表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨の日の晴  作者: 宿木
102/118

朝-明るさ=

今日は晴れ、雨上がりだ。青空に乗る少しの白から覗く太陽と、昨日の雨が、辺りを光らせている。


(今日はなんか明るいな…)


朝にしては、明るい空を持っている気がする。


時間は8時、昼前のような明るさだ。


「今日なんか外明るいね」


「えー?んー、言われてみるとそうかも?」


晴美はそこまでみたい。


そろそろ、服の袖を伸ばしてもいいころだろうか。


爽やかというより、ただ涼しい風が吹くようになったし、風がなくても、暑さはそこまで感じない。


(あ)


ほんの数人ほど、長袖の制服を着ている人もいる。


こういう目から入る物は、より季節が変わることを感じさせる。


本格的に、季節が見えるようになったと思いながら、学校に着いた。


「じゃあまたねー」


「うん、また」


いつも通り、教室に入る。


「おはようございまーす」


「おはよー」


今日はこの後、音楽会のリハーサルがある。明日が本番だ。


3回目となると、そこまで緊張もしないし、特別な感じはしない。


「はーい、リハーサルあるので移動してくださーい」


これで最後なんだよな…不思議と、また来年もあるんじゃないかと思ってしまう。


体育館に着いた。他の学年はいない。


3年生だけで見せ合うみたいだ。


じゃあリハーサルじゃなくないか?まあいいか。


晴美のクラスから始まって、私たちで終わった。


音楽の先生から、それぞれのクラスにアドバイスとか、そういうのはなく、入れ替え等、本番のように行われた。


案外リハーサルかもしれない。


「明日は本番ですね、皆さん、泣いても笑っても最後なので、とにかく楽しんでくれたらと思います。」


最後…か。


人に言われると、そういう感じもするし、寂しくもなる。


その後も、いつも通りを抜けて、練習の時間になった。


…♪…♪


この練習も、最後なんだ。


最後なんだけど、みんなを見る限り、いつも通りだ。


日常だ。この日常が、最後という事実に、霧をかける。


「はい、みなさん最後なんで、1回合わせて終わりましょー」


指揮者の合図で、伴奏が始まった。


…♪…♪…♪


合唱が終わった。


寂しさとかは、別に込み上げてこない。私が冷たいのだろうか。


でも、周り見る感じ、みんなもそうでもなさそう。


まぁクラス自体が、どこか力の抜けたクラスだしこういうものだろう。


実際、居心地がいいとさえ思っている。


「はい、お疲れ様でしたー明日は学校出はなく、現地集合なので気をつけてください。解散ー」


「さよならー」


「はいさよならー」


学校の外へ出る。


この門をくぐることが、私の、1日の終わりを知らせ、家に着くまでの時間で、貼り付いた鎧を落としていく。


歌の練習が始まった頃は、この時間、まだ明るさがあった。


しかし今は、夜はまもなくという感じ。


「明日本番かー、なんだか実感湧かないなー」


「だよね、私もそう思う」


晴美も、そんな感じだったみたい。


「明日は電車に乗って行くのかー楽しみー」


毎年同じ会場、私はあそこの雰囲気がとても好きだ。


「じゃあ、また明日」


「うん、また明日ねー」


すっかり朝の明るさは消えて、鮮やかさだけが残る夜になった。


街灯が灯り始めて、空にも少し、小さな明かりが。


「ただいまー」


「おかえりー」


私はそんな色を見せてくれるこの季節が大好きだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ