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雨の日の晴  作者: 宿木
13/26

雨、咲かせる

今日は晴れだ。


私は、渡り廊下にでて、景色を眺めていた。


いつもの窓際もいいけど、こういうスパイスも欲しい。


窓際とは違って、目の前にはマンションがあって、遠くの方は見えない。


しかしすぐ下が歩道に挟まれた車道で、人や車の往来を観ることができる。


私は、こんな景色も好きなのだ。


スタスタスタ。


足音が聞こえる。


(あれ…)


一人の女子生徒がきた。


多分、同学年では無いだろう。


同じように下を見ている。


(この子は、この景色が好きなのかな)


私は、勇気を出して、話しかけてみることにした。


「もしかして、ここの景色、好きなの?」


彼女は、驚いた顔をしている。


分かりやすいくらいの。


「ごめん、急に話しかけて、私、雨音っていうんだ。ここの景色が好きで、たまに来る。」


彼女は、うつむきながら、話してくれた。


「私も、この景色が好きで、よく来るんです。人や車、私が学校にいる間、同じ時間を違うことをして生きている人っていうか、景色になんだか惹かれて…」


(分かるな、日常を、日常から見ているって、なんだかいいんだよね)


「よく分からないですよね、すみません」


「分かるよすごく。誰かの日常を、私の日常から眺める。干渉せず、少し引いた目でみる、なんかいいんだよね。」


また、驚いた顔をしている。


さっきとは、少し違うけど。


「そうですね。」


「もうすぐチャイム鳴るから、じゃあね」


「はい」


私は、少し早足で、教室に戻る。


(さっきの子も、景色を観るのが好きなのかな。私の窓際をみせてやりたい。)


私は、そんなことを考えながら、席に着いた。


「起立、礼、お願いします。」


「お願いします。」


「はい、じゃあ、85ページ開いてー」


(もしかして、昨日、雨の中いたのって)


今日は、12日。私の出席番号だ。


(当たるなこれは)


「今日は、12日なので、木村さん。この間の実験の結果、教えてくれる?」


「はい、まず食塩を加えたときは…」


「ありがとう」


今日はあと何回当てられるのだろう。まだ三時間目。


私は、窓の方へ、顔を向けた。

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