夏繋がる茜
今日は晴れ、まさに夏といった暑さ。頭の上には、絶好調の太陽が。
「あっつー、早く中入りたい」
「もう少しで着くと思う」
今日は晴美と体験入学に来た。
夏休みの宿題で、どこかの高校の体験入学に行くよう言われている。
「おお、大きい」
校舎が見えてきた。
「こちらが入口でーす」
この学校の生徒だろうか。制服を着て、案内してくれた。
周りには、私たちと同じようにここへ来た、別の学校の制服を着た人がいる。
「あ!自販機あるー、いいなー早く高校生なりたいなー」
中学にくらべて、ふた周りぐらい広いだろうか。
「このまま、上の階に上がってください」
「はーい」
晴美は、ここに来てすぐに、楽しそう。
「奥の教室から席の空いている部屋に入ってください」
奥から2番目。2-5。
「2の5だって、めちゃくちゃ多いじゃん」
教室へ入ると、体が冷たさを感じ取った。
「涼しっ!」
よく、エアコンが効いている。
「わぁー、なんだか緊張するなぁ」
あと、5分ぐらいだろうか。まずは学校説明らしい。
晴美は楽しそうで、色々とプラスに捉えているようだ。
それに対して私は…正直そこまで乗り気じゃないというか、進路を考えなくてはいけない、この生活の終わりの先に触れることが、少し怖かった。
「お待たせいたしました。本日は、暑い中起こしくださり、ありがとうございます。このクラス担任の、柿根と申します。それでは、学校説明を、始めさせていただきます。」
黒板に投影されたプロジェクターで、まずは教育理念とか、時間割の例、あとは部活の紹介がされた。
「このあとは、お昼の13:00まで、自由に校内を見ていただけます。部活動の見学もできますので、是非、ご覧下さい。本日は、暑い中、本当にありがとうございました。」
ぞろぞろと、人が動き出した。
「雨音ちゃん、私軽音部見に行きたい」
「軽音?いいよ、いこうか」
「ありがとうー」
てっきり、映像でも紹介されてたテニス部に行くかと思ってた。
教室の外に出ると、蒸し暑さが、私たちを包んだ。
大袈裟なほど、暑さに違いがある。
「軽音部は…ここ降りてまっすぐみたい」
貰った地図をみて、軽音部が活動している部屋へ向かう。
「私、テニス部行くかと思ってた」
「あ!テニスもみたいけど、軽音部も興味あるんだー、なんかライブやってるみたいだし」
「へー、それは気になるかも」
さっきの紹介で、ライブがあると聞いたのだろうか。
私はあまり聞いていなかったな…
…♪…♪
「あっ!なんか聞こえる!」
小さな音、明らかに音楽であると分かる、まとまりのある音が、耳をかすめた。
だんだんと、音が大きくなる。向かう方向が、あっているのだ。
「あっ、軽音部の見学ですか?」
「はい!」
「こちらへどうぞー」
先程とは比べ物にならないほど、はっきり聞こえている。
ガチャ、
「うお」