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雨の日の晴  作者: 宿木
14/26

雨、咲かせる(2)

今日の授業も終わった。


私は結局あのあと、全ての授業であてられた。


「12日だから」というありきたりな理由で。


今日は部活がある。


晴美と一緒に帰りたいが、それは難しそう。


晴美も部活だけれど、テニス部は帰りが遅い。


私は、部室へ向かう。


写真部の部室は、もう使われていない、空き教室だ。


「こんにちはー」


「おお、雨音ちゃん、いらっしゃい。」


伊藤先生だ。


担任を持っていない、おばあちゃんみたいな先生。


「今週は、学校から見える外の景色をテーマに作品を作りましょう。」


写真部には、私と、他に五人いる。


そのうち三年生は、私と、もう一人、男子がいる。


人数は少ない、このままでは廃部。


部活が無くなるのは、少し寂しいけど、私はあと少ししたら引退だし、大勢より、このくらいの人数で出来ている組織が、私は好きだ。


「じゃあ、行ってきます。」


「はい、四時四十五分までには、戻ってきてね。暑いから、水筒も忘れずにね。」


私は、カメラに収めたいところが決まっている。


(まずは、あそこだな)


私は教室のドアを開けた。


するとちょうど壁に隠れるように、一人の女子生徒が立っていた。


(あれ、たしかさっきの)


「さっきも会ったよね?ここは、写真部の部室だよ。」


「あの…ちょっと写真部気になってて」


「そうなの?嬉しい。じゃあこっちきて」


私は、彼女を部室の中へ案内した。


「先生、写真部が気になってるみたいで」


「そうなの?じゃあ雨音ちゃんと行っておいで。雨音ちゃん、お願いできる?」


「分かりました。じゃあ、一緒に行こうか。」


「はい」


私は、とりあえず撮りたいと決めていた場所まで、一緒に行くことにした。


「写真部は、基本的には、学校内で写真を撮って活動しているんだ。」


「一年生かな?名前、聞いてもいい?」


「はい、一年二組の、青木よいねです。」


「ありがとう、よいねちゃん、ね。」


私は、こんなに人と話せている自分に、内心驚いている。


少し前の、一、二年前とかの私には到底できないだろう。


(晴美のおかげかな、)


幼い頃からの仲だけど、今になってやっと、晴美のコミュ力から、私が影響を受けている気がする。


私たちは、今日私たちが出会った渡り廊下についた。


「ここで、写真を撮ろうと思ってたんだ。」


「いいですね」


「そうだ、今週のテーマが、学校から見える外の景色で、よいねちゃん、撮ってみる?」


「いいんですか?撮ってみたいです。」


「うん。よいねちゃんから見る、この景色、私は見てみたいな。」


なんだか、表情が柔らかくなった気がする。


私はカメラを渡した。


「ありがとうございます」


「好きな角度から撮ってみて。」


彼女は、廊下の真ん中に立って、シャッターを切った。

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