表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】最強無敵の守護竜に転生したけど世話焼きお姫様(32歳未亡人)がウザすぎる!  作者: 川平直
終章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/91

82話 神々の戦い

 帝国との決戦の日、俺は姫さんに見送られ戦場となる平原の空を白い光の矢となって飛ぶ。


 ふと立ち止まって振り返る、俺を見送った姫さんの姿はもう遥か彼方先に消え見ることはできない。


 飛び立つ直前に見た今にも泣きそうな姫さんの顔が頭を過ぎる、あの時俺はなんて声を掛ければ良かったんだろう?


 そんな未練めいた軟派な思いを振り切る様に俺は再び前を向いて空を駆ける。


 平原の向こうに軍勢の陰が見える。


 デインの旗を掲げる大軍の数はいったい何人になるのか数える気にもなれない。


 しかし俺の敵は万を超える軍勢なんかではない。


 向こうも俺の存在に気がついたんだろう、デイン陣営の方から黒い一筋の光が放たれた。


 黒い光はその速度を落とすことなく、このままいけば正面衝突する進路を飛んでくる。


「いいぜ 受けてやるよ」


 白い光と黒い光が激突する。


 衝突の瞬間辺りに爆音と衝撃波が広がり、雲さえ押しのけて曇天だった空には俺達を中心にぽっかりと青い穴が開いた。


 反動で弾き飛ばされ錐揉み状態になるが即座に空中で立て直す。


 見上げれば、空の穴の中心であの野郎が悠然と俺を見下ろしていた。


「やぁ、こうして顔を合わせるのは三度目ですね」


 スバル女王か奪った聖痕が煌々と輝き、それを中心に血管を思わせる赤色の筋が脈動の様なリズムで不気味に明滅させた、禍々しい黒竜が俺を見る。


「……一応聞くが、このまま回れ右して帰ってもらうわけにいかねぇのか? 手ぶらがあれってのなら土産でも用意してやるよ、クッキーとかどうだ?」


「せっかくこうして友達を連れて尋ねてきたんだ、そうつれない事を言わないでくださいよ。それにお土産ならクッキーよりも欲しいものがある。君だって分かってるだろう?」


「そうかよ、じゃあもうやるしかねぇな」


 これ以上の言葉はない、覚悟も決めた、俺を縛るものは何もない。


 姫さんとの約束の為、命を掛けた全力全開、手加減なしの大げんかの幕が上がった。


           *


 フィロールとデイン、その国境付近に存在する広大な平原。


 太古の昔にあった大戦の際、主戦場となったその場所はかつては木々の生い茂る山々が連なる山岳地帯だったが、守護竜同士の衝突により山々は消し飛び今の平原となった。


 そんな神話じみた逸話が残るこの場所に集った両国の兵士達は皆、それ相応の決意を胸にこの場所へやってきた。


 祖国の為、家族の為、自身の栄誉や名声、あるいは金の為に、動機はそれぞれ違っても自身の命を掛けて戦う覚悟を決めて。


 そんな兵士達その全てがなせだか、ただ呆然とその場に立ち尽くしていた。


 戦いに臆した訳じゃない、ただそれでも彼はその場から動く事が出来なかった。


 空は裂け、大地は隆起し、水面は逆巻き、雷は爆ぜ、氷の槍が降り、風が木々を切り裂き、炎が荒れ狂う。


 あらゆる天変地異の坩堝と化したその場所に一歩でも踏み入れようものならば、何も出来ぬまま一瞬で死に至ることは誰の目にも明らかで、そんな場所に進んで飛び込むバカはいない。


 幾万の兵士達の覚悟や決意など塵芥同然と鼻で笑うようなすさまじい戦場。


 もはや人の身では立ち入ることさえ許されずただただ傍観者として眺めている事しか出来ないその中心で争うは二匹の竜。


「……これは地獄か?」


 兵士の誰かがポツリと呟いたその言葉はその場で戦いを目にした全員の代弁そのものだ。


 大戦が終結して幾星霜、人々が忘れかけていたその光景はまさに神々の戦いと言うよりほかにないものだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ