煌々と、こうよう(2)
この辺りまで予定を決めたところで、あることに気づいた。
「なんか、土日そんな盛り上がってなくない?」
土日よりも平日の方が形を持った予定があることに気づいた。
それと、もう1つ。
「これ、私たちやりたいこと書いてるけど、必ずそのマスに止まれるわけじゃないよね…」
(たしかに…あ)
「止まれなくても、やりたければやればいいんじゃない?」
「あー、そうか!そうだね!」
止まっていた指先と、牽制されていた欲に刺激が与えられた。
「もう本格的に寒いでしょ!だから…温かいミルクコーヒーを飲む!」
「この日はカップ麺…次の日は、少し熱めのお風呂」
「やりたければやればいい」この考えが、より私たちの、実現可能な妄想を駆り立てた。
最後の3日。まもなく12月という時期。
「よし、ここは慎重に行こう」
「まず私だね、。こたつでアイスを食べる!」
「私は…」
これで最後。どうしようか。例に漏れず、日常に少し色を加えるようなものでもいい。
だけど最後くらいは…
「この日は、お風呂屋さんに行く」
「お風呂屋さん?この前の?」
「うん、寒いし、ちょうどいいかなって」
日常にしては、少し、濃いかな…でも
「平日だけど、行けるかなー?」
「大丈夫、この日に止まったら、意地でも実現させるよ」
「ははは!いいね、私もこの日止まったら実現させるよ!」
「晴美が止まったら一緒に行こうかな」
「じゃあ雨音ちゃんが止まったら私も行くー。よし、最後だね。最後は…」
「こたつで寝る!」
「風邪引くよ?」
「大丈夫!こたつで寝ても引いたことないないから!こたつの下に布団敷いて、痛くないようにする!」
確かに、私もこたつで寝てしまっても、風邪を引いたことはない。
ちょっといいかも…というより、結構いいかも。
「結構いいでしょ」
「え?うん、ちょっとやってみたいかも」
「よし!始めようか!」
あらかじめ用意しておいたサイコロを出した。
「駒は………これでいいや」
小さく包装された、小さなお菓子にした。
私はぶどうのグミ、晴美はコーラのグミだ。
じゃんけんで、私からすることにした。
「雨音ちゃんやっちゃってー」
コロコロコロ
サイコロは、6つの点をこちら側へ見せた。
「6だ」
スタートは、10月31日から。
たどり着いたのは日曜日。
「散歩をする。やった!私のだ」
「次私ねー」
予報通り、雨が降るといい。
晴美が向かったのは、木曜日。
「やったー!肉まんだ!」
「いいなー私も食べたい」
「じゃあ一緒に行こうよ」
「え、でも…あ」
「やりたければやっていいんだよー」
「そうだった。じゃあ私も食べる」
「へへへ、いいね。次雨音ちゃんだよー」
それぞれ2回ほど投げたあと、お母さんが帰ってきた。
「ただいまー」