煌々と、こうよう
ピンポーン
「はーい」
晴美が家に来た。
「おじゃましまーす」
今週は、教育相談があるから、早く帰ることができる。
それで今日は、学校が終わったあと、二人で過ごすことにした。しかも明日は、土曜日。
時間は、お昼過ぎ。
「じゃあ、始めちゃいますか」
「うん」
「いぇーい!来月すごろく!」
時間は、今日のまだ町が寝ぼけている時間。朝に遡る。
「雨音ちゃん、今日早帰りじゃん?お家行ってもいい?」
「いいよ」
「ありがとう!あのね、凄くいいことを思いついたんだ」
「いいこと?」
自信に満ち溢れた顔。こういう時、大体期待していいことが多い。
「えっとー、来月のカレンダーで、すごろくをするの!」
来月、11月だ。
「日付のマスにすごろくみたいにイベントを書いて、止まった日に書いてあるイベントを、来月実際にやるの!」
(おお、ちょっと面白そう)
「いいね、なんだか楽しそう」
「でしょー!じゃあ雨音ちゃんのお家にカレンダー持ってくね!」
「うん、楽しみにしてる」
その後は、午前を学校で過ごし、お昼前に帰ってきた。
約束は、お昼を食べた後。
そうして今、約束の時間がやってきた。
晴美は、持ってきたカレンダーを広げる。
「へへへ、まずは1日、私から書く!」
「いいよー」
「火曜日だから…駄菓子屋さんに行く!」
「…いつでもいいんじゃない?」
「いいの!ルールは、できる範囲にすること!」
そう、今日の帰り、晴美が授業中にルールを決めたと言うので、聞いてみた。
ルールと言っても、ただ1つ、マスに書く内容は、「実現可能なこと」
あくまでも、日常を送ることが前提というわけだ。
「じゃあ私は…お互いに、お互いのお菓子を買う」
「おおー、いいねぇ。センス」
「次は木曜日、そうだなー、肉まんを食べる」
「ははは、なんだそれ」
「多分寒くなるし、大事だよ、あ、雨音ちゃん、金曜日だよ!重要!」
金曜日、私たちにとってはご褒美。何せ今日も金曜日で、金曜日というだけで気分に色がつく。
「じゃあ…ちょっと夜更かしする」
「えー、ちょっとなのー?」
「眠くなるかもしれないし」
「そうだねー、ナイス配慮」
「よし!土曜日!土日は貴重だよ!」
土日、どうしようか、私は予定がない休日がなんだかんだ好きだけど…
「そうだなー、ちょっと多く寝る!」
「いいね、ちょうどいい」
「なんか…土日予定入れちゃうと、息苦しいっていうか、なんかヤだった」
日曜日。私は、今朝晴美からこの提案を受けてから、書くことを決めていた。
「散歩をする」
「散歩?どうして?」
(ふふふ、よく聞いてくれました)
「この日はね、雨の予報なんだ」
「ははは!なるほどねー」
じゃあ次は…
私たちは、こんな調子で、未来に予定を立てた。そこまで干渉しない程の、軽く一日に触れる程度の予定をだ。
11月半ば、寒さとも顔馴染みになってくる頃。この辺りまで予定を決めたところで、あることに気づいた。