ああ、よいねちゃん、いらっしゃい。」


「よいねちゃん、来てくれて嬉しいな」


「この前、すごく楽しくて、入りたくなりました。」


「良かった」


「この紙に名前と、保護者の名前書いてもらって、明日、担任の先生に出してね」


伊藤先生が、よいねちゃんにそう案内した。


「今日のテーマは、自由にしようか、学校の中で、好きなところを撮ってきてね」


「はい」


「行ってきます。よいねちゃん、行こうか。今日はカメラ余ってるし、そこにあるの、好きなの使っていいよ」


「ありがとうございます」


「雨音さんでしたよね?一緒に行ってもいいですか?」

「いいよ、一緒に行こう。」


(なんだか、嬉しい)


年下の子に親しくしてもらうことなんて、中々なかったからだろうか。


私たちは、とりあえず、校内を歩く。


「そういえば、この前、半分雨で、半分晴れみたいな天気があったんだけど、その時渡り廊下にいたのって、よいねちゃんだったりする?」


「あっそうかも知れないです!誰か来たと思って、逃げちゃったんですけど。」


「私、あの時、もしかしたら雨なのはここら辺だけで、反対側も晴れてるんじゃないかって見に行ったんだよね」


「確か、雨でしたね。」


「うん、よいねちゃんは、なんであそこにいたの?」


「あの日、急な雨だったじゃないですか、なんで、外の人は、傘を差している人と、傘を持っていない人で、分かれるんじゃないかと思って。そんな様子が見たくて。」


「そうなんだ。」


「あと、雨をもっと近くで感じたかったのもあります。」


たしかに、傘の有無だけで、人々の行動が変わり、人それぞれに、状況が生まれる。


それを見るのも、なんだか面白いかも。


私たちは、話しながら、校内を回っては、シャッターを切った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ