朝-明るさ=
今日は晴れ、雨上がりだ。青空に乗る少しの白から覗く太陽と、昨日の雨が、辺りを光らせている。
(今日はなんか明るいな…)
朝にしては、明るい空を持っている気がする。
時間は8時、昼前のような明るさだ。
「今日なんか外明るいね」
「えー?んー、言われてみるとそうかも?」
晴美はそこまでみたい。
そろそろ、服の袖を伸ばしてもいいころだろうか。
爽やかというより、ただ涼しい風が吹くようになったし、風がなくても、暑さはそこまで感じない。
(あ)
ほんの数人ほど、長袖の制服を着ている人もいる。
こういう目から入る物は、より季節が変わることを感じさせる。
本格的に、季節が見えるようになったと思いながら、学校に着いた。
「じゃあまたねー」
「うん、また」
いつも通り、教室に入る。
「おはようございまーす」
「おはよー」
今日はこの後、音楽会のリハーサルがある。明日が本番だ。
3回目となると、そこまで緊張もしないし、特別な感じはしない。
「はーい、リハーサルあるので移動してくださーい」
これで最後なんだよな…不思議と、また来年もあるんじゃないかと思ってしまう。
体育館に着いた。他の学年はいない。
3年生だけで見せ合うみたいだ。
じゃあリハーサルじゃなくないか?まあいいか。
晴美のクラスから始まって、私たちで終わった。
音楽の先生から、それぞれのクラスにアドバイスとか、そういうのはなく、入れ替え等、本番のように行われた。
案外リハーサルかもしれない。
「明日は本番ですね、皆さん、泣いても笑っても最後なので、とにかく楽しんでくれたらと思います。」
最後…か。
人に言われると、そういう感じもするし、寂しくもなる。
その後も、いつも通りを抜けて、練習の時間になった。
…♪…♪
この練習も、最後なんだ。
最後なんだけど、みんなを見る限り、いつも通りだ。
日常だ。この日常が、最後という事実に、霧をかける。
「はい、みなさん最後なんで、1回合わせて終わりましょー」
指揮者の合図で、伴奏が始まった。
…♪…♪…♪
合唱が終わった。
寂しさとかは、別に込み上げてこない。私が冷たいのだろうか。
でも、周り見る感じ、みんなもそうでもなさそう。
まぁクラス自体が、どこか力の抜けたクラスだしこういうものだろう。
実際、居心地がいいとさえ思っている。
「はい、お疲れ様でしたー明日は学校出はなく、現地集合なので気をつけてください。解散ー」
「さよならー」
「はいさよならー」
学校の外へ出る。
この門をくぐることが、私の、1日の終わりを知らせ、家に着くまでの時間で、貼り付いた鎧を落としていく。
歌の練習が始まった頃は、この時間、まだ明るさがあった。
しかし今は、夜はまもなくという感じ。
「明日本番かー、なんだか実感湧かないなー」
「だよね、私もそう思う」
晴美も、そんな感じだったみたい。
「明日は電車に乗って行くのかー楽しみー」
毎年同じ会場、私はあそこの雰囲気がとても好きだ。
「じゃあ、また明日」
「うん、また明日ねー」
すっかり朝の明るさは消えて、鮮やかさだけが残る夜になった。
街灯が灯り始めて、空にも少し、小さな明かりが。
「ただいまー」
「おかえりー」
私はそんな色を見せてくれるこの季節が大好きだ。