表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨の日の晴  作者: 宿木
20/120

二つの音(1)

今日は晴れ、少し雲の混じった天気。雨上がりだ。


今日の朝は一人だ。


もう夏休みが近い。かなり暑くなってきた。


私は歩きながら、水筒のお茶を減らす。


(すぐ無くなりそうだな。)


私は水筒とは別に、ペットボトルのお茶を持っている。


母が持たせてくれたのだ。


この季節の雨上がりは、蒸し暑さがある。


しかし今は、静かな風が吹いており、そこまで嫌じゃない。


濡れた葉っぱと、雨で色の変わった道。


私は、こんな雨上がりも好きだ。


そんな中、私は学校に着いた。


(そうだ、今日は部活。)


私は先日のよいねちゃんが来てくれるか、気がかりだった。


なんだか、気が合いそうで入ってくれたら嬉しい。


今日は朝から体育だ。


体育館での授業。スポーツは嫌いじゃない。


母がスポーツが得意なので、遺伝なのだろう。


その後も、いつもとあまり変わらない授業が続いた。


いや、今日はとくに、「いつも通り」が強かった気がする。


放課後の部活の時間になった。私は、部室へ向かう。


「こんにちはー」


「雨音ちゃん、いらっしゃい。」


私の好きな、伊藤先生。


「この前の、よいねちゃん、来てくれますかね」


「そうね、なんだか雨音ちゃんと合いそうで、来てくれたら嬉しいね」


伊藤先生とは、部活ぐらいでしか関わりがない。


よく、生徒のことを見てくれている。


「先生は、よいねちゃんのクラスには、授業行くんですか?」


「そうね、一年生も担当だから、でも今日はよいねちゃんのクラスは授業がなかったね」


(よいねちゃん、一年生なんだ。)


伊藤先生は、数学の先生、今年は、一年生と、二年生が担当らしい。


すると、ドアを叩く音がした。


コンコン


「すみません、写真部に入りたいのですが…」


「ああ、よいねちゃん、いらっしゃい。」


「よいねちゃん、来てくれて嬉しいな」


「この前、すごく楽しくて、入りたくなりました。」


「良かった」


「この紙に名前と、保護者の名前書いてもらって、明日、担任の先生に出してね」


伊藤先生が、よいねちゃんにそう案内した。


「今日のテーマは、自由にしようか、学校の中で、好きなところを撮ってきてね」


「はい」


「行ってきます。よいねちゃん、行こうか。今日はカメラ余ってるし、そこにあるの、好きなの使っていいよ」


「ありがとうございます」


「雨音さんでしたよね?一緒に行ってもいいですか?」

「いいよ、一緒に行こう。」


(なんだか、嬉しい)


年下の子に親しくしてもらうことなんて、中々なかったからだろうか。


私たちは、とりあえず、校内を歩く。


「そういえば、この前、半分雨で、半分晴れみたいな天気があったんだけど、その時渡り廊下にいたのって、よいねちゃんだったりする?」


「あっそうかも知れないです!誰か来たと思って、逃げちゃったんですけど。」


「私、あの時、もしかしたら雨なのはここら辺だけで、反対側も晴れてるんじゃないかって見に行ったんだよね」


「確か、雨でしたね。」


「うん、よいねちゃんは、なんであそこにいたの?」


「あの日、急な雨だったじゃないですか、なんで、外の人は、傘を差している人と、傘を持っていない人で、分かれるんじゃないかと思って。そんな様子が見たくて。」


「そうなんだ。」


「あと、雨をもっと近くで感じたかったのもあります。」


たしかに、傘の有無だけで、人々の行動が変わり、人それぞれに、状況が生まれる。


それを見るのも、なんだか面白いかも。


私たちは、話しながら、校内を回っては、シャッターを切った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ